共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS ロンドンの地域の日常茶飯事をつづるANKOのメールから 人々の暮らしと仕事と社会を

<<   作成日時 : 2015/06/19 17:57   >>

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 私同様、谷中耳鼻科の社会貢献部(?)職員として、共に生きる活動に従事しているANKOが、ロンドン在住の娘さんの出産後の手伝いのため、1ヶ月半の休みをとって現地にいる。そのANKOが月刊わらじに長期連載している「日常茶飯事」の原稿を送ってきた。ところが原稿が2種類あって、お産をテーマにしたほうを月刊わらじ6月号に載せた。でも、ボツにした街と仕事をテーマにした原稿も興味深いので、本人の了承を取ってこのブログに載せることにした。以下はANKOの原稿。


日常茶飯事その231      
by ANKO

◆anko飛び立つ!

 今私は、イギリスにいます!ロンドンです。すごいですよ、まったく英語を話せないけど飛行機に乗れました。入国審査も通りました。娘婿が入国のための手紙を書いてくれそれを審査官に読んでもらいました(私がまったく英語が話せない事、入国の目的、滞在期間、滞在場所、娘婿の職場の住所etc・・)。あとはパスポートと同じ笑顔を見せて(だって、全くしゃべれないんですもの)無事通過。次はスーツケースの受け渡し。ヒースロー空港は、ぐるぐるとスーツケースが回っている場所が9つくらいある。どのぐるぐるに私の鞄が出てくるかわからず、きょろきょろ他の人の様子を見ていると、ぐるぐる回る所に番号がある。あっ!掲示板みたいなのがある。で、チケットを見て飛行機の番号を調べると・・ありました。9番。行ってみると出てきましたピンクのスーツケース。それをごろごろ押して人の流れに任せて・・。おお!娘たちがいた!万歳!あとは、娘夫婦とタクシーの運転手さんと4人で無事に娘の家につきました。ロンドンの西部のほうHolland Parkというところで、比較的治安もいい所だそうです。

◆わからないが日常茶飯事!

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 以前、幸子さんや水谷さん達がピープルファーストの世界大会でカナダに行った時(写真)に、関西の施設の人達と一緒になり、その当事者たちが堂々とし、職員の方がおどおどしていたと言っていました。当事者の人達は「日本でもあんまり話が分からないから、どこ行っても同じ」みたいなことを言っていたと教えてくれました。約40日暮らす私の心構えとして、この言葉は大きな勇気を与えてくれました。日本では意味が分からないのに、ついついわかったふりしたり、わかった気になりますが、「どうぜわからない」ずれて当然、間違ってあたりまえ、やってみるしかない!なのです。

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ロンドンについて数日の街の景色は、どこかよそよそしくて、映画や雑誌を見るような気分でした。娘は初日から、自分の買い物に付き合わせつつ私に街を案内しているようで、電車に乗ったりバスに乗ったり、乗る駅と降りる駅を変えたりと、観光するわけではないのですが、案内をしてくれます。
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 はじめは本当に聞こえてくる言葉も「ごにゃごにゃ」でしたが、最近は単語を聞き取れるようになりました。でも、大切なのは、やはり周りの人の行動をよく見ているという事ですよね。バスや電車はpasmoのようなカードで。買い物をすると必ず「・・・・bag?」と聞かれ、娘は「no thank you」と言って自分の袋に入れています。最近では、一人で「おつかい」に行けるんです。

◆サングラスにタンクトップ、なるほど納得

 車のない生活なので、毎日買い物も移動も徒歩です。この私が全く運転をせず、毎日一万歩以上歩くなんて信じられませんが、テレビもなく仕事もなく、友達がいるわけでもなく、遊びに来たわけでもないので、むしろ歩くことが楽しくて仕方ありません。それに、街の人の暮らしぶりもわかるというものです。ロンドンは一年で5月〜7月が一番いい季節で、8月になるともう寒くなってしまうそうです。朝は5時から夜は9時半くらいまで明るい季節です。
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 日照時間が短いせいか、天気の良い日は多くの人が公園の芝生で肌を焼いています。昨日などは暑かったせいか19時半を過ぎているというのに、子供からお年寄りまで、アイスクリーム屋さんの外で、アイスクリームを食べています。色々なものがのんびりと感じられます。
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 駐車場のある家なんて少ないので、「この道路に○月○日から○日まで停めてもいい」という許可証が張られている車が住宅の前の道路を埋めています。

