共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

アクセスカウンタ

zoom RSS 「元」職員たちの一言と10年間の資料で綴る 障害者就労支援事業−すすめる会2015年度総会報告(中)

<<   作成日時 : 2015/07/01 23:06   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

画像

山下 続きまして、事業報告のもう一つの半分、受託事業の就労支援センターの昨年度の事業報告を元就労支援センター職員の皆さんからお願いします。

画像


沖山  5月まで所長を務めさせていただいた沖山と申します。10年間越谷市役所から委託されてきた就労支援事業の受託が止まり、新しい就労支援センターが仕事をしております。資料(末尾参照)に載せてあるのは直近3年間を中心とした実績を、5月のプロポーザル・コンペで市役所に語ったものです。特に昨年度は、人事を一新して、いつでもどこでも行けるように事業所開拓をして取り組んだおかげで、初の114件の就職をまとめる事が出来ました。業務の量と質を上げることだけに集中してしまったため、コンペ対策が全然なかったため、一生懸命やっていた職員が失業することになってしまったことを反省しています。

この1ヶ月、新しい支援センターにうかがったお客様が、世一緒にも立ち寄って行かれます。今までやっていたスタッフは、手帳のあるなしに関わらず、求人情報のあるなしに関わらず、何時間からでも、という形で多様な働きをめざした活動をしていたおかげで、そのつもりで行った方が、「手持ちがないからまた来てください」、「そんなに毎月来ないでいいですよ」という形で対応され、当惑されています。

これは新しい支援センターが悪いんじゃないんですね。やりすぎた私たちが悪いんでもない。こういう舵を切って選んだ市役所のお考えがあるんでしょうから、そのへんを詳しく調べて、データを基に、新しい支援センターの支援をしっかりするようにと、やっていきたいと思います。


画像

阿久津  子どもは重度の障害がありまして、就労時間は短く、かつ毎日はできない非常勤として仕事をさせていただきました。でも障害のある人の仕事のというのは、雇用率に算定するためには短時間でも20時間というのがありますが、会社が長い目で見るということになりまして、受け入れ先の配慮がいただけると、それ以下でも働き続けている方もおられます。それ以前に私自身が働けたのも、そういう環境がある程度整ってきたからだと思います。

私自身は特に高齢者施設で働いている障害者、以前はそんなことは考えられないことでしたが、いまは館内整備や調理補助や介護補助等ありまして、そういうところでの就労を支援させていただきました。高齢者施設も大規模化し、多角的な経営も行われていますので、今後とも障害者が働ける場だと思っております。1年間自分自身としても大きな学びがあって、感謝しております。

画像

大塚  昨年4月からお世話になりました。あと3年間やれるもんだと思っていましたので、突然5月で退かなければならなくなり非常に残念です。就労支援センターをこういう団体が運営してきたのは非常に画期的だったと思います。やはり、障害者の立場に立っての就労支援ということでなければ、ほんとに今ノーマライゼーションという言葉が騒がれてはいますが、真の意味でのノーマライゼーションはなかなか浸透していかないと思っています。やはり障害もった方々が社会の中、職場の中で活躍していくことによって新しい価値観が生まれていくと思います。

そういう意味で、バトンタッチしたところがどこまで頑張ってやっていただけるか疑問符が付くんですけれども、私たちが支援してきた方々の力に少しでもなれるように、これからもがんばっていきたいと思います。

画像

山崎  1年間ちょっと、昨年の3月から今年の5月までセンターで常勤として勤務いたしました。もちろんNPOの理事、運営委員をしておりますので、就労支援センターのいろんなことは初めてというわけではなかったんですけれども、直接支援に回るという立場になるのは初めてでした。いろんなことがまだまだ自分の中でも整理しきれておりません。ただ、ひとつだけ、このNPOに関わる前から、私も今日娘と来ておりますが、障害の重い子の親ですので、いつも当事者、障害者の側に立って考えることを自分の信条にしておりました。

就労支援センターでも、とうぜん、就労したいと相談に見える方の味方でありたいといつも思っていました。この人が働きたいというならば、何とか働く場所を探したい、他の人がこの人無理よと言っても、だって働きたいんだものね、そういう共感を持ちながら支援をしてきたかなと思います。これからも世一緒の活動をしながら当事者と一緒に考えていきたいと思っています。よろしくお願いします。

