共に働く街を創るつどい2019 パネル 「省庁・自治体の障害者雇用は 共生・共働社会を拓くか?」 12月8日(日)  熱く 深く

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12月8日(日)、越谷市中央市民会館での「共に働く街を創るつどい2019」を開催。

パネリストのトップは、埼玉県庁の正規職員で聴覚障害者の清水さん。
県の障害者雇用要綱にある「配慮に努めるものとする」という記載と改正障害者雇用促進法の「合理的配慮」とは似て非なるものだと述べる。その鋭い感覚の底には清水さんの小学校時代からの体験がいまにつながっていることもよくわかった。

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不可解な行動の中にこそ重要なメッセージが潜んでる
 地域の学校でひどいいじめを受けた。その時、非常ボタンを二度も押して、学校中大騒ぎになった。学校へ行かなくなり、全寮制のろう学校に転校したら、知的と聴覚の重複障害の子が同室で、その子が夜トイレに行くたびに付き添わねばならず苦労した。悩んだが、その子は幼いころ言うことをきかないとトイレに閉じ込められた体験がトラウマになり、トイレのドアを閉められないのだと後に知った。

 自分の非常ボタン事件と重ね合わせ、説明できないということには何かSOS、伝えたいことが逆にあるんだとわかった瞬間だった。
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職場には不可解なこと、だからこそ重要なことがいっぱいある
「やさしい」という言葉の意味も自分はわからず、手話を学んで初めて知った。社会人になって初めに研修があったが、あなたは介護なしで職務遂行できるということで受験したはずだし、税金の無駄遣いになるからと言われて、手話通訳を付けてくれなかった。

それで自分は研修を受けず仕事をした。その時、研修を受けなくていい、一緒に働こうと言ってくれた先輩が組合員だったので、自分は組合に入った。

現在は研修に手話通訳が付くが職場内や外部での手話の普及、電話リレーサービスの導入などは、今後の課題。
傍聴型コミュニケーション(健聴者同士でも手話を併用することで、傍にいる聴覚障害者が状況を理解できる)も重要だ。

車いすの県職員が雨の日に休むことが多い。濡れるから。駐車場に屋根を設置するよう求めているが、工事費用が高いからと認められないままだ。

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隔離施設を必要とする地域の差別構造を変えるせめぎあいの最中で
 NPO法人やまぼうしの伊藤さんの「入所施設から地域へ」に始まり、そのベクトルではなく「地域から施設もひっくるめて変えてゆく」運動になってきた歴史もすごい。

 その蓄積の上に、社会が直面するプラスチックリサイクルの事業委託をめぐり、せめぎあいの最中にあるという。

 リサイクル施設全体は一般入札にかけられているが、その中のプラスチックごみ選別部門を市はやまぼうしが障害者ほかの就労困難者が共に働く場として想定している。

 やまぼうしは共に働くための条件を入札参加の全企業に示しているが、その条件に対し明確な答えを示さない企業が第1位になりそうな情勢で、元請け段階で共に働く条件が確保されなければやまぼうしは下請けになるつもりはない。
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FAC自給圏構想の中のプラスチックリサイクル事業

 やまぼうしは、自分たちが生きるための営みが仕事と考え、就労生活支援センターの名も「くらしごと」と付けた。

 いま山梨・三多摩エリアで「ミレット(雑穀)ロード」と名付け、F(食)、E(エネルギー)、C(ケア)の自給圏構想を考え合っており、くらしの質を問うことはしごとの質も問わねばならないという視点で、今回のプラスチックリサイクル事業について考えているという。

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「障害者とつきあいたくないが 数は合わせたい」 虚業が栄える時代
 雇用率代行ビジネスで高収益をあげる「エスプールプラス」問題を世に問うた毎日新聞社会部記者の山田さんは、軽度の知的と中・重度の聴覚の障害をもつ姉と同じ地域の学校で育った子ども時代から、長じて姉が特例子会社で心を病み、離職せざるをえなくなった過程での就労支援関係者の、本人の責任だけを問うような言動に疑問をもったことが原点にある。

 2014年にエスプールプラスの農園のことを知ったが、巨大なビニールハウスで、障害者が連れて来られて、水まいて何するでもなくぼーっとしている人たちがいる光景は、やはり悲しかったし、気持ち悪いなと思った。でも、聞いてみると、通ってくるだけで最賃が保障され、「よかった」、「ありがたい」という家族や福祉関係者もいた。

