共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 夏枯れの有機農業の畑で 職場参加とワークフェアを考える

<<   作成日時 : 2013/07/12 00:24   >>

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「種から育てた苗を5月に畑に植えようとしたが雨が少なく今になってしまったが、ナスもトマトも苗が固まってしまい大きくならない。こうなると草が伸び、次の作物の植え付けにも響き、店や家庭に配達する夏野菜、さらには秋野菜のメニューがそろわなくなる。悪循環。越谷で有機農業を初めて7年目の大凶作。」と語る倉川さん(帽子姿)。
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長年アジアの農村支援をしてきて、タイの農民と日本の有機農業家たちとの交流も進めてきた。そして、ついには自分で農業を職業とするにいたった。年間を通して切れ目なく少量・多品種を生産し、自然食品店等と個々の家庭への季節の野菜セット供給を行なうサイクルによって、都市の有機農業は成り立つ。そのサイクルが危うい。

考えてみればあたりまえのことだけど、有機農業ってただ農薬や化学肥料を使わない栽培法っていうだけじゃなくて、都市で生きる人々の暮らし方、働き方にも大きくかかわっているんだなと実感。
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そんな窮状を聞きながら、なおかつ、高校卒業以来家にこもり最近外へ出始めた30代のS兄弟を紹介し、草取りとか、何か職場体験をさせてもらえませんかと頼みこむ、心やさしき?わが同行者 越谷市障害者就労支援センター・沖山所長。彼女の名言― 「閉まりかけたドアに足を突っ込んで」、「お金をもらってリハビリができたと思えば」、「ゼロからのスタート」。

 雇用促進法以外何もなかった時代に障害者就労支援を手作りしてきたキャリアが、さらに越谷へ来て、切り戻しのような美しい花を咲かせる。彼女に出会わなかったら、倉川さんを紹介しようとか思わなかっただろう。
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結果は、9月半ば以後、涼しくなったら…といちおうO K。

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私たちが「職場参加」とか時には「多様な就労」と呼んでいる活動は、福祉の中に紛れ込んだ労働能力ありそうな人間を掬い上げ労働市場へとか、労働能力に応じた多様な別枠の労働の場をといったワークフェア*(五石氏の上記画像・著書からの抜粋参照)寄りの発想ではない(ただ、具体的な取り組みとしては、参考になる事例がたくさんあるけれど)。

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むしろ、「労働なんて論外。生きるための介護確保が最優先。」とか「働く前にまず生活支援」、「じっくり相談して意志確認」とか自他ともに認めているような場合も含めて、まずは「職場実習」とか「就労体験」といった切り口で、職場で一緒にからだを動かす中で、できればめんどう見る・見られる関係とか、けんかしながらでも一緒にやっていく(鈴木代表理事談)関係をも切り拓いてゆければいいねということ。それは、鈴木代表理事の「越谷養鶏の村」の記憶につながる。

「まず個の自立、しかる後に共に働く」ではなく、「共に働く中で個の自立を探る」。
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 そうなると、倉川さんのように事業存続の危機にあるが、地域で共にという心意気はとびっきりの事業主も、当然ターゲットに含まれる。分野はさまざまでも、地域にはめんどう見のいい事業主がたくさんいる。そして、自分たちが地域を支えているという意識の人が多い。ただ、アベノミクス宣伝とは裏腹に、経営は改善されず、障害者雇用どころか欠員補充すらできないというだけだ。

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つい最近、地域活動支援センターに通い、水曜だけ世一緒の当番をしていた視覚障害の女性が、週5日・毎日2時間の仕事に就いた先は、ワーカーズコレクティブの弁当屋さん。主婦が中心で地域に役立つ事業所を共同経営しているが、彼女たち自身最賃にも程遠い報酬でがんばっているが、心意気は高い。
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もちろん経営的にもしっかりやれている事業所だって、そういう出会いはある。昨秋の全国協同集会で出会った滑ツ境流通システムの代表取締役・佐藤さんは以前から検察審査会の委員をしてきた縁で刑余者を雇用してきたが、最近生活保護受給者等の職業支援に取り組むアスポートの支援員の熱心さにほだされ、受給者を雇い入れてきた。採用に際して、幹部もパートも全員反対だったと話していた。一人でも二人でも叩きあげて社会に出そうという思いで受け入れていると語る。他の社員たちの「目を覚まさせるために」、その中から幹部候補生にした者もいると、熱く語っていたっけ。
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さらに、事業主ではないが、越谷市職員組合の人々は、臨時職員や委託労働者も同じ職場で働く者同士、そして自分たちも障害者を含む他の市民も、地域の生活者同士という視点で、懐をひらいている。そんな意味で、「職場参加」という形での「共に働く街づくり」には大いなる可能性がはらまれている。

ちなみに、今年、埼玉県は障害者雇用をしたことがない事業所が、5日間、半日程度、障害者の職場実習を受け入れてくれれば、事業所、実習者双方に若干の手当を支給する短期訓練事業を創設した。大いに活用したい。
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越谷市では福祉施設、院内デイケア等の利用者が職員等の支援を受けて、職場実習する「障害者地域適応支援事業」が10年前から存在する。しかし、本人の体験という次元で終わっている事例が多い。今後は、受け入れ事業所の従業員の関わり、施設職員の支援のありかたの見直しを経て、実習終了後も新たな関係を探りたい。障害のある人々が職場の中で、他の人々と互いに顔が見える関係を重ねることにより、地域は大きく変わるだろう。


「職場参加」で大事なことは、「関係を重ねる」こと。関係を固定化させず、編み直してゆくこと。そこにピアサポートや就労支援機関、福祉・医療施設等の支援を活かしてゆくことだ。その場面は、地域のいたるところに広がっている。

 とりとめなく思考をめぐらせながら、倉川農園から帰る夕方。働くとは、暮らすとは…

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*ワークフェア:五石敬路著「現代の貧困ワーキングプア―雇用と福祉の連携策」(日本経済新聞社 2011)より
「ワークフェア(workfare)とは、もともと福祉(welfare)と労働(work)を組み合わせた造語であり、その名が示す通り、福祉と労働の連携を意味している。この主な目的は、既存の社会保障・福祉が単に金銭給付などによる生活の安定を目的としていたのに対し、福祉への過度な依存を防ぎ、就労や社会参加などによる自立を促す仕組みを取り入れようとするものである。たとえば英国では、ブレアの労働党政権において、若者や長期失業者らに対する『ニューディール(New Deal)』として福祉と雇用の連携が図られたが、ギディンズはこれを『第3の道』という新たな政策思想として構想した。先述したように、韓国でも金大中政権が『生産的福祉』という理念を掲げ、『第3の道』との思想的類似性が指摘された(五石 2003、46ページ)。
 しかし、一口にワークフェアと言っても、その内実は国によって様々である。埋橋(2003)によれば、一定時間以上の労働を要求する国もあれば(米国)、そうではなく、職業訓練プログラムなどの参加を求め、より良い条件での就労可能性を高めようとする政策を実施している国もある(スウェーデン)。前者はいわば『ハードなワークフェア』であり、後者は『ソフトなワークフェア』と言える(埋橋 2003 319〜320ページ)。」

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