共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 「共に働いて地域を耕す」― 「逃げないで」三井絹子さんメッセージも やまぼうし伊藤さん招きシンポ

<<   作成日時 : 2016/12/26 16:13   >>

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1. 入所施設必要とせぬ地域へ―やまぼうしの原点
12月18日に開催した「共に働く街を創るつどい2016―共に働いて地域を耕す」の速報。
初めにNPO法人やまぼうし理事長・伊藤勲さんから、東京の日野、八王子での40年にわたる歩みの報告をいただいた。入所施設から街へ出て地域で生きるために街道沿いに開いた自然食の店。そこを拠点とした手探りの24時間支援体制。その2年後にわらじの会でも越谷に重度障害者職業自立協会の店・吐夢亭を開いたことを思い出しつつ聞いた。
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 その後の制度利用や今世紀に入っての法人化そして障害福祉サービスの利用も、両者は二本の縄をなうように、地域で共に生き抜くためのやむを得ない策だった。
 やまぼうしは里山保全等の環境団体や開発に抗う酪農家と出会いながら地域を拓き、有機野菜を育て、廃校になった学校の給食調理室を使い高齢者への配食やレストランを運営し、そこを拠点にさらに大学や公園のレストランをひきうけ、それぞれで関係を拡げてきた。
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 共に生きるとはさまざまに異なる他者と格闘するリングを維持する営みとも言える。「埼玉流」と自称するアプローチは幼いころからの「共に学ぶ」に始まり、「職場参加」へと展開してきた。さまざまな支援制度が人を分け隔て続ける中で、流れに掉さしつつあちこちで出会いぶつかる。その「職場参加」の取り組みの現在は、町工場や地元事業所に加え、ここ数年つきあいを重ねてきたワーカーズコレクティブやワーカーズコープ、そして生協等の市民事業が徐々に焦点となりつつある状況。
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 そんな構図の中で、この日の伊藤さんの特別報告は、かって重度障害者たちが入所施設を告発し、地域で共に生きたいと都庁前に座り込んだ闘いの回想から始まった。語りが熱を増し、用意されたパワポの多くは次回に委ねざるをえなかった。現在準備中の団地再生プロジェクトは、やまぼうしのほか生協や市民団体、福祉団体等が連携して参画しているそうで、もっと聞きたかったという参加者の声が多かった。
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2. 協同の働き方で食と農の再生をめざす
 伊藤さんの報告を受けて、越谷の地域に自生し、今後の「職場参加」の土俵でせめぎあい共生する種子の数々を示したパネルディスカッションは、埼玉県立大学教授・朝日雅也さんがコーディネート。
 まずワーカーズコレクティブの草分け、企業組合キッチンとまと代表・須長さん。女性も男性も高齢になっても働ける場、可能な限り地場産の食材による弁当を社会的弱者といわれる人々に届ける。外国産の安い食材が流通し競争力を問われ、いったん閉店したが市の空き店舗の利用・助成事業により再開。環境問題を通し行政とのつながりもあり、越谷・水辺の市の中軸となる。
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 次はワーカーズコープの就労B型ひよせの農業担当職員・山田浩嗣さん。活動を報じたJcomの映像を紹介。山田さんはかって知的障害者入所施設の指導員で畑をやっていた時、将来自分で起業して障害者と共に働けたらと思っていたという。動画の中では、所長の小野さんが「農業は地域の課題を取り上げて仕事を起こしてゆくきっかけづくりで、街の中でひきこもっている人たち等の就労支援も視野に入れたい」と語る。山田さんは、「作物が思い通りに育つわけでなく、病気になったりバラツキがあったりすることが厳しさであり面白いところ」と語る。悩みが多いが地域の農業の達人に相談するとすっと答えてくれる。そういうネットワークが大事。

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3. 他者に支えられ、他者を支えて働く障害者たち
 続いて、一般企業で働く障害者・野村康晴さん。作業所での一般就労をイメージした施設外就労を契機に、家から近い職場に就職。景気悪化、時短など環境変化でパニックになり辞めた。その後就労支援センターと出会い、現在はドラッグストアで働く。働く上で、障害あるなしに関らず、さまざまな人との関係が支えになると実感している。

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 天野美和さんは、精神医療と社会を考える上で、医療を利用しつつダブルワークまでしている当事者として、他者に自らをひらくことの大切さを経験し、周りにも発信している。社会に出ることで、病気になる前は見えていなかった自分の立ち位置が見えるようになった。ただ社会にはまだまだ壁がある。国はただ与えるだけ、病院OTやデイケアといった場所を提供するだけ、医者は薬を出すだけといったトライアングルが壁。行政も底辺でもがいている人に出会うチャンスがなく、期待できる人はいない。自分が外に出て近所の人に挨拶したり家の周りを掃いたりしていればコミュニケーションの輪が広がり、調子が悪くなって夜中に奇声をあげても悪くは言われない。そこからお互い様の輪を広げトライアングルを抜ける道を考えてゆこう。

