共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 「共に働く」運動はどこまで来たか―共同連マラソントークin埼玉

<<   作成日時 : 2018/04/25 16:41   >>

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4月15日(日)、さいたまコーププラザで行われた共同連マラソントークに参加。わらじの会の吉田さん、内藤さんは14日(土)のワーカーズコープ・深谷とうふ工房の視察・勾留から参加。ちなみに、今回のテーマは、「一人一人が『共に働く』をつなぐ〜誰もが安心して働き生活できるまちづくりから学ぶ〜」。
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 まず共同連・堀代表からの挨拶。社会連帯経済とそれを支える自治体ということを考えている。ヨーロッパの自治体はコミューンだが、日本は地方分権。社会連帯経済を支えるコミューン的な自治を創っていくことが問われており、昨日視察した深谷の点から線へ、そして面へと拡がって来た取り組みは大いに参考になった。
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 つぎに共同連事務局次長の三田さんから自らが経営の中心にあるセントラルキッチン春日井の報告。三田さんは病院グループの事務長を務める傍ら、高齢者施設向けに1日3度の食事を調理して届ける事業所を展開している。就労A型等の制度も使って、現在63人の障害者を雇用している、運転資金を含め7億円の借金で9年前に立ち上げ、二度経営危機があったが一緒に働いている人たちも危機感を持ってくれて、希望者には毎月収支を見せている。おかげでなんとか乗り越え、最近やっと採算がとれ始めた。始めた時は100%自分の所属の病院グループ関連の仕事だったが、いまは30%に。市場で企業と闘い、なんとか選んでもらっている。
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わっぱとは30年前からつきあいがあるが、中身を知ったのは10年前。共同連の「共に働く」「対等性」をめざしたいが、一緒に働いている人たち自身が、そうなってない現状に疑問を抱いていない。事業として成り立たせるにはということと併せて、「対等性とは」「どう分配するのか」も自分たちの課題として膝つきあわせ話していかないとと思う。岸見一郎が三木清の思想を読み解くにあたり、「指先ではなく指が指し示している彼方を見ていく必要がある」と述べたことに共感する。
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 二人目の報告は、ワーカーズコープ相談役、日本社会連帯機構副理事長の岡元かつ子さんから、20数年間の深谷の取組について。元々は市民生協の物流の仕事の一部を、子育てが一段落した人たちのグループで委託を受けて、協同労働でやっていた。やがて、生協の経営が厳しくなり、委託を打ち切られたが、なんとか自分たちで仕事場を創りたいと、長野県の北御牧村の村おこしを参考に、深谷市の6坪弱の一軒家で800万円で豆腐づくりを始めた。客は高齢者が多く、嫁さんの悪口や地域のおしゃべりが入ってきた。そこで2年目には高齢者に届ける弁当屋も始めた。その後市が、同一敷地に家族がいない高齢者が1食400円で弁当を食べられるよう制度化し、大きな福祉法人と私たちが実施団体として選ばれた。ついで、市民が介護の担い手になるためのヘルパー養成講座を開催した。けっきょく1000人を養成した。しかし仕事に就く人はいない。仕事してないと忘れてしまうから一緒に協同労働で事業を立ち上げようと、訪問介護を立ち上げた。まだ措置制度の時代で、当初は利用者がいなかったが、地域を回って宣伝し、草取りや電球交換まで要望に応じて対応した。
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やがて介護保険が始まり、「深谷だんらん」が市の最初の事業所に。当時参入したコムスンはすぐ撤退したが、どんな小さな仕事でも受けるという姿勢で、仕事が増えていった。いま、高齢者、障害者に加え子ども、生活困窮者など対象に、9ケ所の拠点があり200人近い組合員がいる。これから法制化が成った時に、歴史を受け継ぎ、きちんと協同労働を伝えていかねばと考えている。
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 ついでシンポジウムに移り、コーディネーターの白杉さんが、流れを説明した。吉田さん(わらじの会)、田嶋さん(ワーカーズコープ)、齊藤さん(共同連)のパネリスト3名を紹介しながら、共同連とワーカーズコープについては全国団体であり、各地の様々な団体が加盟して一定の理念に基づく運動を進めている、それに対してわらじの会は単体であり、なにをしているのか、まず知りたい。
そして、堀さんの挨拶にあった地域の自治をどう取り戻すか、岡元さんの話にあった地域を創るということもここにつながると。そこで共同連とワーカーズが何のために連帯するのか、どこへ行くための展望なのかを、田嶋さん、齊藤さんに話してほしいと。その上で、吉田さんに戻って、二人の話について感想を述べてほしい。そして3人で話し合う形で進めたいと。
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 まず吉田さん。40年前の埼玉県東部は東京のベッドタウンとして開発が進み、巨大団地に流入した新住民と障害者・高齢者を抱え込んで窮迫した農家の人々が出会った。家の奥の重度障害者達が街へ出てゆくのを団地住民や市職が介助し一緒に動いた。都内の養護学校内の施設で育って来た障害児たちを地元に帰すための養護学校づくりでも、新旧住民の協働があった。重度の障害児者が街へ出て一緒に動くためには介助が不可欠で、地域の隣人の介助と、施設や病院でなく地域で生き続けるための共同住宅を、市、県に制度として認めさせたのが30年前。当時は店もやっていたが、介助・住まいを共に創りだし、それら暮らしの分野で共に働くことに比重がある。職業ヘルパーは作らず、200人くらいが仕事や育児・介護等の暮らしの一部で介助に関わり、それぞれの障害者がさまざまな人々とのつきあいながら介助をやりくりしている形。
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近年は、従来なら就労していた人々が職場・地域から排除され活動に加わってくる中で、いくつかある活動拠点で店をやったり、地域の企業等の除草やPRを請け負ったり、働くことを切り口に地域にきり込んでいる。当会だけでなく、他の障害者・関係者も含めて地域・職場に入ってゆくために、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会や埼玉障害者市民ネットワークとして取り組んでいる。
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 続いて田嶋さん。35年余の歴史をもつ協同労働を法制化する動きが、現実になってきた。国連のSDGsは、2030年までにあらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つとしている。日本社会の現実は、人々の孤立と不安が広がっている状況。2010年の国勢調査では32%が単身世帯になっている。孤立と不安と劣化する労働の社会に対し、法制化が最終のヤマ場を迎えている。そこには働く者が労働条件を決定する、労働法に基づいた労働、認可制でなく届出制、協同組合の連合会も法人化できるなどが盛り込まれる予定。
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そうした中で、共に働き、共に生きる社会をつくる住民の動きがあちこちに広がっており、これまでは私たちワーカーズコープの専有物だった協同労働の協同組合を住民自身が立ち上げる試みが始まっている。法制化によりそうした動きが加速されるだろう。私たちも、いろんな自治会、町内会等に働きかけ、住民主体の協同労働をすすめている。千葉県佐倉市では高齢化した自治会自らが、住民立のワーカーズコープを立ち上げている。釜ヶ崎支援機構も事業部分を協同労働に移すべくワーカーズコープ西成を立ち上げる準備中だ。松本市でも困窮者が多くなった団地の人々がワーカーズコープを。このようにして、今の社会の閉塞感を打ち破る動きが始まっている。
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最近「ティール組織」について書かれた本を読んだ。これからの社会に問われる組織のありかたとして、1)自主経営 2)全体性 3)存在目的 を挙げている。まさにここにつながると思う。協同労働が法制化されることにより、市民個々のものになる。中小企業や担い手がいなくなった企業の中に、その地域になくてはならない企業を新しく住民自身の手で作り直す。既にイタリア、アメリカなどでは倒産した企業をワーカーズコープで再生している。
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そして、齋藤さん。いま新しい拠点を作り地域とどう切り結ぶかが課題になっている。共同連は労働ということを考え続けてきた団体として、ワーカーズコープと共通の足場に立つ。国の「我が事丸ごと」からは労働が欠落し、地域福祉中心で、「働く」は大企業任せ。「共に働く」ぬきに地域はあり得ない。
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46年間わっぱの会が共に働く場を作ってきたが、今回の「ソーネおおぞね」オープンで、初めて市民に開かれた場の中で障害のある人々などが働き、自然に普通に市民と交流している。和服のおばちゃんが店に入ってきてよそで買ったプリンを食べているのを注意したら、朝日新聞を置いているのを見て「けしからん、責任者を呼べ」と言い、在日の店長が応対すると「ここはこんな店なのか?帰る!」と言うので、「ここは差別をなくす店だからどうぞお帰りください」と。後でまた入ってきて、「あんたははっきりもの言うから面白いから、もう少し話させてくれ」と。
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店員も新しく採用したので、内覧会にわっぱの人々がいっぱい来たら、「こういう障害者がいっぱいいると地域の人はひきますよね」などと言ったりしている。