画像

内野  毎週金曜日に、主に企業訪問をしてきました。なかなか企業に行ってもいい対応は受けませんでしたが、その中で、障害雇用率の対象にはならない週2回、昼食の調理だけするという形である男性に就職してもらったり、たまたま職場に行ったら「その人は辞めました」と言われて、困ったなと思いながらも、「すみません。別の人に実習させていただけませんか」と言ったら「いいですよ」ということで実習をさせてもらったり、前の方が真面目にやっているのでもう一人仕事をする人がいないかと言われ、もう1人採用してもらったこともありました。

やっぱり会社回らなくちゃいけないなという実感と、会社にに入ることによって、社長さんや人事担当の方だけでなく、職場の皆さんにも障害のある人のことを理解してもらえるという感想を持ちました。

画像

谷崎  1年余り手伝いをさせてもらいました。すべてが中途半端で終わってしまったという感じで、引き継ぎももろくにできないで、はい時間切れで終わってしまいました。でもこういう結果になったことは事実として受け止めて行かなければいけないと思っています。6月からは私がハローワーク通いになっております。

沖山  いま中途半端と言われましたが、彼女も6月になってから完全なボランティア状態で、新しい支援センターの職員と一緒に事業所へ行って、実習のとっかかりまで行っていた所の支援もしてきています。尻切れトンボにならないよう、ボランティアで行っていただいたんですよね。

画像

日吉  毎週火曜日、就労支援センターで事務関係をやっていた日吉です。こういうかたちでセンターが無くなり、いま本部だけになってしまって、自分から言葉をどんどん言って行ける人はいいんですが、そうでない人は世一緒にまだまだ話したい、向こうの職員さんにはまだなじめない方がたくさんいて、世一緒に来る方がたくさんいます。なるべくこれからもそういう人たちの背中を押して行きたいと思っています。


画像

山下  私は決まった日ではありませんが、就労支援センターの非常勤として仕事をやって来ました。もともとは重い障害のある人が家の中に閉じこもったまま大人になったり、施設の中で一生を送っていく、そういう中から街に出て行って一緒に生きようという活動をしてきました。重い障害者が街に出て周りの人に声をかけて介助を募って、地域の中で自立生活をしていきました。でも仕事もしたいということで、自分たちで事業所を作ってお店をやったりして来ました。実際に地域の中に出て行って、周りの人たちといろんなことをやっていかないと。やっぱり、こんな風にやったらできるということを証明していった。そういう中で制度も出来ていきました。そういう風にやってきたけど、もうひとつ、その自立生活をしている障害者とか共に働く店が、どんどん周りの人たちから孤立していってるなと思うようになりました。あの人たちは専門家しか関われないということで、分けられてきちゃってるなと。

そうした時に、就労支援センターに関わることによって、実際に事業所訪問をすると、いままでは見えてなかったけど、地域の小さな事業所の職場の中では、けっこう障害のある人達がいて、彼らと同僚や先輩がいろんな工夫をしながら働いているんだなということがわかってきました。それは就労して職場の中に入っていきたいという障害のある人たちと一緒に動いたから、わかったんですね。地域ってまだまだ捨てたもんじゃないんだなと感じました。非常に残念な事に就労支援センターの受託はストップしましたが、市の方にもいろいろ事情があるんだと思います。まだまだ自分たちが地域に出て探りながらやれることはあるはずです。世一緒の活動はこれからもやって行くのでよろしくお願いします。

【資 料}

越谷市障害者就労支援センター 直近3年間の取組みをふりかえる

越谷市障害者就労支援センター(以下「センター」)の運営を、当法人が越谷市から受託して10年間が経過した。10年間の業務実績を概観し、企画書に求められた業務の各項目について示す。
2013年度の外部評価でセンターは厳しい評価を受け、人的体制の抜本的な見直し等を行った結果、2014年度は業務の質と量の向上を図ることができた。
今後3年間の業務委託を受けるべく、2015.5.8に越谷市役所にて企画提案を行ったが、当法人は委託を受けることができず、10年間のセンター業務を終了した。

1)就労に関する相談
センターの支援対象は@障害のある者(手帳の有無に関わらず)、A障害のある者を雇用した、あるいは雇用しようとする事業所、B障害者雇用に関わる支援者全般(家族、知人、関係機関担当者等)で、就職〜職場定着〜働き方の変更〜離職までを就労支援の視野にいれている。2014年度障害のある者本人からの相談は4,485件、事業所は2,216件、関係機関等は1,738件(いずれも過去最多の取り扱い件数)。