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4. 追い詰められ周りをひきずりこむ暮らし方・働き方
 藤崎稔さんは、社会福祉法人つぐみ共生会の理事で、生活困窮者支援をしているNPO法人ほっとプラスの理事もしている。そのつぐみ共生会本部職員の内藤純さんは、つぐみ共生会と職場参加をすすめる会の源流としてのわらじの会の活動の源流に遡る。「つぐむ」とは「座る」の越谷弁であり、農家の奥に座ったまま暮らしてきた障害者たちの意味。彼女たちを介助してきた父親が倒れる寸前に力を振り絞って建てた家で、彼女たちのここで生き続けたいという思いを実現するため、他の障害者3人を呼び込み
生活ホーム制度に乗せることで世話人を確保した。呼び込まれた藤崎さんは、やはり地域で独立したいと家出してきた。
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共同住居はこうして追い詰められた本人、親兄弟姉妹の力でできた。そして、もう一つのポイントとして、引きずり込まれた周りの人々がこの自立生活に関りやすいようにするために編み出してきた制度が全身性障害者介護人派遣事業。この流れの中でくらしセンターべしみもできるが、制度が限られる中選択した通所授産施設の授産を地域に開かれ、地域を耕す活動にしてゆくために「職場参加」に取り組むことになった。
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5. 「互助」の問題、「縦割り」の発想  
 パネリストたちの話を聞いた伊藤さんは、「各自がぎりぎりのところで明日生き延びるために、しかしプライドをもって切り拓いてきたシナリオ」と評価した。その上でいま国が「互助」を打ち出してきたことに対し、「互助」は強いられず自発的なものでなければならず、「互助」が増せばそれだけ必要な「公助」は担保されるべき。また、農と食の問題は、自然との共生として「雑草」も含め地球環境を守る中で安心して暮らせるコミュニティをつくる中に障害者も役割を担ってゆく。越谷のさまざまな取り組みを知り、全体としてはつながっていると思うと語った。
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コメンテーターは越谷市障害福祉課副課長・角屋亮さん。地域を考えるとき、そこには障害者がいて高齢者がいて子供がいて、生活困窮者がいる。ただ行政マンとしてわれわれが一生懸命仕事すればするほど自分の担当分野に特化した制度を考えてしまう。縦に割っていろいろな制度を一生懸命考えることで、地域の横のつながりを骨抜きにしてしまう。農福連携に関する国のHPを見たが、農業者と障害者の話だけ。そこに生活困窮者、高齢者がからんでもいい話なのだが、支援制度、補助金が絡むと地域の中のある人だけしか見えなくなる。空の上から地域を見下ろして、どんな人がいるかを大きな面で見た上で自分の担当分野がどうあるべきかを考えることが必要。私ごときの関わりで変わるものでもないが、こういうイベントに出させてもらって考えさせられるところだ。


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6. 死ぬまで地域から逃げないで生きること

 最後にと、伊藤さんが発言。今日この会場で三井絹子さんに会えてよかった。国立で講演会やるから来てということと、ワンステップかたつむりの劇を日野に招んでほしいと言われた。1973年、臨床心理学会の「教育現場を締め出された子どもたち」のシンポで発言者になり七生福祉園の入所者の話をしたら、講師控室に来て施設職員が何を言っている、私たちの状況をどう思ってるんだと糾弾された。それがこの道に入るきっかけになったと。

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その三井さんからのメッセージ。指で書いた文字を介助者がメモし読み上げる。「『共に働く街を創るつどい2016−共に働いて地域を耕す』、とてもすばらしいと思います。10数年前、この志で長崎で障害者と共に生きることをやってた園長先生がいました。また2,3年たってその人を訪ねていきました。しかしその場所には一人も姿はいなく、建物もなくなってしまってました。周りの人にたずねると、園長さんが年を取って畑も出来なくなり、障害者もみんな施設や病院に入ってしまってました。私は聞いたとき愕然としました。地域で生きることをどこまでできるか挑戦してください。死ぬまで逃げないで。」
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 そして、朝日さんが、「いま三井さんから今回のまとめになるような言葉をいただいた」とコメントしつつ、短いまとめ。いろんな仕組みやシステムができてくると、結果、分断化したり効率化が求められたりして、本来その地域で持っていた力が発揮しにくい状況になるが、今日のように歴史を振り返り、変わらぬ信念を再確認し、今後の方向性を語ってゆくことが連帯につながる。

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 かくてパネルディスカッションは終了し、恒例の自治体への提言案読み上げを、世一緒当番スタッフでくらしセンターべしみにも通所しつつ、借家で介助者を入れて独り暮らししている友野さんが。
 すべてが終了後、シンポジストの伊藤さん、野村さんを囲んで懇親会。ここでも実り多き語り合い。

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