共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 多様な就労を拓く共に働く街づくりと自治体 - その経緯と課題 (資料集「はじめに」)

<<   作成日時 : 2014/06/08 13:21   >>

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 やや順序が逆になるが、先にブログに報告をアップしたNPO法人障害者の職場参加をすすめる会の定期総会記念シンポジウム (http://yellow-room.at.webry.info/201405/article_5.htm)  lに先立って、同会事務局長を務める筆者が、シンポジウム資料集に書いた「はじめに」という一文を、このブログに収録しておく。

 筆者は毎年資料集の巻頭にこうした「基調報告」的な文章を載せているのだが、載せているだけで、当日読み上げたり説明したりすることはない。いわば幻に近い、あくまでも「はじめに」である。
 今回のシンポジウムでは、パネルディスカッションの際に、ワーカーズコープの玉木さんが、この文章に言及して下さった。ただ、先にブログにアップした速報では、その部分がカットされているが。
 ともあれ、会場で配布しただけの資料集で、多くの方はご覧になっていない文章なので、ここで読めるようにしておく。
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定期総会記念シンポジウム2014


「障害者の職場参加(多様な就労)と自治体―いま地域では」

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(1)「雇用と福祉の谷間」問題の現在

障害のある人が地域で暮らしていく上で「働くこと」は重要な意味をもっています。 しかしながら、これまで多くの人たちは企業など一般の雇用の場で働くか、福祉的な場での活動・作業かの二者択一的な選択を迫られてきました。

一部の生産性が高いとみなされる人は一般企業等で就労していますが、障害者の雇用は全体として長年にわたり低迷してなかなか進展していません。しかも、就労していても家族の支援を前提としている人も多く、地域で自立した質の高い生活を送るにはほど遠い状況でした。

 それ以外の多くの人は福祉の対象として授産施設や小規模作業所に振り分けられ、わずかな工賃による作業活動を続けており、企業での就職に挑戦する機会も限られてきました。

2004〜5年のグランドデザイン案の中で、こうした雇用と福祉の谷間の解消への道が模索されました。その模索は、2006年施行の障害者自立支援法等に具体化され、現在の総合支援法に引き継がれました。ここでは、就労移行支援事業や就労継続支援事業A型が推進され、福祉から雇用への流れが一部にできたものの、それ以外の施設では従来にも増して閉塞的なサイクルを脱け出しにくい構造になり、障害者の選別、分離がさらに深まっています。
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(2)障害者の就労支援と「職場参加」の取り組み


 障害者の雇用は長年にわたり国(職安)と事業主団体である雇用促進協会(現雇用支援機構)が進めてきましたが、バブル崩壊を機に、上記の限界を超えるため、国は全国4ヶ所で5年間にわたり地域障害者雇用推進モデル事業を行いました。このモデル事業の産物が、現在全国に設置された就業・生活支援センターです。

4ヶ所のうち埼玉では、障害者団体が連携してこのモデル事業に関わり、国、県への提言として、身近な市町村が就労支援の主体となることや、市役所等公共施設で必ずしも採用を前提としない実習を行うこと、福祉施設に籍を置いて就労することも含む総合的な就労支援体制などをまとめました。
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障害者の就労を、雇用の枠をこえた多様な働き方を含めて考え、福祉の対象とされてきた人々も含めた社会参加の重要な一環としてとらえるという意味で、団体の側ではこれを「職場参加」と表現しました。

後に新座市障害者就労支援センターが立ち上がる時に、市自らが「職場参加」という語を用いて、センターの特質を説明しました。越谷市においては、当会が任意団体の時から「職場参加」を名のって活動を積み重ねてきました。市の事業として、福祉施設等から市役所や民間企業への職場実習(地域適応支援事業)を行い、現在は当会が受託した市就労支援センターがこの事業も行っています。

なお、昨年度から県が雇用サポートセンターの事業として実施している短期訓練事業は、「職場参加」のために活用可能な事業として注目されます。

いずれにせよ、谷間に橋をかけるために、福祉施設利用者やひきこもりの障害者が参加でき、地域の公共機関・民間の職場が受け入れやすい、ハードルを低くした参加の仕組みをさらに工夫してゆく必要があります。
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(3)社会的困難を背負う人々の就労・事業所づくりと「職場参加」

 長期にわたる不況の下で、働けば働くほど貧しくなってゆく人々が増えると同時に、働くことができず社会から切り捨てられて生きる人々も増えています。15〜24 歳のおよそ2 人に1 人、25〜34 歳のおよそ4 人に1 人は非正規雇用者であり、15〜19 歳の失業率は8〜10%、20代の失業率も6〜9%前後となっています。給与所得者に占める年収200万円以下のワーキングプアといわれる人々は、常に1000万人を超え、4〜5人に1人となっています。そして、生活保護受給者数は昨年10月時点で、最多の216万人に達しました。
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 働いている、いないに関わらず、生活に困窮する人々が増えていることと併せて、地域社会の中で分け隔てられ、排除される人々が増えています。ひきこもり、ニート、シングルマザー、介護・支援を要する高齢者、アルコール・薬物依存者などが、これまで生きてきた家族や職場、地域のつながりが解体や縮小へ向かう中、そこからはじき出され、孤立したり、病院や施設に収容されてゆきます。

 彼らが地域社会の中で役割を担い、他の人々と一緒に動きながら暮らしを創り直してゆくことが問われています。そして、既に、さまざまな形での就労支援や事業所づくりが試みられています。障害者就労における「職場参加」の取り組みも、こうした試みとつながりながら、互いの働き方、暮らし方をつきあわせ、地域のあり方を共に考えてゆきたいと考えます。

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(4)多様な就労を拓く共に働く街づくりと自治体

 ここでいう「多様な就労」とは「雇用の枠をこえた多様な働き方を含めて考え、福祉の対象とされてきた人々も含めた社会参加の重要な一環としてとらえる」という意味であり、「職場参加」と同じです。

 しかし、「多様な働き方」、「職場参加」というと、働く本人、家族、支援機関等の問題とみなされやすいので、ここでは受け止める職場、地域の問題も含めて考えるために、「多様な就労(機会・創出)」と表現したのです。
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 バブルが崩壊する前は、顔が見える地域があり、地域を構成する多くの小さな事業所では、同じ地域で暮らすさまざまな障害者が職場にいました。これらの事業所は法定雇用率も助成金も就労支援も関係なく、障害のあるなしというよりも、信頼関係や義理人情に基づいて、かなり重度の障害者たちも共に働いていました。福祉の場は少ししかなく、働いて生きるか、山奥の施設か、家の奥かという時代でしたから、受け入れた事業所ではさまざまな働き方を工夫し、時には生活の世話までしたものでした。

 かっての職場、地域の状況は大きく変わってしまいましたが、地域を構成する重要な要素の一つがたくさんの小さな事業所であることに変わりはありません。雇用拡大どころか事業存廃の岐路にある地域の事業所を支え、共に働く地域の再生をめざすことはできないのでしょうか。

 私たちは、ささやかな経験の中から、できると考えています。もちろん一挙にではありません。しかし、再スタート地点に立つことはできます。

 そのポイントは、福祉の実施主体であり、産業支援の役割も担う、地元自治体にあります。
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従来の正規雇用や法定雇用率に算定される雇用の枠をこえた、たとえば週1時間の就労や、5人が交替で働いたり、あるいは10人で仕事を請け負う形や、1回3時間・全5回の短期訓練や職場体験など、ハードルを低くした働き方(職場という社会への参加法)を、福祉施設の重度の障害者も含めてできるようにしてゆくこと。これを、自治体職場でモデル的に行いつつ、地元事業所をサポートすることです。また、障害者だけでなく社会的困難を背負わされた人々も含めて共に働く事業所づくりの支援も重要です。

非正規労働を美化したり、雇用率は関係ないという意味ではありません。重度の障害者も含めて、さまざまな人が職場・地域で出会い直し、そこで働き合い方・暮らし合い方を工夫し、編み出してゆくことから再スタートするためです。

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(5)シンポジストの紹介
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 第1部で報告されるチャレンジドオフィスちばは、福祉部局でも労働部局でもなく、総務部総務課内の職場であることが、県としての当事者意識を感じさせます。また、同県が全国初の障害者差別禁止条例を施行した時期に立ち上げられたことも、注目されます。

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 同じく第1部で報告する沖山前所長は、福祉も雇用促進もまだ施策が乏しかった時代に、障害者就労支援を切り拓いてきた一人です。さまざまな支援施策ができた反面、そこに依存しすぎ、障害者本人や事業主、同僚の顔と生きざまが見えなくなりかけている支援の現状に、強烈なパンチを浴びせてくれるでしょう。
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 第2部のNPO法人やまぼうしは、「まちも、会社も、障害者も、元気!!日野」や「地域で共に生きる・働く…自然と人との共生をめざして―まちを耕す・障害を持つ人が まちづくりの担い手に」というキャッチフレーズに示される通り、日野市の障害者計画、地域福祉計画のエンジンとして活躍しています。
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 職場参加の提唱者・木村新座市議は入院中のため、ピンチヒッターとしてふらっと専従職員・大野聡さんが見えます。ふらっとは通所施設ですが、開設以来、社会参加・職場参加の拠点として活動しています。
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 ワーカーズコープは、失業者、中高年の仕事づくりに始まり、労働者であり経営者でもある新しい働き方を実践しながら、地域社会を変えてゆこうとしています。ひきこもりの若者や生活困窮者、障害児者、家族も含めて、共に生き、共に働く関係を重ねています。労働者=経営者という関係がはらむ矛盾は、さまざまな人々が共に働けるようハードルを下げる「職場参加」がはらむ矛盾と葛藤を通した発見、再生の道と共通するところがあります。
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 三郷市障害者就労支援センターは、越谷市障害者地域適応支援事業を参考に市役所内で2年間職場実習を行いました。同センターが市直営であるため市役所内での役務の切り出しの依頼も同センターが担うなどの関係を通して、優先調達法などを含めて市役所職場の役割について検討を深めています。

 指定発言の原さんは、聾学校という障害者就労の歴史のもっとも長い現場で進路指導を担ってきました。職場、地域をどう切り拓き、共に働く上での折り合いを探って来たのか、リアルな試行錯誤を伝えてほしいと思います。

 コメンテーターの産業労働部就業支援課は、画期的な短期訓練の事業を今年度も継続して実施します。障害者支援課は、優先調達法、共同受注センターなど、職場参加に生かせそうな施策を担当しています。越谷市障害福祉課は、当会が運営を担っている市障害者就労支援センターの委託元です。

 コーディネーターは、かって越谷市障害者就労支援センター所長を務めた経験があり、現在は障害者の社会参加、介助、仕事を総合的に取り組むセンターの事務局長です。
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 職場、地域のあつかいが希薄化し、人と人の距離が遠くなり、つながりの中で生きていた人々が分けられて支援制度の対象者となり、税負担が過重になることにより制度の切り捨ても進められる時代。こんがらかった糸が切れないように注意しながら、人と人の綾取りを再開する展望を探ります。
 

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