2)就労継続のための生活支援
最近3年間(2012〜2014年度)のセンターの事例では、ストーカー的な行動、付きまとい、セクハラ、窃盗といった軽犯罪に属するような状況への緊急対応を要する支援、過去のDV被害がフラッシュバックして安定的に勤務できないことへの支援、収入が少なく生活困窮状態に対する貸付制度やフードバンク等に関する情報提供、老親の徘徊等による睡眠不足・介護で体が疲れる、家族との意思疎通がうまくいかない、身体が不潔で異臭を放ち職場で迷惑といった日常生活の支援にいたるまで、就労継続のための生活支援がますます重要になっています。
障害があることに加え、多様な困難さ(生活困窮、シングルマザー・シングルファザー、被虐待体験、家族のなかに複数の障害者がいる者、家族や親族等の支援がない単身者)が重複して、就労困難の状況にある相談者のセンター利用が増えた。こうした方々の多くは、他者と相談し合ったり情報交換したりする関係が乏しく、悩みを一人で抱え込んだり、自身では事の重大性に気付かなかったりする場合も少なくない。
この点で、何も問題がなくとも日常的に近況報告に顔を出せる場としてセンターが存在していることは、きわめて大きな意味があったといえる。

3)離職時・離職後の支援
2012〜2014年度の3年間に就職は246件(実人数では213人)、離職は94件(実人数で85人)。離職者の81人の内訳は、同3年間に就職した213人中の離職者が65人で、2011年以前に就職した者における離職者が20人となっている。最近3年間に就職して離職した65人の顛末は、39人が再就職、26人中2人は再就職が目指し求職中で、それ以外の24人は再就職困難(就労意欲が減退している者、療養を要する者、居所不明)である。
離職するにはそれ相当の理由があること、よってその後の顛末も納得できるものである。就労後の定着支援が効を奏していることを示唆している。

画像


(注1)うち就労継続A型に17件、(注2)うち就労継続A型に20件
(注3) 43件中の4件は、同一人物が「障害(精神障害)を隠した就職」による離職
4)ニーズ調査と実態把握


センターの支援対象者は@障害のある者(手帳の有無に関わらず)、A障害のある者を雇用した、あるいは雇用しようとする事業所、B障害者雇用に関わる支援者全般(家族、知人、関係機関担当者等)であり、それぞれのニーズを的確につかむのは容易なことではない。
例えば、窓口を訪れる障害者は、「働きたい」と言って相談が始まるが、相談が進むうちに来談者の本音は実は様々であることが分かります。例をあげると、@家にいたくない(家族がうるさい、日中の居場所が欲しいなど)、A無収入で在宅しているのは体裁が悪い、年金収入がある場合でも若い場合は体裁が悪い、Bお金が欲しい、C仕事により社会参加したい等である。
日常の業務(窓口での相談、セミナー、事業所巡回等)や各種の現場実習(地域適応支援事業、埼玉県「短期訓練」、センター内の請負作業、グループワーク、NPO活動への参加等)を活用したアセスメントにより、相談者の真のニーズや就労可能性を掴むようにしていた。口頭では自身の意思を表すのが困難な相談者や、自身の意思が確定していないような相談者らの「非言語的なニーズ」、「潜在的ニーズ」を掴むことには工夫が必要であった。

5)地域の就労・生活支援関係機関との連携
障害者の就労支援にあたり、必要に応じて関係機関に連絡しながら進めているが、次に示すとおり障害者の就労支援に関係する機関は多岐に亘った。
主な機関は @障害者雇用促進法;HW、就業・生活支援センター、障害者職業職センター A障害者総合支援法;就労移行支援事業所、就労継続支援A型 B埼玉県、越谷市:埼玉県産業労働部就業支援課、埼玉県雇用サポートセンター、埼玉県障害者職場定着センター、越谷市障害福祉課、越谷市生活保護課 C医療、教育、福祉;特別支援学校、医療機関〜生活保護・生活困窮者支援機関、生活支援センター D関連するNPO等
相談者の状況ごとに連携の必要性を吟味し、 @目的(何のために連携するのか) A方法(ケース会議、電話、fax、メール、その他) B頻度・時期を常に検討しながら、必要最小限の連絡で支援を進めることができるよう整理を手がけたところである。
継続的に年3回開催してきた越谷市障害者就労支援連絡会議をはじめ、県東地域では、東部障害者就業・生活支援センターみらいが事務局を務める連絡会議、全県的には県就業支援課が事務局を務める連絡会議に継続的に参加し、関係機関の担当者との情報交換に努めた。
 
