共に働くー「公共」を問う 職場参加をすすめる会2019総会記念シンポ

 
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 昨2日(日)、あちこちでイベントが同時に繰り広げられている中、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会の定期総会と記念シンポジウムが開催された。

 定期総会では、例年通り、事業報告は読み上げせず、越谷の世一緒やせんげん台の就労移行「世一緒」の障害者メンバーや一般就労している人々、さらに最近ひきこもりを脱して世一緒に関わり始めた人などが前に出て、一言ずつ語った。
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 記念シンポジウムは、「共に働く職場・地域-そこで問われる関係と施策とは?」と題して、おなじみの埼玉県立大学教授・朝日雅也さんのコーディネートにより進められた。
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 さいたま市議で車いす使用者の伝田ひろみさんからは、昨年暮れの「共に働く街を創るつどい」でさいたま市の担当者から詳しく話された同市の「ステップアップオフィス」の現状とあわせて、2月に同市が人材系企業・E社と結んだ協定の問題について報告された。雇用率達成に悩む大企業等向けに、E社が巨大なビニールハウス群での養液栽培設備を「分譲」し、そこで雇用する障害者3人とシルバー1人を単位として大企業等に紹介し、各企業から管理料をとって農園運営管理もE社が行うという仕組み。

いわば法の網をかいくぐって急成長する障害者人材ビジネス。採れた野菜は大企業等の従業員に分けたり、社員食堂で使うだけだから、大企業等は障害者、シルバーへの人件費とE社への高額な費用は要るが、障害者等とつきあわないでも雇用義務が果たせる。まさに「共に働く」に逆行したこの仕組みに対し、同市は「ソーシャルファーム」として位置付け、知的障害と精神障害の手帳所持者に対し、「障害福祉部長」名でE社の説明会の案内を郵送してしまったという。

 伝田さんからは、さいたま市が自力通勤や介助者なし職務遂行の欠格条項を撤廃はしたが、実際に介助を必要とする障害者が職場に入ってくる際の対応は考えてないことや、積極的な試みとして在宅就業で働くときに重度訪問介護を利用できるとしたことなども報告された。
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 ワーカーズコープ センター事業団北関東本部エリアマネージャーの青柳栄子さんは、地域に必要な仕事を、みんなが主人公になる働き方を通して創り出してきた経緯を述べ、広島市ではそうした協同労働の取り組みに対して市として支援する「プラットフォーム事業」を実施していると報告した。また、国会でも協同労働の協同組合法が制定直前に来ていると。今の社会はお金だけ、自分だけという風潮が強まっている、それを変えてゆきたい。「Workers 被災地に起つ」という映画の上映会をやりたいと思っているので、ぜひ見に来ていただきたいと呼び掛けた。
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 NPO法人の理事も務める㈱ニューオタニ社長・尾谷英一さんは、知的障害者4人と共に働きながら、ソフトボール試合や地域の祭りの出店や片付けに活躍し、障害者たちが地域に欠かせない存在になっていると同時に、技術水準としても他に引けを取らない仕事をしていると胸を張る。障害者雇用促進の制度については、雇用調整金を障害者たちの読み書きの勉強会の講師料として活用したことはあるが、ほぼ使い勝手が悪く、一般のものづくり支援機構の助成を受けていると語る。ソフトボールや勉強会などは従業員だけでなく地域の他の障害者も参加しており、現在越谷市役所で臨時職員として働くSさんは、ソフトボールがきっかけで街に出るようになったという。
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 越谷地域公共サービスネットワーク議長の山下弘之さんは、自治体が進めようとする障害者政策や地域政策、水害対策などに協力している企業を公共サービスの委託や指定管理契約の際に優遇するという公契約条例の重要性を指摘した。越谷市のリサイクルプラザでは障害者が7人いて選別作業をしていたが、競争入札で極端にダンピングする業者が受託して全体の費用が4割減となり、障害者の給料が非常に少なくされ、現在も復活していないという。その後同市では公契約条例が成立したが、まだ不十分で公共サービス基本条例を作る必要があり、ぜひ市民運動として取り組んでほしいと述べる。

 省庁・自治体の非常勤職員の身分がますます不安定になっていて、昨年の雇用水増し問題に対して障害者雇用が重点的に進められているが、そのぶん障害のない非常勤職員の雇止めがなされるのではないかと問題になっている。吹田市の知的障害の臨時職員が、成年後見を利用したら公務員の仕事を続けられなくなるのは憲法違反だと裁判に訴えたら、雇止めにされた、そういう問題もあるんだと知ってほしいと語る。

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 コメンテーターとして同席した越谷市人事課副課長の小田哲郎さんは、昨年暮れに市の課長級の研修として朝日さんを招いたことや、障害者が働きやすい環境づくりの検討のため若手職員によるワーキンググループを立ち上げたこと、また臨時雇用したSさんらが現在は各課の依頼作業を1ケ所に集めて働いているが、今後は各課に出向いて働く機会を増やしたいこと、7月には臨時職員の増員も予定していると述べた。

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 同じく越谷市障害福祉課副課長の山川洋次郎さんは、4月に着任したばかりで、今回はいい勉強の機会をいただいた、伝田さんの「ソーシャルファーム」の案件がもし越谷に来ていたら自分はどうしていたかと考えた。今日の内容を今後の業務に生かしたiいと述べた。

 最後に朝日さんから、さまざまに異なる切り口からの「共に働く」を突き合わせてゆくことでヒントが得られるのではないかとのまとめがあり、熱い討論を終えた。
 
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 障害者雇用促進法を管轄する厚労省は、S社のような囲い込みの場を利用してさまざまな企業が雇用率を充足する抜け道ではなく、企業の本業で雇用してほしいと述べているという。

 とはいえ厚労省自らがグローバリゼーションの流れの中で「多様な働き方」を推奨し、人材企業の後押しをし、「一億総活躍社会」、「働き方改革」を推進してきた立場にある。「多様な働き方」が導入される過程で、ワーキングプアや過労死が急増した。

 「多様な働き方」がいいというのなら、福祉や医療の対象として「働く」ことを奪われた人々が、その福祉や医療の支援を受けながら、ワーキングプアや過労死が蔓延する職場に参加してゆくこと、「多様な働き方」をしている人々同士が分け隔てられている現状を見直し、互いに出会い、一緒に働くための職場・地域の環境整備を考えあえるようにしなくてはならない。

 その具体的イメージを、朝日さんがシンポジウムの中でこう語っていた。
 「行政窓口に行ったとき、そこに知的障害者がいたとすると、ちょっと時間がかかったら、もたもたしているとか、愛想が悪いとか言われてしまいかねない。それを避けようとすると、隔離された場所で現場から切り出された仕事をこなすしかないということになる。そうではなくて、フロントで、市民に時間がかかっても待ってもらうとか、ちょっと愛想が悪いけど…つきあってもらう。市民が行政サービスにどう向き合っていくかということにも関わっているんだと感じた。」
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