市役所で働く人たちー正職・非正規・民間・・・その働き方と社会のありかた (山下弘之さんを迎えて 共に働くまちを拓くべんきょう会)

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9月13日(金)越谷市中央市民会館で、第54回共に働くまちを拓くべんきょう会を開催した。話し手は山下弘之さん。こちらで用意したタイトルは「市役所の仕事とは?そこで働く人は?-公契約条例とリサイクルプラザから」。

早々と当日の記事をfacebookにアップした内藤純さんがこう書いている。「民間に比べると、公務員の雇用形態による労働者的位置づけがとても細分化されていて、極めて面倒くさい。」
https://www.facebook.com/june.nighto  

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山下さんによれば、正確には、公務員は「雇用」でなく「任用」。「任用」・「任命」とは「職務に任じて採用する」、「職務を命ずる」(究極の任命は徴兵制)ということ。いま総務省のHPを見たところ、「公務員の労働基本権」という文書で、「その地位の特殊性と職務の公共性にかんがみ、以下のような制約がなされ、これに代わる法定勤務条件の享有、人事院・人事委員会による給与勧告等の代替措置が取られている。」と書かれている。
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そして、地方公務員に関しては、「下記以外の職員」と「公営企業、特定地方独法及び技能労務職員」に分けて、前者は労働基本権(3権)のうち、団結権が〇(ただし警察職員、消防職員は団結が禁止されている)、団体交渉権が△(法令、条例等に抵触しない範囲での書面協定は締結できる)、争議権が✖、後者は団結権が〇、団体交渉権が〇(ただし協約の効力には一定の制限がある)、争議権が✖とされている。
このような制約の代わりに、山下さんによれば、常勤(正規)職員は地方公務員法28条によって、任用と身分の保障が定められているが、臨時・非常勤職員には同法の身分保障がないという。

以上はべんきょう会の後半に述べられたことだが、市役所で働く人たちとのつきあっていく上で、常に念頭に置かなければいけないことだと感じた。
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さて、昨夏以来クローズアップされている省庁・自治体の雇用水増し問題について、私もくりかえしマスコミのインタビューを受けたが、その都度「単なる数合わせではなく、雇用・労働施策を担う立場として、民間での雇用・労働が直面している困難にどう対処すべきかを、自らの職場で試行・検証することが大事」と述べてきた。そのことを山下さんは、市の「直接雇用」における「模範的使用者」としての立場と表現する。そして、「民間での雇用・労働」といった時、とりわけ市の「間接雇用」すなわち公共サービス委託に際しての「市民の雇用安定確保と良質な市民サービスの実現」に着目する。山下さんの話の前半はこの「間接雇用」。

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越谷市の公共サービスの委託に関しては、2008年にそれまでの単年度契約から3年の契約に、また指定管理者の指定期間を3年から5年に延長した。そして2016年には越谷市公契約条例を制定し、地元雇用の推進、継続性のある公契約を対象に継続雇用を努力義務化した。また、施行規則では環境保全や障害者雇用、安全・安心な市民生活の確保に貢献することが事業者評価の要素に加えられている。
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山下さんの話の後で、世一緒の障害者スタッフだったこともある伊藤さんが、委託現場で働き、退職に追い込まれた経過を語った。現在の越谷市リサイクルプラザの前身の資源化センターで、市立しらこばと職業センター(現就労訓練施設しらこばと)の通所者だった仲間5名と一緒に1991年に受託企業F社に雇用されて、全員が缶びんの選別ラインに配属された。受託がT社に変わってから、選別作業のミスにより会社に損害が生じているとたびたび指摘され、ジョブコーチも来て指導されたが、2003年、けっきょく退職せざるをえなくなった。その後世一緒の活動を経て、生協関連企業に就職し現在に至る。
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ただ山下さんによれば、入札で極端に低い価格を提示して新たに受託先になったW社は2006年からで、伊藤さんが退職に追い込まれたのはその前の会社だった。W社に変わってから、月給30万だったAさんは21万にカットされ、17万だった障害者Cさんは10万あまりにされたという。2007年度の委託料は、2004年度から41%ダウンしていたそうだ。その後、この委託職場の人々は自治労の組合を作り、委託先はW社からS社に変わり労働条件も改善されたが、さらに公契約条例ができた現在でも障害者など元の水準に達しないところがあるという。
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山下さんの話の後半部分は、非正規公務員(臨時・非常勤職員)について。全国に非正規公務員が64万人おり、2012年から4万5千人増加している。越谷市では1270人おり、職員全体の3割。一般に非正規公務員は、実態として20年以上継続勤務のクラス担任の非常勤保育士や地域館管理責任も担う主任非常勤といった「偽装非正規」や、民間ならば解雇とみなされる雇止めが公務世界では漫然と行われ、法的保護もない「偽装雇止め」などが通用しているという。
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こうした甚だしい雇用不安の状態に対し、越谷市では「職の継続性」を担保するために、それまでの単年度雇用から複数年雇用(2年)へ、また任用期間として65歳までの任用更新を行うことで雇用の安定を図って来た。
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しかし、来年度から施行される改正地方公務員法では、「会計年度任用職員」という新たな枠組みを設け、雇用期間を「1年以内」として、新たな雇用不安を生み出すおそれがある。ただ、山下さんは、障害者雇用率をめぐって厚労省が今年3月に出した手引きで、雇用率に算定できる「常時勤務する職員」とは「雇い入れの時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる職員」とし、「労働条件通知書モデル」で「更新する場合がありうる」に〇を付けた場合としたことを重視している。というのも、総務省が昨年8月に発した事務連絡では、「会計年度任用職員」の任用初年度は、雇用率の算定対象とならないとしていたのに対して、厚労省は算定対象になるとしたことを意味し、それはすなわち「雇い入れの時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる職員」とみなしたことになるからだ。
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厚労省の認識は当然のことで、知的障害者や精神障害者の公務員採用は臨時・非常勤からスタートすることが多い。そして1年限りということでなく継続雇用を前提としてじっくりつきあう姿勢がない限り、「建設的対話」や「合理的配慮」を通して共に働く職場を作ってゆくことはできない。そして、総務省のように、「継続して勤務できたりするといった誤解を招かないよう」などというのは、障害者雇用をすすめる気などないと言っているに等しい。山下さんは「総務省の本音が見えた!」と言う。
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しめくくりに、「ソト(外)からウチ(内)の関係へ」と題して、「カネだけ 今だけ 自分だけ の現代社会から ともに生き それなりに豊かで 平和な 共生の社会へ」と呼びかけられたことが印象的だった。

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