6.28総会記念シンポジウム 「障害者活躍」を問うーその存在は「不要不急」かそれとも 速報

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 詳しい報告は、あらためて行いますが、6月28日(日)に開催された、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会総会記念シンポジウム <「障害者活躍」を問うーその存在は「不要不急」か それとも>の速報です。


「障害者活躍」ってなに?という人がほとんどではないでしょうか。その一方で、コロナ下で、会社でも地域でも障害者はいわば「不要不急」の存在として、社会参加や情報保障から遠ざけられ、ひたすら自粛してもらいたいという扱いを受けてきたことはマスコミ等でも一部報道されてきました。

 今回のシンポジウムでは、「不要不急」の存在とされた側からのリアルな発信と併せて、にもかかわらず今年度からすべての省庁・自治体に「障害者活躍推進計画」作成が義務付けられ、さまざまな障害者を雇用し、政策決定過程への障害者参画を推し進めるのだとされたこととの間の限りないギャップの前で、私たちすべてがどのようにふるまうべきかを検証し合いました。

  上記のギャップについていえば、無視せず、避けず、さまざまな立場の人々と連れ立ちながら、ぎくしゃくと歩んでゆきたいと考え、このシンポを設定しました。

 コロナ下でのシンポは、半数に入場制限された状況の下、あえて開催し、近くの世一緒で、さらには自宅でのyoutubeによる視聴も併せて、多くの方々の参加を得て開催しました。
 縁の下の力持ちを務めていただいた方々を含め、ご協力に感謝します。

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聴覚障害を持つ県職員たちの「活躍」で知事会見に手話通訳が付いた

聴覚障害を持つ県職員・清水克彦さんの熱弁。コロナ対策で知事会見が注目を浴びているが、埼玉県では手話通訳が付いていず、聴覚障害者団体等からの要望に対しても、高額の予算が必要なので議会の審議を経てとか、テキスト版を見てほしいといった回答に終始していた。

これに対して、清水さんをはじめとする聴覚障害をもつ県職員5人が要望書を提出し、マスコミ等で報道され、ようやくにして手話通訳が付いた。この一連のプロセスは、「障害者活躍推進計画」作成のための国の指針に書かれている「公務部門における障害者の雇用は、政策決定過程への障害者の参画において重要な意義をもつ」ということを、まさに裏書きしている。

この問題はまだ終わっていない。県は手話言語条例を制定しその中で災害時の情報保障を義務としているのに、当初は手話通訳をテキスト版で代用できるとしたり、手話通訳は莫大なお金がかかるから過重な負担とみなせるとしてきたこと自体、不当な差別ではないのか。清水さんは県の差別解消法窓口の障害福祉推進課に申し出たが、同課は差別に当たらないと言う。では、障害福祉推進課が差別を行っている場合、どこに申し出たらいいのか。

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率先して障害者雇用に努めてきた自治体からは「活躍推進計画」に反発も

車いすのさいたま市議・伝田ひろみさんは、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークという全国組織の代表。

「障害者活躍推進計画」については、一昨年夏に雇用率水増しが明るみに出た自治体等が、今後のさらなる法定雇用率アップを前にこの計画作成に力を入れている半面で、これまでそれなりに雇用に努めて来た自治体では、「降ってわいたような計画で、強制的に作らされる自治体はいい迷惑」、「計画を作ることにパワーがそがれ、知的、精神等の採用に力を入れられない」といった受け止め方もあると報告していた。

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障害者に厳しい職場、でもその体験を生かし行政と地域のパイプ役にも

NPO法人視覚障がい者支援協会ひかりの森理事長で、自身視覚障害者の松田和子さんは、自治体職員として働く視覚障害の友人について述べた。後天的に目が悪くなり、いままでできた仕事がなかなかできなくなった時、周りや上司の配慮がなされない。無視されたり、動かなければならない部門に回されたり、やさしいという言葉とは程遠い結果になっている。

日盲連には厚労省職員時代に失明し、職場復帰した人が、自分の体験を生かして相談を担当し、国とのパイプ役としても活躍している。前から思っていたことだが、市役所の受付にもし車いすの人が坐って受付してくれたとしたら、その場面からすぐにここの市は共生の街づくりをすすめているんだなとわかると思う、と松田さん。

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知的、精神障害者等に現業含め仕事創出を、公契約条例活かし受注企業も

就労移行支援事業所「世一緒」支援員の大塚眞盛さんは、34年間、障害児学級・学校で教員として障害のある生徒たちの進路に関わって来た体験を踏まえて語った。これまで国連障害者の十年、障害者雇用促進法などに期待したが、すべて裏切られてきた。今回の障害者活躍推進計画も同様かという危惧はあるが、それでは始まらないので、確実に実行してほしいという気持ちでいる。

 特に知的、精神障害者は、事務部門に限っての採用では難しい。計画の中の「新しい仕事の創出」は前向きだ。現業の仕事、たとえば清掃や給食業務などは、仕事内容を分析して考えていけば、いろいろな人たちが働ける。公園整備や樹木の整備もそうだ。市から仕事を請け負った業者の中にも、いろいろな障害者が仕事できる業種がある。越谷市には公契約条例があり、その施行規則の第2条には社会的価値を生み出さないといけないと書かれている。配慮されるべきことの一つに障害者雇用がある。

