不寛容な時代状況を病と共に生きる 2020.1.15 すいごごカフェ 高瀬勇さんトーク

DSCN8041.JPG分裂病から統合失調症へ
 精神分裂病と呼ばれた病が統合失調症と呼ばれるようになったのが確か2003年頃。家族会の人達がイメージが悪いから変えてくれと言ったのがきっかけ。公募して決まったのが統合失調症。失調という言葉は、一時的というイメージがあると思う。ずっと病気じゃなく治る病気なんだと、当事者も意識が変わった。

口にできなかった10代の体験
 私は10代の時に入眠幻覚と覚醒幻覚を体験した。眠る時は目覚めていながら夢に入る感じ。金縛り状態で悪夢の世界が渦を巻いて自分を引き込もうとする。引き込まれる前に汗だくになって恐怖で目が覚める。早朝に目が覚めると、幻覚を見る。ぼや~っと湖が現れて、鮮明なブルーになっていって、迫ってきて消えていく。

 私は病気扱いされるんじゃないかと、この体験を10代の間は誰にも言わなかった。精神科病院に就職して、私よりすごい幻覚妄想の中で生きている人達に出会って、喋れるようになった。そうしたらそれらの症状が消えた。以来、ずっと見ていない。

 なぜそういう体験をしたのかというと、思春期だったからだと思っている。中学2年の後半に進路を問われ、振り分けられることによって一緒に遊んでいた仲間じゃなくなると考えたら辛くて、絶望したから。そこからいろいろ迷って、商業科に通ったけど、大学に行きたいと思い、進学校を受け直した。その後は明治学院大学に。その後、競争するのが本当に嫌で、民間じゃ通用しないから、精神科に就職したんだと思う。
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精神科病院の現場で 影響受けた3人の識者
 就職のきっかけは子どもが生まれたこと。「看護助手募集」の広告を見て応募。資格不要。」たぶん当時の川口病院のトップが開放化を進めるために30代までの若手を集めたんだろう。3年くらいはかなりの勢いだったが、内部分裂。不当解雇撤回闘争をしたが、脱けていき一人になってしまい、陽和病院に移った。

 統合失調症の人とのつきあい方は4年働いた川口病院が基盤になっている。加えて、3人の識者の影響を受けた。シュビングは、著書に「何も言葉をかけないけど、ただそばにいる」と書いてある。会得したとは思わないけど、そういう感じでやっていた。コンラートという動物行動学者は、自分が寄り添って動物の仲間になっちゃうすごい人。そういうふうに入っていく姿勢を教わった。

 中井久夫という人は、ほとんどの医師は発病過程しか書かなかったが、回復するんだよという道筋まで書いた人。職員はだいたい急性期に出会う。あとで聞いてみると、必死になって死に物狂いでやっていたって時に発病したりとか、その人なりのエピソードがある。中井さんの話で注目したのは急性期から回復期に移る臨界期というもので、たとえば熱が出たり下痢したり回復途上のまゆに包まれた状態のこと。極度の孤独状態。治るんだってふっと手を放してしまわず、臨界期こそそばにいなきゃいけないと強調していた。

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妄想とのつきあい
 妄想についていえば、その人が体験していることはほんとのことだと思っていて、区別できないと思う。でも、世の中はこれに反応しちゃうといけないのかなと、0.05秒が働くんです。周りの人が言ってることは病気で、自分のはほんとのことだと思っている。
例えば夜勤の時に地球を助けなきゃいけないからお前もやれって患者さんに言われて、保護室で1晩一緒に過ごした。そのうち疲れて彼は寝ちゃったんだけど、次の日からはやらなくなった。ありがとうと言われた。行動を真似していくうちに、受け入れてもらえたんだなと思った。

 興奮している(いわゆる暴力的と見える)人、みんなで囲んで押さえつけようとしたら絶対暴れる。関係ができていたら1人でも大丈夫だと思う。暴れるというのは誰かに手を出すんじゃなくて、苦しくてもがいているから暴力的に見えるだけ。落ち着かせるためには、一番にはその人の名前を呼ぶこと。

妄想と対話できる人(ケンカではなく)の例
【ビデオ[幻聴の声と戦った、統合失調症と診断されているよしこさんの話]
この人もそうだけど、人生でこういう背景があって病気になるっていうのがわかる。病気になることはその人を助ける防衛装置なんだと思う。

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質疑応答

Q:そこまで親身になると自分自身が引き込まれたりしませんでした?
A:20、30代は病んでいた。なので、これ以上私が巻き込まれたら精神衛生的にまずいという線を確定するようにした。巻き込まれるくらい思うことは悪いことじゃないと思うけど、戻ってこられることが大事。仕事している自分とプライベートの自分の世界を切り換えられるように。若い頃はくよくよ考えちゃったけど、今は自分の日常に戻ってこれてるつもり。帰り道を探しながら巻き込まれていく。

Q:電車に乗ると気持ち悪くなる。なんでかなあ。
A:統合失調の人で、電車の揺れとか人混みが苦手な人がしばしばいる。誰かと一緒のときは平気なんだけど。中井久夫は「視線に被爆する」と言う。

Q:うつで大量の薬を出され、よだれを出して昼間も寝ている時期もあった。私も知り合いみたいに薬をやめたい一人だが、主治医は抜いた時が怖いからと言う。でも長年病気を病んできて、自分の病気をわかっているつもりだが、安定剤みたいになっている。
A:やめてもいいけど、やめて病気とどうつきあうか。絶好調からどんと落ち込むこともあるから、どう対処するか。

Q:眠れないと言ったらどんどん薬が増えて、眠気がいっぱいきちゃって、転んじゃって頭をぶつけたりした。びっくりして入院して薬を調節してもらってだいぶんよくなった。眠れなくてもがまんすることも必要なんだなと思った。前は赤玉服んでた。
A:赤玉は製造中止になった。ただイソミタールに代わる薬がない。増やせばいいものじゃないですね。

Q:プチうつとかにせものとかの人で困ったことは。
A:自分の息苦しさを病気と言って生きているのはそれでいいんじゃないですか。

Q:facebookで、ひきこもりについて「こいつらは・・・・」と書いていた記事に「いいね」が多かった。生きづらい社会の流れをどう思うか。
A:時代は寛容じゃなくなっていっていると思う。いっぱい病気をこしらえている。さきほどの質問のように、なんでも病気にしていいのかという気もする。でも自分はそれでもいいかなと。アメリカで「障害」はdisorder。順番からはずれているという意味。それが世界的な診断基準だという。それで発達障害も増えている。それも不寛容な時代の状況かな。

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