共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 子どもに引きずられ、周りに引きずられ 関係を編む ― 門坂美恵さん

<<   作成日時 : 2012/09/23 23:50   >>

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TOKO主催・9.23共に育ちあうための勉強会―門坂美恵さん(狭山のペンギン村)を迎えて。いま29歳の息子・豊さんが幼かった頃、医師から「重い知的障害を伴う小児自閉症」と診断された時、正直喜んだと語る。深夜に飛び起きてけたけた笑う、自宅から50メートル地点で必ず靴を揃え走り出す、言葉も出ない…夫からも育て方を言われたりしていた。だから育て方が悪いのでも遺伝でもない、治るものではないので健康管理や療育施設に通うことが大事と言われ、飛びついた。週2回療育施設に通う以外の日もフルに専門機関へ行ったりや訓練を試していた。

 そんな時、近所の子が「おばちゃん、ゆたかがおしっこしたいって言ってるよ。」と言う。言葉もしゃべれないのに。トイレに連れていくとおしっこをする。子どもたちにそう言われてみれば、見えてくるものがある。

 わらじの会はじめ障害のある大人たちとの出会いも衝撃的だった。トイレを手伝ってと言われどうしていいかわからない。息子の問題というよりも自分という人間がどう生きてきたのかと考えた。それがまた息子と子どもたちの関わりにダブって行った(下の写真は当時の美恵さん)。
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 あたりまえのこととしてみんなの中にいることの大切さを、息子にひっぱられていやおうなく人間関係を作らされる中で実感していった。小・中・高を通して近所の子どもたちと学び、地元の工場で働いている。

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 中学の時思春期で大パニックを起こした上の(写真は中3の豊さん)。美術の時間に後ろの席の子の首を絞め、隣の子に絵の具をぶっかけた。世話好きの隣りの女の子が「早くやらないとサンタさん来ないよ」と言ったのがきっかけ。

 「その時小学生の頃からの友達が豊を取り押さえ、女の子の世話をする子、首を絞められた子を保健室へ連れてゆく子…と子どもたちがみんなで対応してくれた。そして、小学校時代の時代からの子たちが豊に、ちゃんとあやまるんだぞと言い、本人がそれぞれにごめんなさいとあやまって。」

  もちろんそれで終わるわけはなかった。「うちには小学校のころから毎日子どもたちが遊びに来ていてその日も10人くらい来たんだけど、なぜかその日は早く来てしかもおとなしいのね。そのうちに電話が鳴って教頭先生からの報告で初めてそんなことがあったのを知らされて…。でも教頭先生は問題にするというより、そういうことがあったことをご報告しておきますという感じで。」その電話の内容を母から聞いた子どもたちは安堵した。それから母は首を絞められた子や女の子の家に電話して本人からすみませんでしたと謝らせた
 よきに付けあしきに付け周りをまきこんでしまう豊さん。すぐ隣に引っ越してきたばかりの老夫婦が1週間もたたないうちに「昨日豊君に頼まれた番組ビデオにとりましたので」と来訪する。録画したい番組が同じ時間帯だったので、片方をお隣に頼みに行ったらしい。こういう障害がありましてと説明する前に、もう知り合っていた。

 隠しようもない存在を介して、子どもたちが互いにつながる。近所中で通りの雪かきをする時、子どもたちは自分の家の雪かきをしないのに、門坂家の前に来て手伝ったり、小さい子に雪うさぎを作ってやったりする。

 後述する「ゆたかスケッチ」から中学2年生の冬の1ページを。

▼どこの高校へ行こうか…
 豊はまだ中学2年生。それでもこの時期になると高校受験が話題になる。豊はいつも学校へ一緒に行くO君と同じ高校へ行くと言っていた。
 「O君と同じ高校へ行くんだったら授業中寝てたらダメだよ。それに今の百倍勉強しなきゃ…」なんて夢を打ち砕くようなことを言ってしまい、心の中で少し反省をしていたら「そっかあ じゃあ あきらめよう」とアッサリ返されてしまった。

▼それでも 豊は…
 豊の幼馴染で1年上のY君が我が家のすぐ近くにある高校を受験することになった。豊は兄のように慕うY君と同じ高校へ行く、と言い出した。
 次の日の朝、「お母さん 行ってきます」 エッ、何事?と飛び起きて時計を見ると、なんとまだ5時を回ったところ。
 「どこ行くの、こんな時間に。」 「マラソンです」 わけわからないけど、私はまあいいかと再び夢の中へ。そして
 「ただいまー」の声で起き、はたと考えた。なんでマラソンなんだ。
 「ねえ豊、Y君の行く高校でいつもやってるマラソンの練習なの?」 「ウンッ」
 そういえば、その高校は冬でも半袖 短パンでいつも学校の周囲をマラソンしているんです。ウーン、ちょっと違う気するけど、その気持ちは大切にしときましょ。

▼ヤ、ヤバイ…マ、マズイ…ドキッ!
 英語のプリントのファイルから、1枚ヒラリと落ちた。英会話の練習の後の相手の感想が書かれていた。見ようとすると豊。
 「ヤ、ヤバイ…マ、マズイ…ドキッ!」
 なるほど―中身は、「声が大きくてよかったよ。でも授業中はネルナー♡」 「もう少し練習しよう。―寝ちゃダメヨ!」 「元気よくできました。でも、ねるなよー。」

 こんな日々を積み重ねつつ、豊さんは近所の県立高校に滑りこむ。そして専門学校を経て…いろいろあって職場へ(下の写真は高校時代の部活・合唱部)。 
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 いまの職場は求職活動が行き詰まった時に狭山のペンギン村他の団体でイベント時に焼きそばの麺を仕入れていた会社に頼み込んで初めは試しで入れてもらったところ。時々パニックを起こしてパートさんにあたってしまうことがあるが、本人が帰ってきてから再現・反復するので家族にすぐわかる。 「ぼくはもうだめです」、「お前なんかもう来なくていい!」 しかし「明日あやまってやり直しましょう」と言うと「わかりました!」と立ち直りも早いのでなんとか続いている。

 ミスが続いた時、こちらが「チェック表でもつくりましょうか」と会社に言うと、「チェック表でかえってこだわるかもしれないからいいですよ」と言われそのままになっている。
 昨夏会社が倒産し他の会社に吸収されいったん解雇されたが、「週に1回でも2回でもいいからアルバイトで続けさせていただけないか」と言ったら、では週2回・1回4時間でその間に就職先を探してと言われやっていたら、そのうち賃金カットで人が辞めていったため仕事が増えてほぼ正社員の時と同じ状況になっている。

 先日地域のイベントに仕事帰りの息子が手伝いに来たが、みんなが帰ってしまった後の片付け作業を黙々とやっているのを見て、会社でもこんな風にやっているんだなと思った。事実、近所の人が間接的に上司のそういう評価を伝え聞いている。

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 「そんな子どもたちが大人になり(上の写真は成人式)、先日息子が友人の結婚式に出た(下の写真)。消防士で最初の出動が溺死体の処理。その後家に帰れず、うちへ来て息子の膝枕で1時間ぐらい寝てから帰った。学校時代『いい子』と思われてしまい、いつも張りつめていたが、うちの息子といると何も気張らなくていい。辛くなるたびにうちへ来た。」

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 門坂さんは「ゆたかスケッチ」というエッセイを小学生時代から社会人の現在まで、狭山のペンギン村の会報に毎月書き続けている。そのスケッチはありがちながんばる親子像ではなく、豊さんというスケッチブックにたくさんの周りの人々が描かれた地域の風景画の趣だ(下の写真は9.23勉強会)。
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