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信号だって通行者は自己責任です。車が来なければ渡っても構いませんが、なんかあったらそれは渡ったあんたが悪い!安全までも自分で勝ち取る感じがあります。日本の自己決定はしたい、守ってほしい・・というのはやっぱりおかしいんじゃないかと思ったりするわけです。
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 仕事もいろんな仕事が目につきます。アパートのゴミ集積場が地下にあって(我が家のドアの前)、それを月曜と木曜の朝早くに道路まで出す仕事、そのゴミを回収する仕事、街路樹を手入れする人、街路樹の落ち葉を毎日掃除する人。アパートのプライベートパークでは、手入れした落ち葉で堆肥を作っています。

(下の写真は、道路わきの掃除。ANKO撮影。)
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多いのは住宅の修理です。ほとんどが借家(こっちは1週間○○ポンドと不動産屋に広告が出ています)、転居も多く、大家さんが修繕して貸すそうです。昨日、その外壁の修繕を二人くらいでやっていて、5階位の高さまで足場が組んであって、二人コンビで下からバケツを綱で上げていました。

(下の写真は、後日ANKOから送られてきたチラシまきをしている人。)

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 いろんな細かい仕事は、いろんな国の人、いろんな人がいるからなんだろうかと思ったりします。経験と技術が物を言う。先日家の前の道路を掃除しようとしたら、娘に「人の仕事をとらないように」と注意されました。
(下の写真は、ANKO撮影の道路掃除の人。)

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 だからといって、みんながみんな仕事に就けるわけでもなく歩いていると「小銭を頂戴」とか、道路に足を投げ出して座って帽子を出して「プリーズ」と青年が言っています。先日娘がATMでお金を下ろそうと並んでいたら、女の人に「小銭頂戴」と声をかけられたそうです。前にいたおじさんが「俺はお前のこと知ってるぞ、この間ボーイフレンドと食事してただろう、だめだ」と断ってくれたそうです。

昨日は、歩行者用押しボタン信号機付き横断歩道の真ん中(上下線道路の真ん中にとどまる所があります)で待っていると、2歳と5歳くらいの子供連れのお母さんに、何やらまくしたてられまし。たぶん「ちょっと危ないじゃないの、もう少しよりなさいよ、そもそもあんたはさっさと渡れるでしょ!」みたいな感じ。でも、きょとんとしていたら、あきらめて苦笑いをされました。でも、言いたかったこと、大体わかりました。今は、とにかく、毎日が非日常で暮らしています。

 以上が、もうひとつの「日常茶飯事」原稿。これをブログに載せていいかとメールしたら、補足のように、以下の返信があった。興味深いので、固有名詞を省いて、これも載せておこう。

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仕事の話でいうと、今日一緒に帰ってきた娘の助産婦さんから、私のお産をやってくれたお産婆さんについて、「子どもを持ちながらどんな風に仕事をしていたんですか?」と聞かれました。
なんだか、イギリスでは、基本的には母親や家庭が子供を育ているというのが根強くって、日本も確かに保育料は高いけど、イギリスは、とんでもないくらい高いらしいです。
だから、彼女もぽつりと言っていたのが、子どもがお腹にできてから、どうも週何日・・っていう仕事になっている。子どもができなかったときには、バリバリと働いていたのに・・・という思いが、とっても強くあるようでした。彼女自身が、働きたい気持ちと、イギリスの良い家庭の母というのに揺れているみたいな感じでしたね。

うまく言えないけれど、自分たちの生活を守るから、逆にプロ意識はすごく強いような感じです。そのかわり、時間になったら、きっちりと交代もする。でも、たとえば、昨日の娘のように、出産直前で、なんかあったら、夜中であろうが、明け方であろうが、必ず自宅まで訪問してくれたり、電話に出てくれます。それは、こちらにとってはありがたいなと思うけれど、実際に昨夜は、彼女の5歳の子供が水疱瘡で高熱を出していて、そこに、2時ごろ娘から電話が来て・・・その時、彼女は揺れたんですよね・・・。だから、帰り道にも、「2時の時に行けばよかったんだろうか」とつぶやいていました。

娘の夫が、育児休暇で出産してからとるんですけど、それも、うまく言えないけれど、国として、本当に子供を育てていくという支援を考えていて、乳母車をお父さんが押している率がすごく高いんですよ。夫婦かお父さんだけとか。

