リカバリーと就労支援 2021.4.28 すいごごカフェ 鈴木篤史さん(障害福祉サービス事業所アバンティ)【前編】

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社会福祉法人じりつで大事にしていること

 私は“社会福祉法人じりつ”から来ました。じりつは「安心・自信・ゆとり・よろこび、みんなが活躍する地域社会を創造します」という理念の下、生活ホームや、カフェ経営とか病院から委託されている清掃の事業をやっているB型や、精神障害者にも対応した就労支援センターもあって、地域との交流を支援したいという思いでやっている。私が所属しているのは障害福祉サービス事業所アバンティというというところで、就労移行支援と自立訓練(生活訓練)をやっている。

 自立訓練には、集団生活になじめないからデイケアはしんどい方とか、再就職できなくて自信を失くしてしまった方、十分なサポートを受けられなかった方、そういった何かしらうまくいかない方が来ている。こういう状態でとりあえずA型、B型行きましょうじゃなくて、人生設計を考えるために自立訓練をしてもらっている。だいたいの方は生活訓練で生活のイメージが湧いて、次のスタートでうまくいく傾向があるかなと。

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就職件数は増加、しかし離職が増えている

 現在、いろんな就労支援の仕組みがすごい増えて、障害者の就職の件数自体はすごく増えている。埼玉県の障害者の就職件数の表を見ると、精神障害者が2135件で断トツで多く、知的と身体は1000件に満たないという数字が上がっている。平成16年~25年の約10年間で7倍くらい精神障害者の就職希望が増えている。つまり、精神障害者が働くチャンスというのは増えている。

 問題は離職が多いこと。これは精神障害者の課題で、リカバリーの視点を大事にすればいい。病気が良くなった時、精神障害者の方の多くは今まで自分を囲っていた地位とか自信はどこにいっちゃったかな、という状態でスタートしなきゃいけない。自分の良さ(自信)を全部失っちゃってると、自分への信頼がなくなっているので、ハローワークとかで仕事に就くと、すぐ絶体絶命になって辞めちゃう、これが背景じゃないかなと。だから、病気を治すことだけではなく、新たな人間関係やつながりを作って、改めて自分らしさを再構築しましょうね、というのがリカバリー。治療の一種として必要ということ。リカバリーはそのまま訳すと「回復」。臨床的なリカバリーは症状の改善。客観的なリカバリーは一人暮らしできたねとか、誰が見ても前進したねって思えるもの。だけど、そこだけじゃなくて、わくわくすることが増えたとか、将来への希望が増えたとかいった主観的リカバリーも大切だと思う。そして結果だけでなく、そこにたどり着くプロセスが合わせて大事。


就労支援の在り方の変遷

 企業への就職がすべてではなく、もっと社会参加の形はあるんだろうなと思う。障害者雇用で企業で働くとなると、雇用促進法で、週20時間以上働かなきゃいけないというラインが、すでにハードルが高い。ここまでたどり着けない人もいれば、目指さない人もいる。だから、1人1時間働くことに価値を見出したい。2人で1人分やればいいよね、という考え方もできる。生産性というものに引っ張られずに新たな価値を見出すという価値観をもっと広げないといけないなと思っている。

 時間を守る、作業をこなせる、ホウレンソウ…働く上であれもこれもできるようになるための訓練をしましょうというのが20年くらい前までの就労支援の考え方。今は環境調整。会社がわかってくれれば働けるので合理的配慮をしなさい、というのが言われていて、会社がすごい頑張ってると僕は思っている。でも、会社側が全部やればいいのではなくて、当事者の方もセルフマネジメントする力を身につけられたら…ここらへんを会社と当事者と僕ら支援者とで手をつないでやっていきたい。一番言いたかったのは、精神障害という方は病気が治ればいいんじゃなくて、そこから自分らしさとか経験値を高めなおしていかないと離職につながってしまうよ、ということ。

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⇒後編へ続く
https://yellow-room.at.webry.info/202109/article_6.html

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