これまではこういう風に地域の人とぶつかる職場を作ってこなかったなとあらためて思う。これを運営するのに障害者の福祉の助成金なんてちょっとしか足しにならないから、今のペースで行くと数年で倒産する。わっぱとしても、本物の社会的事業所に挑戦しているのかなと思う。

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一角にある「みんなのわ」は愛知県内の事業所のアンテナショップで、これまで批判してきたA型やB型の商品も置いて、こういう人たちと一緒にやらないといかんと思っている。資源カフェは別の団体でやっているが、これまでやってきた行政の委託や不用品を集めて売る形でなく買い取る。子どもたちの制服のリサイクルもいいかなと思っている。自分たちの仕事を創り出しつつ労働を問う。その一つ一つをていねいにやるには非常なエネルギーがいる。20年前にやりたかったなと思う。

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 ここからは私の感想。いや妄想かな?わらじの会、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会は差別も区別もひっくるめてごちゃごちゃとせめぎ合おうという土俵を広げるところで、誰もが共に働くという意味で「職場参加」をめざしている。

 それに対して、ワーカーズコープ、共同連は齋藤さんのいうように「『共に働く』ぬきに地域はあり得ない」ということで、労働の組織化を基本としてきた。ワーカーズコープの協同労働に対し、共同連は生産・労働だけでなく分配における平等にこだわってきた。結果として、組織化された労働の場を周りとは一線を画して、あちこちの地域に増やしてゆく路線となる。

 しかし、その路線を基本としながらも、近年はそれぞれ、協同労働の協同組合の法制化、共同連は社会的事業所として、さまざまな働きづらさ、生きづらさを背負わされた人々を含めて、地域を創りなおしてゆこうと展開している。その展開を通し、ワーカーズコープ、共同連、ワーカーズコレクティブをはじめ、それぞれに異なる形での労働の組織化を進める諸団体が、共通の土俵をもてるようになった。

その上で、さらにベクトルはちがっても、現在の課題は共に働く場の外部にある差別や区別の場をもひっくるめてせめぎ合いながら一緒に働こうという局面に来ているのかなという実感を、この日のシンポジウムで、筆者はもったのだ。これは筆者の我田引水に過ぎないのだろうか。

 ともあれ、マラソントークの当初の枠組みを少し広げて、私たちを招き入れてくれた飯沼さんや永田さんら事務局の方々に感謝。

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