でも、だからこそ、彼女のように、ある一定の期間は働くことを逆にセーブされるのかな?これは推測です。彼女の家庭がそうなのかはわかりませんが・・。チルドレンズ・センターをちょっと調べたら、イギリスは、女性が子供を預けて働くという事に対して、まだまだだから、力を入れ始めてみたいなことが書いてありました。


助産婦さんと日本食材屋さんの話をした時に、「あんな高くて買えないよ。」と言っているのに、娘は、月に1回くらいは買いに行っていますからね。けっこう生活費大変なんだな、って思ったんです。子育てする時間は欲しい、でもお金もほしい・・というのは、ないんだと思います。日本では、よく職場に子育てしやすい環境を求めるけれど、それもなんだか違うんじゃないかなって思いました。教育の問題と同じで、根本がよく分からなくなってる。

やっぱり、住宅の問題って大きいし、家を建てないから、家賃でいくらでも調整できるし。本当に、わかりやすいんですよね。歩いていて、住宅がちょっと汚いというか、庭が汚かったし、ゴミがあって荒れたりしていると、それは一軒ではなくって、その地域が全体的にそうなんです。居住地域がはっきりと分かれているんですよね。

高い家賃の住宅街と、ちょっと違う住宅街とって。他の地域はわからないけれど、娘の周辺は、みんな住宅街でプライベートパークも持っていて、家賃のほかに、その管理費も出していて、そのお金で、公園を管理してもらっているんです。
だから、誰でも使えるわけじゃなくって、その周辺の住宅で、きちんと管理費を払っている人が、カードをもらって、いちいちカードでカギを開けるんです。他の人は入れないようになっている。

で、他の人が入れるのは、大体が王室が所有している公園だから、開放されていて、誰もが自由に出入りできる。管理は…王室がしているのか、税金でしているの?この近くには、Hollnd park とハイドパークです。両方ともすごく大きいのに、管理されていて、きれい。
日本では、昨今、銀杏の並木は落葉が落ちるから切ってほしいってなるけど、こっちは、だったら、落ち葉掃除の人を雇えばいい・・って感じかな。だから、街路樹の下に、ベンチがいくつもあって、日が長いから 誰かしらそのベンチでコーヒーを飲んだり、おしゃべりしたりしているもんね。

何だか、日本の方が個人主義がへんに強い気がします。でも、だからって、イギリスが絶対的にいいとは思わないけどね。イギリスはスマートな人が多いね、アメリカと違って、と娘の夫に言ったら、ロンドンだからですよって。地方に行ったら食生活が違うから、すごく太ってますよって言ってた。
だから、私の見ているものはあくまでもこの地域の話だという事は、確実です。
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以上がANKOからのメール。娘さん夫婦が住む地域は、ロンドンでもウェストエンドと呼ばれる行政、商業、文化施設などが集中し、高級住宅が集まっている地域に入るようだ。これに対比して、イーストエンドと呼ばれる19世紀から貧困層、移民層が集住してきた地域があるらしい。ANKO撮影による上の写真のようにウェストエンドの街を掃除している人は、もしかしたらイーストエンドから通ってくるのかな?

 そういえば、昔エンゲルスの「イギリスにおける労働者階級の状態」を読んだ。工場ができたことで、いままで男たちが担ってきた熟練工の技術が不要になり、女や子どもが低賃金で長時間働くようになった時代。エンゲルス工場が集中して衛生状態の極度に悪い労働者街を歩くと、家族の洗濯物を干していた男がこそこそと姿を隠す。失業により人間としての尊厳を奪われた。さらにその前には、土地の囲い込みを通じた大土地所有のいっぽうで生きる基盤としての土地を奪われ都市に流れ込んで貧民となる人々がいた。ちなみにその時代にはアフリカの人々を捕らえて西インド諸島に連行して強制労働させる奴隷貿易が行われ、それらにより蓄積された富がイギリスを世界の工場として自立させる原資となった。その後の移民も、これらの前史と深いかかわりがある。 

 7月に北海道の友人を訪ねるので、北海道がアイヌの強制労働や明治前半の囚人労働、その廃止後のタコ部屋労働、そして朝鮮や中国の人々の強制労働によって、開発されてきた側面をふりかえっている。そんな気分でANKOのメールを読んだら、いろいろ刺激を受けるところがあった。






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