6)継続した就労支援
就労者の職場定着を図るために、就労者の勤務シフト表をもとに平日の休業日に相談を設定し効果をあげた。当面は何も問題がなくとも日常的に近況報告に顔を出せる場としてセンターが存在していることに、大きな意味があるといえる。
2013年度には、身近な支援者である家族等が、現在している工夫や先行きの不安などをピアの立場で情報交換できる場を設けた。特に、他の家族と交流する機会の少ない家族を対象とした「おしゃべり会」のような場が必要と思われる。

7)職場開拓
仕様書では、「公共職業安定所、学校関係、福祉施設、その他関係機関・関係団体の協力を得て職場開拓を行なう」と書かれているが、センターの職場開拓は、新規事業所の場合は「タウンワーク」「求人チラシ」「口コミ」当法人障害者の職場参加をすすめる会の障害者メンバーが行う“職場発見ミッション”等の活用にも力を注いできた。先に就労した障害者の職場定着を目指した事業所巡回を通して、先方の事業所と信頼関係が醸成され、「新たな求人」というかたちで職場開拓できた例が複数あった。

8)地域適応支援(職場参加・職場実習体験)
 この事業は、2005年から障害者就労支援センターという調整機関を得て、着実に積み重ねられてきた。とりわけ、市役所や公的機関においては、日常風景の一部になり、福祉施設等では年間行事に組み込まれるまでになった。必ずしも就労を目指さない実習としての特徴をもつ同事業であるが、実施後に就労に繋がった例も複数あり、同事業を経たのち多様な働き方として注目できる。
 最近数年間は同事業に参加する施設の負担が影響してか、参加施設の減少と実習期間の短期化(1日のみの実習に人気が集中)が目立っている。一方で、ある施設では年間通して同一の現場で実習する例、障害当事者が作業参加しているとは言いがたい状況でパートナーだけが作業をするような実習もあった。

9)ピアサポートによる就労支援
 センターでは、2006年度から、利用者同士のピアサポートについて、ガイダンス、セミナー、おしゃべり会などのワークショップ的な場において、職員がファシリテーターとなることにより、導入部としての活動を進めてきた。2012年度からは、母体のNPO法人の運営する活動拠点「世一緒」において、事務所の開け閉め、清掃、接客、事務補助作業などピアサポート実習(10:00−16:00)を実施。また、日替わりの実習者が月1回顔を合わせ、情報・意見交換と相互評価を行う場や、その他の利用者も含めて月1回開催する当事者研究の場(ピアサポート研究会)の当事者ファシリテーターの配置も行ってきた。
 さらに、全国的にも例がない「仕事発見ミッション」と名付けている障害者ペアによる事業所訪問活動(2014年度:33回、延べ112人参加)や、福祉施設等との共同の野外作業として実施している「グループワーク」(2014年度:花壇整備、除草、ポスティングの総計114回・利用者延べ983名参加)等では、実際に地域・職場に参加して他の人々と共に働きながら、ピアサポートを利用することが出来ます。ここでは、障害者同士だけではなく、施設職員や地域の職場の人々をも互いに「ピア」としてゆく体験を重ねている。これらの活動を通して、過去3年間に21名が就職した。
 2014年度は、介助を受けながら地域生活している重度障害者等延べ8名を講師として、「ピア介護人養成研修」を5回にわたり実施し、就労支援利用者延べ35名が参加し、全回受講の4名に終了証を交付しました。

10)その他
センターがニーズに合致した業務運営ができるよう次のことを心がけた。
○就労支援を担う職員配置の工夫・・・その成果は2014年度業務実績に顕著に現れた。
 常勤主体 → 有識者非常勤の活用
 当事者目線の強化(障害のある子の親、障害のある者の雇用)
 タイムリーに事業所見学・実習に臨める体制(同時期に重なる事業所開拓に臨める体制)
○障害者就労支援を新成長分野とみなして参入してくる企業等を意識した業務展開
 就労をめざす障害者が翻弄されることがないように、中立の立場での相談機関としての役割
〇広報媒体を活用した情報提供
就労支援センター通信を年4回、不要の意思表明者を除くすべての相談者及び関係機関向けに発行。
(現在約1,000通を郵送)

数字、グラフで振り返る「越谷市障害者就労支援センター」の10年間

画像


画像


画像


画像


画像

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「元」職員たちの一言と10年間の資料で綴る 障害者就労支援事業−すすめる会2015年度総会報告(中) 共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる