共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 千葉・中核地域生活支援センター 対象限定せず共に動く支援 〈共に働く街を創るつどい2015)報告 T

<<   作成日時 : 2015/12/17 23:35   >>

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 共に働く街を創るつどい2015「高齢者、障害者、困窮者…孤立・分断こえて―共に生きる地域と障害者の職場参加」が、12月13日(日)、越谷市市民活動支援センターで開かれた。今回はその報告 T。

 冒頭、越谷市・高橋市長のメッセージが代読された後、朝日雅也さん(埼玉県立大学教授)がコーディネーターを務め、シンポジウムが始まる。

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 シンポジウムのテーマの趣旨は,以下(要項より)。
  
〈近年、福祉では就労移行支援や就労A等の事業所が増え、雇用では短時間労働や精神障害者の雇用促進、さらに教育では高等特別支援学校などの制度化により、「追い風」が吹きました。ただ、半面では制度の分立により、障害のある人々がふりわけの対象となり、小さな世界に封じ込められてゆく傾向も生じました。地域そのものが高齢者、障害者、若者、子ども等の生きづらさを抱えつつ、各々別々の支援制度をもって対応してきた結果、「2025年問題」や「2040年問題」と言われる制度破綻や自治体存続の危機すら語られ、次々と屋上屋を重ねるような「改革」が繰り返されている感を抱きます。
家族・地域・職場をばらばらにする支援ではなく、窮地に陥りながらもあがき、悩み、工夫しながらしのいで生き延びている人々、そこに関わり支えて生きながら、自らも生かされてゆく、そんな支援が問われていると思います。〉

 「障害者の職場参加」とは、当初から「個」の支援をこえて、「関係」の支援を進める。その志が、現在の地域状況の下で、どのような位置にあるのかを探る。

 
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 特別報告として、千葉県の中核地域生活支援センター・長生ひなた所長の渋沢茂さんから。こども、障害者、高齢者を含め対象を限定しない地域生活支援の県単独事業を10年受託している。

【事業内容】千葉県要綱から

■相談事業
子ども、障害者、高齢者など対象者を横断的に捉え、複合的な相談事業を行う。相談等に当たっては、電話だけでなく家庭等を訪問するなどのさまざまな方法により応じる。各種福祉サービスの提供にかかわる援助、調整等を行うとともに、相談者に対する支援計画等を策定する。また、相談が来るのを待つだけではなく、潜在的なニーズを掘り起こし、相談につなぐことを行うものとする。

■権利擁護事業
相談者等の権利侵害の積極的な把握に努め、福祉救急隊の協力や各種関係機関との円滑な連携のもとに、権利侵害の解消、本人や家族のケアと尊厳の回復、再発防止策を講じる

■地域総合コーディネート事業
管轄地域の実情の把握に努め、行政をはじめとする公的機関、福祉サービス提供事業者、当事者グループ、各福祉資源などと地域住民のニーズをつなげ、利用者に必要なサービスを提供できるよう様々な活動を行う。また、新たなサービスや福祉資源の開発を通して、埋もれている「地域の福祉力」「人の福祉力」の掘り起こしに努める。


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 1)相談事業は障害者が最も多いが、次は「その他」、そして高齢者、こどもの順。昨年は「その他」が20%。外国人、未障(障害未満)、グレーゾーン、金に困っている人など。
 相談の方法は電話の他、出かけることも多い。一緒に役所に行くとか、病院に行くとか、ご飯を食べに行くとか。
24時間相談を受けている。当初は深夜帯に「ちょっと淋しくなって」という相談が結構あったが、日中に関わってその人の生活基盤をつくっていく中でそういうのがなくなってきた。センターは風呂付で泊れるようになっている。救急車の搬送先が難しく、一緒について行かないと受け入れてくれず、一緒に行って帰りはセンターに連れて帰るということもある。
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 刑務所を出た人と一緒に仕事探しをしたり。お金を預からせてもらって週1万5千円ずつ渡すとか…後見人制度はあっても、周りは困っているが本人は困っていない場合もあるし。
 2)権利擁護事業も行っている。
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 今は虐待防止法ができたので、児童相談所などと連携しながら、入口・生活支援・周辺環境の整理、また加害者支援などを担っている。そのほか、こうした法律の対象になりにくいグレーゾーンの人やセルフネグレクト、施設生活の問題なども。
 3)地域総合コーディネート事業として、地域の機関や組織、人をつなげ、地域・人の福祉力を掘り起こす。
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 いろいろな会議に出て、よく言われるようにどの会議でも顔ぶれが同じという面もあるが、少しずつちがい横のつながりができる。特に役所は担当課が違うと顔ぶれが違う。役所の人と話していたら、地域の中での連携より庁舎内の連携のほうが難しいと言っていた。福祉と医療の勉強会や弁護士・司法書士などとの勉強会も公開で行っている。
 中核センターの活動の特徴は、「うちの仕事じゃない」といった断り方をしない。権限を持っていないので、相手の話をよく聞き、一緒に出かけたりしながら、それを地域の課題としてあげていく。



 以上、25分でサワリを話して頂いた。 
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 なんといっても大事なのは、カウンターで話を聴いて専門機関・サービス事業所にふりわけるパターンに終始するのでなく、一緒に地域へ出て動きながら考え合うという点。
 当会が越谷市から障害者就労支援センターを受託したのは開設の2005年度〜2014年度だが、その数年前から市や関係機関と話し合ってきた中身には、「就労の意志がある限り支援する」というのがある。就労準備性といわれる諸条件が備わっている人をハローワーク等の求人に結びつけるということにとどまらず、たとえば週1時間働くのに残りの日々を家庭や病院で休養に費やすような人がいるなら、そうした働き方が可能な職場を地域で開拓することも含まれる。
 
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 「相談が来るのを待つだけではなく」というのもすごい。
 やはり、越谷市や関係機関と話し合ってきた中身には、自分が就労したいかどうかわからない人も含めて支援してゆくことが含まれていた。福祉施設利用者の多くが「就労」のイメージをもつための経験がない。そのために、越谷市では障害者就労支援センターを開設する数年前から、障害者地域適応支援事業という名の、福祉施設等の利用者などが職員等の支援を得て、市役所などの公的機関や民間事業所で職場体験・職場実習を行う事業を現在まで実施してきた。この「適応」という表現には、地域・職場の側が障害者に適応するという意味も含まれている。


 国が進めてきた支援は介護保険にせよ、障害福祉サービスにせよ、特別支援教育にせよ、支援の対象者を分けて個別に支援し、その支援サービスの担い手を専門職として育成し、福祉については株式会社等の参入を促進し市場化するという手法に基づいている。
 介護保険導入時には、デイサービスができたのだから利用しなければっもったいないということで、ご近所の茶飲み友達のつきあいが解体してゆくといったことが、全国あちこちで起った。近年の児童デイサービスの状況も同様で、特別支援学校終業時に児童デイの車がずらりと並び、障害のある子は放課後も地域・家庭から姿を消しつつある。特別支援教育の場合は、障害のある子は別の教育の場へと特別支援学校・特別支援学級へ分け隔ててきた結果、通常学級に残った子ども達の中で新たに目立ち始めた子ども達が「発達障害の疑いのある特別な教育的支援を必要とする子ども達」として、教員と行政によってくくり出されている。

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 分け隔てて支援することに金をかけてきたことによって、さらに細かく分け続け、さらに金がかかる。
 そして、このままでは制度が崩壊するという危機感をあおりながら、国が打ち出したのが「社会保障と税の一体改革」であり、介護保険制度の改正により、特養ホームの新規入所者を原則要介護度3以上に限定し、全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し多様化させるという方針。この地域支援事業において、既存の介護事業所による既存サービスに加え、NPO、民間企業、住民ボランティア、協同組合等による多様なサービスの提供が可能であるとし、これら総体を「地域包括ケアシステム」、「新しい地域づくり」と称している。
 だが、この国の「地域づくり」は、介護や支援の必要な人を対象者とし、そこに関わる専門職といった分け隔てられた構造を崩すことなく、この専門職にNPOや住民ボランティアなどの参入を加えるという手直しに過ぎない。
分けられた秩序の階層をよりきめ細かく多様化するだけ。
 
 そんな現状を踏まえた時、中核地域生活支援センターの10年を知り、障害者就労支援センターの10年を振り返ることの大切さをあらためて考える。(共に働く街を創るつどい2015報告 T)

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