共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

アクセスカウンタ

zoom RSS 母里啓子さん講演 「インフルエンザありがとう 学ぶ機会を与えてくれて」

<<   作成日時 : 2010/01/25 00:23   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

画像


天災は防げない。インフルエンザも防げない 
母里啓子さんをお迎えして、わらじ市民福祉講座「インフルエンザのほんとの話」を開きました。司会は、越谷市障害者生活支援センター「苞(ぱお)」の職員の辻彩子さんと春日部市の地域デイケア施設・パタパタの職員の吉田久美子さんです。
 母里さんの冒頭の言葉。「天災は忘れた頃にやってくる。でも天災は防げない。インフルエンザも防げない。それを防げると思ったところから、今回のまちがいが始まったんです。」

画像


来年になったらきれいなワクチンが 
 母里さんの原点は、若き日、大学院生として伝染病研究所にいたとき。当時日本脳炎は怖い病気ということでワクチン接種が奨励されていたけれど、そのワクチンは大変副作用のひどい「汚いワクチン」でした。1963年、研究者たちは、きれいなワクチンを作ることに成功しました。しかし、「在庫が1年分あるから、きれいなワクチンは来年から」という方針が出され、発表も先送りにされました。母里さんはそのことを知りながら、子育てをしている友達にワクチンのことを聞かれた時、「今年は止めときなさい。来年になったらきれいなワクチンが出来るから」と言うのがやっとでした。内部告発もできないままに、2億円の在庫は全部使われて、その後に「きれいなワクチンができました」という新聞記事が出たことを、今も忘れられないそうです。そして、「今も同じです」と。

画像


ワクチン被害児の親子とともに
 そんな母里さんが「ワクチン」を問う運動にかかわるのは、吉原賢二著「私憤から公憤へ―社会問題としてのワクチン禍」(岩波新書 1975)との出会いから。著者は、60年代に1歳半の息子さんがインフルエンザの予防接種に行って障害児になり、その子と共に生きてくる中で、障害児がこんなにいるんだとわかり、東京、大阪、福岡、名古屋で120数人の原告がワクチンの集団訴訟を起こしました。結審するまで16年もかかりました。「何もわからない子どもたちを連れて行き、よかれと思ってしたワクチンで障害を負わせてしまった親御さんたちの気持ちはいまだに癒えることがないですね。」と、母里さん。「インフルエンザワクチンを打たないで」という母里さんの本は、「ほんとうに再びこんな思いをさせてはいけない」という吉原さんら親たちの痛切な心を結集したものだと語られました。

画像


得をする人、犠牲になる人は誰?
 いくら後悔しても後悔しきれないワクチン被害児の親たちの思いを受け止めながら仕事をしてきた母里さん。「昨年、今年のインフルエンザの騒ぎは、先にワクチンありき、先にタミフルありき。最近の新聞ではなんと、ワクチン9900万回分確保を承認したと。お医者さん向けの厚労省のホームページには、9900万回分確保するから、これから予約を取るようにと書かれています。」
「でも厚労省発表でさえ、今年の新型インフルエンザはもう2000万人がかかっていて、その周りを調べた結果、熱も出ずに抗体が上がっている人が1.5倍いると言う。世界的に唯一と思われるインフルエンザワクチンの大規模な疫学的調査・研究である20年前の前橋市医師会のレポートでも、抗体だけ上がって元気に飛び回っている子どもが半数いることがわかっています。ということは、2000万人の周りにもう4000万人かかっちゃった人がいるわけです。」
「今年はお年よりはかからなかったが、50年前にスペイン風邪にかかった時の抗体が残っているからだろうと言われています。本物に一度かかれば50年後だって抗体をもっているからかからないと言われている病気に対して、毎年毎年ワクチンを打つって?誰のためのワクチンなんでしょう?誰が脅かされて6000円ずつも払っているんでしょうか?得をする人、犠牲になる人という形で、物事の本質を見てほしいと思います。」