 その時すぐに記事にはできなかったが、こんな気持ち悪いビジネスは2,3年したら減るのではないかと思っていたが、「障害者は雇いたくないがコンプライアンスは重視」という企業ニーズにマッチし、大きく膨れ上がった。しかも協定を結ぶ自治体も現れた。
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 「難しい」、「過重な負担」で切らず、一緒に試行錯誤を
 疲れている人が休息しながら働いて10万円ならこういうのもいいかと思ったが、協定を結んだ行政担当者の「汗水流さないでいいから」とか、企業の「知的障害や精神障害の人と働くのは難しいんですよ」と最初からあきらめている姿勢、何よりも「簡単な仕事でいいじゃない」という関係者の言葉に腹が立った。

 たとえば農園の指導員さん的な役割の人が、出来すぎた苗をまびく作業を全部やっていたので、一緒にやらないんですかと訊くと、「いやあの子らには無理だから」と。

 「時間がかかるかもしれないが一緒に働こう」という気がない。障害者も「楽でいいや」と思うかもしれないが、そうするとまた障害者のイメージが悪くなる、悪循環だと山田さんは思う。

 山田さんは、清水さんの話を聞いて、駐車場に屋根を付けることは、車いすの職員だけでなく、県庁を訪れるベビーカーの親子にとっても必要だと思ったと述べる。

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 ひとりひとりの「働きたい」を受け止める職場・地域とは
 就労移行支援「世一緒」利用者の佐藤さんは15年にわたる工場労働の経験があり、その後脳梗塞で障害が重くなったが、労働のリアリティを身にまとっているから、現場に行くととたんに意欲がみなぎる。

 先日、高齢者施設で食堂の椅子をテーブルに上げて掃除機とモップがけをやり、ベランダも掃除する実習をやった。残念ながら就職にはつながらなかったが、働きたかったという。

そんな佐藤さんの職場実習に同行した支援員の大塚さんは、バス停から実習先まで歩くのも佐藤さんにはかなり大変で、後半は車を使ったこと、椅子をテーブルに上げたり、モップの水を切ったりするのは難しいので代わって行なったという。

佐藤さんと自分のセットで一人分という気持ちでやったが、事務長さんから見ると納得できないようだった。

佐藤さんが足がもつれてくると椅子で休み、その間代わりにモップがけすると、事務長から「本人にやらせて下さい」と注意され、「そんなに休憩を取っていてはほかの職員に示しがつかない」と言われた。
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「生きることが労働」そして「介助付きの労働」も
大塚さんは長年特別支援学校の教員だったが、佐藤さんと同じような障害の生徒は通所や入所の施設に進むのがほとんどで、これほど積極的な人を見たのは初めてだという。

かって青い芝の重度障害者たちが「生きることが労働だ」と言ったことを思うと、エスプールの障害者が難しい仕事をやらなくてもいいのではとも思うが、社会の基本として幼いころから共に学び育ち共に生きる関係が希薄になっている状況を問い直してゆかねばと痛感する。

そんな中で大塚さんは、令和新撰組の木村さんが提案している介助付きで働く地平を、佐藤さんと共に切り開きたいと語る。その現場として、自治体の公共サービスを想定し、そのありかたを問う。

佐藤さんはコメンテーター席に向かい、「小田さん!山川さん!ぼくに仕事を下さい」と訴えていた。

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自治体職場で一緒に働く関係をいかに深めるか

コメンテーターの越谷市人事課副課長・小田さんは、パネリストたちの重い体験を聞き、用意した報告を述べるのが憚られたと率直に述べる。

聴覚障害者を新規採用したが、研修などで十分配慮出来ていたか、車いす使用者とも一緒に仕事をしているが十分配慮出来ているか反省している、一緒に働く職員が理解と知識を深めていけるようにしたいと述べた。

越谷市障害福祉課副課長・山川さんは、共に働く社会を実現するために自治体がサービスの提供はもちろんだが、自らの課題として主体的に取り組むことの重要さを改めて学ばせていただいたと語った。

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自治体職場の基盤を崩さないか、会計年度任用職員制度

会場からの指定発言者、越谷地域公共サービスネットワーク議長の山下さんは、来春から全国の自治体で実施される会計年度任用職員制度が、単年度雇用を固定化することにより、現在障害者雇用の新たな波ともなり、増加し続けている非正規公務員たちの現状をさらに厳しくするのではないかと警鐘を発した。
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「仕事合わせ」・「暮らし合わせ」でワンチームへ

コーディネーターを務めていただいた朝日さんのまとめーいろんな壁があるが、壁は自分が自分を守るために作って来た面もあり、「共に」と「働く」への根本的な問いかけが問われる。

「数合わせ」でなく「仕事合わせ」、「暮らし合わせ」を!。「今日のつどいをはやりの言葉を使わせていただき、ワンチーム」ということでまとめさせていただきたいと締めくくった。

パネルディスカッションを終えた後、恒例の「自治体提言」を「世一緒」や「就労移行支援・世一緒」の障害者達が読み上げ、つどいを終えた。

総合司会の野島久美子さん、ご苦労様でした!

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