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zoom RSS 一人暮らし障害者Tさんによる近所の被災調査ー垣間見えた社会状況 〈竜巻と障害者〉 現地レポート 完

<<   作成日時 : 2013/09/24 00:38   >>

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「え?! ここも竜巻でやられたんだ?」 越谷市袋山の借家で毎日介助者を入れ一人暮らししている電動車いす使用者Tさん、竜巻から5日目の金曜日、初めてすぐ近所の被災現場を知る。今日は、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会の職場参加ビューロー・世一緒の当番業務の一環として、「障害者本人による現地調査」を行った。ブルーシートがかかっている建物は、いずれも竜巻が壊したところ。自宅から数分のご近所。

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この右が、Tさんの住む借家。被害はない。竜巻が来た9月2日の14:00すぎ、Tさんは活動先にいて、竜巻が来たことは知っていたが、自宅の近所を通ったとは知らなかった。

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夕方帰宅した時も、駅から線路沿いの道をまっすぐ通ってきた。いつも電動車いすで走行するときは、横を見る余裕がない。寄り道の習慣もない。だから、そのすぐ後ろの家並みの破壊状況に気づかなかった。TVのニュースを見ても、よそごとにしか感じなかった。

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しかし、今日はこの地域の被災状況の調査を指示された。だから、自宅から至近距離の人と自転車しか渡れない危険な踏切も、この日初めて渡ってみた。踏切のすぐ向うに全壊したアパートがあった!

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家具も何もかも飛ばされ、内部に何もなかった。初めておそろしいと思った。

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今度は、Tさん宅のすぐ裏の道を通ってみた。ここも竜巻の通り道のようだ。駐車場の車もやられている。

 
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あちこちが壊れたたばこ屋さんを見ていたら、店主さんが近寄ってきた。当日のようすを話してくれた。1階にいたのだが、急にあたりが真っ暗になり、雷とすごい音がしてきた。2階の窓を閉めようと階段を上がりかけたら、雨風がどっと吹き込んで来て、上がるどころではなかった。竜巻が去って、家の前に出たら、通り一面に割れた瓦がびっしり。どこから飛んできたのかと思ってよく見たら、自分の家の屋根瓦が飛んでいた。近所には、自分のうちの物置が自宅の屋根に突き刺さった家もあった。

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それから店主さんは、若いころ都内から引っ越してきて、商売をしながら子どもたちを育て上げた後、いまはたばこ屋だけに縮小し一人暮らししていると、身の上を話してくれた。耳が遠くなり補聴器を買ったが使いにくい。障害者手帳を取りたいと思ったが、無理と医者に言われた。介護保険の世話にすぐなるほどではないが、地域包括支援センターに登録に行った。被災した後、センターから何度か見に来てくれたが、自分が留守でまだ会えてない…

2階に竜巻が吹き込んだので濡れた家具などを外に出したいと思ったが、階段が濡れたままなので足元が危なくて担ぎ下ろせなかった。そこへ、ボランティアセンターを開設したというお知らせを配りに若い人たちが来たので、頼み込んで下してもらった。やはり人のつながりが貴重だ… そんな体験を語りながら、重度障害のTさんが近所でどんな風に暮らしているのかについて、たずねていた。

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金曜日は職場参加ビューロー・世一緒で当番を務めるTさん。他の曜日もあちこちの活動の場に出かけ、市民団体代表も務める。だが、Tさんに限らず、企業で働いたり、障害者運動で活躍する障害者たちの多くがご近所を知らない。「埼玉都民」と呼ばれる健常者たちと同じだ。介助に入る人たちも、離れた土地から来る。買い物も駅前などのスーパーですませ、近所を歩くことがない。自治会の誘いもなく、入っても役割免除されたまま。
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Tさんは子供時代、都内の養護学校の寮で過ごした。県立の養護学校ができて地元に転校したが、やはり寮で暮らした。その後、わらじの会と出会い、街に出始め、生活ホーム暮らしを経て一人暮らしになった。上の写真は生活ホームで暮らしていた頃のTさん。

さまざまな障害者たちの一人暮らし、就労、運動は、かって制度が皆無だった時代には、周りを巻き込み、ぶつかりあい、地域・職場を変えることなしにはきりひらけなかった。生きざまをさらし、迷惑をかけることが運動だった。しかし、そうしたせめぎあいが積み重ねられたときを経て、いまの時代、一人暮らし、就労、運動は、制度や仲間に支えられ、必ずしも周りとの緊張関係を伴わない形で成り立ち始めている。Tさんも、先輩たちのきりひらいた道を通って、一人暮らしができた。

とはいえ、このように社会がひらかれてきたことは、半面で、徐々に、障害者とそこに関わる人々を地域・職場から孤立させ、新たな差別構造につながりうることも見過ごしてはならない。いまが正念場なのだ。Tさんの状況がそれを示している。介助者・支援者だけでなく、周りの人の手も借り、迷惑をかけあえる地域を再生させてゆけるのか。それとも、見えない施設がクモの巣のように張り巡らされた、生きづらい社会へ追いやられてゆくのか。

いっぽう、再雇用、生きがい活動、孫の世話を担い、PPK(ピンピンコロリ)を理想とする元気な高齢者が増えれば増えるほど、なんらかの形で他人の世話を受け入れざるを得ない要支援・要介護の高齢者は自分否定に追い込まれる時代になってゆく。かのたばこ屋さんも、竜巻に遭遇してそんな予兆を感じたからこそ、高齢者たちのジレンマを超えてゆくなんらかの気配を、Tさんから感じ取ったのではないか。

竜巻から障害者・高齢者を取り巻く社会状況を垣間見せた。

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