こういういい施策を生かしてほしいと思う。障害をもつ当事者や私のような「世一緒」支援者と市の担当者と一緒に、いまやっている業種の点検というか「この仕事ならやれそうではないか」ということを掘り起こしていく動きを試みてほしい。新しい柔軟な考え方で、仕事を創り出そうという意味でも大事だと思うと大塚さん。

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シンポジウムでは、つぎに、コロナ下で「不要不急な外出」とか、「マスクが正しい」とか、「新しい生活様式」とかの公的メッセージによって、人の暮らしの営みが阻まれたり、障害者が共に生きられない状況が生じている中での各自の体験を伝え合った。


清水さんは、東日本大震災はじめ災害時にボランティアに応募したが、コミュニケーションがとれないからといつも断られてきた。今回、軽症者のホテル療養のボランティアに申し込んだが断られ、何か仕事をと要望し、試しで1週間。PCR検査の手伝い等。考えてやることが仕事と思った。

大塚さんは、日本人のまじめが怖いと言う。この会場に半数しか入れないとか、マスクだとか。この状況の中で感染した子が治って登校してきても「近づくな」となるのでは。決められたことをその通りにやるのでなく、探り合っていくことがなければ、障害者も囲われてしまうかもしれない。

伝田さんは、大けがをして10月から3月まで寝たきりの生活だったので、ヘルパーに身の回りのすべてを頼んでいた。超密着の生活。ヘルパーが夜帰る時、明日も元気で会おうねと互いに励まし合った。病院ではこんな介助はしてもらえない。免疫力をと、ケガの前よりよく食べ、寝た。

松田さんは、視覚障害者は「密接」がなければ生きていけないと言う。買物先で白杖を持った人が「密接じゃないの?」と冷たい視線で見られる。だが、常に課題があるからこそ、視覚障害は財産。一人いることで周りが変わり得る。それは真の共生だと語る。

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コーディネーターの朝日さんから、障害者活躍推進計画に関して、地域で生きる市民からの期待や課題を提起していくことの大切さが指摘され、パネリストがそれぞれ語った。
その後、コメンテーターの越谷市役所のお二人、最後に朝日さんからまとめに代えてのひとこと。

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伝田さん:元々「活躍させてやるぞ」と上から目線の感じ、障害者職員と一緒に作るべき。でも大塚さんの言うように、新しい仕事の創出に少しは期待したい。

明石市では広報の内容を知らせる明石手話チャンネルをyoutubeで立ち上げ、聴覚障害のある市職員が担当する。障害者だからこそできることがあり、それが市民のためになる。逆にコロナでは命の選別が企てられ、英の障害者団体が阻止した。差別を許さぬ社会を。

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松田さん:こういう障害者がこういう仕事をしてますよということを、どんどん知らせてほしい。あと、コロナでは保健所と連携してないと大変だと思った。保健所や保健センターにも、必ず障害がある職員がいてこそ理解が深まると思う。市は障害者の育成事業として、まず視覚障害者向けの歩行訓練士を雇用してほしい。

障害のある人はどうして生きていくかと周囲に働きかけて、自分を活性化させ、可能性をもっている。

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大塚さん:もうひとつのポイントは採用試験。公務員になるには一定の競争倍率を生き残らねばならない。でも知的障害者は学科試験はまずゼロに近いと思う。いろいろな弱さをもった人が一緒に作る社会を考えた試験のあり方を。私の教員時代、臨採を1,2年やったら学科試験免除になった。それを会計年度の人にも。あと知的障害者は競争社会で八方塞がりだが、たとえば実習をやってあとは抽選で採るとか考えてほしい。

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清水さん:かって県税で働いた時、4日間の研修があり、手話通訳を要望したが断られた。通訳がなければ参加できないと言うと、障害福祉課の人が「4日間通訳付けるといくらかかると思うか」と訊き「5万円かかる。税金泥棒だ」と言われた。4年後にやっと県では手話通訳が付いた。しかし、さいたま市を含め市町村はまだ。

かって、私が研修を休んだ時は変な人と思われた。組合の人が理由を聞いてくれて広めてくれた。

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コメンテーターのお二人から・・・そして朝日さんから 

斉藤秀樹さん(越谷市障害福祉課調整幹)

障害福祉課着任3ケ月目です。松田さんの話から、コロナ下でスーパーの食品を視覚障害者が顔に近づけて見ているのを周りの人がよくわからず嫌な顔をするとか、避難所内での移動にも課題があるといった記事を想い起した。

石塚卓也さん(越谷市障人事課副課長)

越谷市ではここ数年臨時職員を数名ずつ雇い続け、各課から切り出された仕事を共に行ってきた。障害者活躍推進計画は3回の委員会を経て作成した。新たな計画の導入や見直しなども行えるので、今日出されたことも踏まえて進めていきたい。 

朝日さんからまとめに代えて:

「活躍計画」と「コロナ」を切り口に語り合った。立場や状況により向き合い方や期待が異なる。集まって話し合い情報共有することが大事。役所の計画を遠巻きにするのでなく、民間事業所も参加できるように、総合して地域・職場への参加を考えていく計画を。

コロナは誰にとっても制限、制約をもたらすが、だからこそ障害者の社会参加を考えてゆくことで、ほんとの意味でコロナに向き合っていく知恵と勇気が湧いてくるのではないか。


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