画像


差別と偏見はあっという間に広がります 
 「日本の感染症研究のいちばん悪い点は、ともかく悪い伝染病は外国から来る、それを隔離して追い出しちゃえば済むんだという、黒船以来の発想なんです。」と、母里さんは指摘します。1970年代に種痘をして亡くなった子どもの場合、主治医が「この子は湿疹があるし、天然痘なんてもう20年も日本にないんだから種痘はやらないでいいよ」と言ったのに、保健所からのお知らせでお母さんが連れて行きました。20年も病気がなかったのに、1970年代にWHOが天然痘が世界からなくなったという宣言を発するまで、日本では種痘を止めなかった、そのために種痘後脳炎などでたくさんの犠牲者が出たのです。
 今回も、神戸のバレー部の高校生たちの家の前に、防護服を来た人々が車で乗りつけ、収容して行くという状況があり、その高校の制服を着ているだけでバスに乗せてもらえなかったそうです。感染症法では隔離条項は廃止されたのに、検疫法では残っているからということだそうです。母里さんの言葉、「差別と偏見はあっという間に広がります。法的に何もなくても、いざという時にはやれちゃうんですよね。それを容認してしまう周りの雰囲気」。京都の修学旅行は、千何百校キャンセルされ、緊急措置で山口県の秋芳洞に大量の修学旅行生が行き、それまで3年間使ってなかった施設に受け入れた結果、ボイラーが設備不良で一酸化炭素中毒で一人が死亡する事故も起こりましたが、インフルエンザの余波だとはどこも報道していません。

画像


感染症対策ではなく、危機管理という厚労省
 母里さんたちは、騒ぎが始まる前の9月9日に、市民委員会を立ち上げ、厚労省に申し入れました。
オーストラリアではもう夏になるところで、冬が終わっていました。オーストラリアでは、WHOの勧告などで6000人が亡くなるだろうと予測を立てていたのに、普段の年より感染者は少なく、死亡は172名しかいなかったという結果が出ていることも伝え、ワクチンの輸入はしなくていいと訴えました。すると厚労省の担当者は、「これは感染症対策ではなく、危機管理で輸入するんです。だから手を縛らないで下さい」と言ったそうです。10月29日にまた申し入れに行ったときは、事業仕分けをしているときでしたが、「これは国民の安全のために政府が保険をかけましょうということです」という答でした。1200億を輸入、国産のを合わせて1400億と言っていました。最近の新聞では9900万回。もう危機だとは誰も思わないのに。「危機じゃないんだからやめろ」とまた申し入れに行かなきゃならないんでしょうか。

画像


ワクチンの起死回生を狙い怖さあおる
 インフルエンザについては、かって「学童防波堤論」というのがあって、2千万人近く打っていた時期がありました。94年度までは、秋になると半強制で2回ずつ打ち続けていたのでした。前橋レポートが出て、打っても感染を防げないことがわかり、母里さんたちの運動の正しさがはっきりし、どんどん減っていきました。当局は「ワクチンにとどめをささないでほしい。ワクチンを作る能力は保持しておきたいから」と言いました。しかし、30万人分作ったうち6万人しか打たず、全部残ってしまいました。それがちょうど阪神淡路大震災の年で、国はワクチンを打ちに神戸へ行く医者を募り、15万人分の売れ残りを買い上げて打ちに行かせました。しかし、棺桶を作っているところへワクチンを打ちに行ってもギャップが甚だしく、3000人分くらいしか打てなかったそうです。それを機にワクチンメーカーがつぶれ、器械がさび付き、養鶏業者がつぶれました。その後、5年後の見直しに際し、今度は「施設で老人が死ぬ」というキャンペーンを張って、起死回生を狙い、さらに今回の新型騒ぎを起こしたわけです。

画像


インフルエンザありがとう
 国、研究者、業者、報道機関の責任はたしかに大きいものがあります。しかし、普通の市民も責任の一端を担っているのではないでしょうか。昔は「いまのうちうつっておいで、軽くすむから」と言ったものでした。しかし、今は、「隣の子が咳してるんですけど、まだ学級閉鎖にならないんですか。」といった電話が、保健所にかかってくるそうです。
 母里さんは言います。「あまりにも豊かになりすぎて、見えるものも見えなくなっちゃったのかな。戦争もこういう風に突入しちゃったのかもしれないなあ。答だけ求めないで、このへんで少し悩んでもいいのかなと思います。たしかによくなったけれど、思想的には貧しいなあと。差別と隔離のらい病の歴史とあわせて、このインフルエンザからも学んでほしいと思います。そういう学ぶ機会を与えてくれて、インフルエンザありがとうと言いたい気持ちです。」

まだまだ続きます 母里さんのお話→http://yellow-room.at.webry.info/201002/article_2.html
http://yellow-room.at.webry.info/201002/article_4.html
http://yellow-room.at.webry.info/201002/article_7.html







テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
母里啓子さん講演 「インフルエンザありがとう 学ぶ機会を与えてくれて」 共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる