共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 劇団どくんご 北越谷公演「君の名は」に行ってきた ー君は宇宙のいたるところに

<<   作成日時 : 2013/07/04 00:20   >>

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旅するテント劇団どくんご公演「君の名は」を、北越谷駅前さくら広場で観てきた。どくんごは、一昨年同じさくら広場で「A Vital Sign ただちに犬」を観て、これが二度目。前回同様、わらじの会関連の障害者たちの姿が客席に目立つ。

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オープニング。昔懐かしい「君の名は」をアレンジした演奏だが、すでにしてサーカスまがいのあやかしの時空へすべりこんでゆく。

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大洋へ向かった兄の船を追ってボートで海へ漕ぎだす弟が、大魚にのみ込まれるエピソードの後で、兄の乗った船が暴風雨に遭い沈没したらしき情景をタライで表現。幕は取り払われて、駅前広場が見渡せる。その広場を、弟のボートが大魚を逆に追ってゆく。

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これは、わらじの会の人々が中心になった「埼玉県東どくんごファンクラブ」による幕間劇。椅子に縛り付けられた人物のところに通りがかった人が少しずつなわをほどいてゆく。「君の縄」である。その縄にはところどころに札が付けられており、それ自体が年表であるらしい。ほどきながら読み上げてゆく。

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ほとんどほどかれてゆくと、札はどくんごの公演の演目であることがわかってゆく。解き放たれた人物が、立ち上がり、顔をあげると、人物は「ただちに」の犬らしい。最後に言語障害のあるYくんが登場して、「き・み・の・な・は」と叫ぶと、縄がほどかれても黙って立っていた犬らしき人物が「え?君の名は?」と訊き返す。そして、大団円となり「どくんご結成30周年おめでとうございます」。

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これは多分、3回くらい、ところどころに織り込まれていた「勇者の冒険物語」のシーンじゃないかな。勇者は暗い洞窟のようなところに入ってゆき、つぎつぎと前に立ちはだかり、襲ってくる存在と秘術を尽くして渡り合う。その一瞬一瞬を4人が代わる代わる語る。その「敵」らしき存在は、サザエさんであったり、村人であったり、カニであったりする。邪悪な罠であると思われた装置が、実はお祝いのケーキであったりもする。「敵」と見えていたものは、身近な「君」であり、あるいは「僕」なのかもしれない。新世紀エヴァンゲリオンを笑い飛ばすようなドン・キホーテ物語。

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写真はたしかどくんご初参加の石田みやさんが、「覚えてる?」と、客席にいるのかもしれない「君」に向かって、マシンガンのように「回想シーン」を連射してゆくところ。誰かわからない「君」はきっとどぎまぎしている。語られる過去は、ほんとうにあったような、書き換えられているような…。「君」の無数のスナップショットが記憶の闇から浮上してくる。

「君の名は」とは、数えきれないニアミスをくりかえしながら、遂に再会できずに終わる愛する者たちの物語。どくんごは、この悲恋物語を、たとえば無限大に拡大し、宇宙人と友達だから教室ではひとりだっていいじゃんと変換する。あるいは、僕はぎょうざとお友だちだ(2Bさんかな)という風に、ぐにゃぐにゃにしてしまう。


雲を呑みこんだら、体内に雨が降り続くようになってしまった男(暗悪健太さん)が、角砂糖の羊に曲芸を仕込んで、火の輪くぐりまでさせて離れた紅茶のグラスに飛び込む曲芸を成功させる。ここではナターシャとか角砂糖ひとつひとつに名前が付けられており、深い信頼関係の下でサーカスが演じられる。
最後に、「調教師」が羊たちが飛び込んだ紅茶を飲みほすと、体内の雨も上がる。この小さな幻のサーカスに、世界が凝縮されている。「君」は世界のいたるところに在る。


落語・粗忽長屋を下敷きにした独白では、「君」と思っていた存在が実は「俺」であり、それではこの俺は誰なのかと、鏡の迷宮に私たちをいざなう。

このあたり、つぎつぎと変わる背景の幕の絵がすごい!幕が変わる間のうしろの駅前広場の様子も。広場で背後から座り込んでみている若者たちもいたな。

蝶々夫人のピンカートンを超デフォルメしたような五月うかさんの名演技にはただうなるのみ。これは格別のお楽しみ…書かないでおこう。

カオスのただなかで、ひとつだけ確かなことは、「君の名は」と問うことで、私が生きられること。名も知らぬ「君」に照らされて、私が在ること。

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フィナーレの演奏。物事の99%がわかっているといっても、わからない1%が大切なんだというような言葉が響いた。ファンタジーでもなく…、シャングリ・ラといった断片も。ヴォーカル どいのさん。

テンポの速い展開で、よくは聴き取れなかったが、かえって想像力をかきたてられ、楽しかった。たぶん、それでいいんだよというのが、劇団どくんごなんじゃないかな。まだ明日もあるし、9月には東京公演が予定されているそうだ。

終って階段席を下に降りながら、超満員の人々を支えてびくともしなかった犬小屋テントに感服しあう。

2011年9月の越谷公演については、下記参照。
  
 →http://yellow-room.at.webry.info/201109/article_1.html

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