共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 橋本宅手話会で 世界内存在を問う

<<   作成日時 : 2013/06/15 22:22   >>

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写真は毎週金曜夜に行われる橋本宅手話会のようす。といっても、手話サークルの手話会のように、聴覚障害者とコミュニケーションしつつ正しい手話を学ぼうというのとは、ちょっとずれている。
 同席している聴覚障害者Oさん(写真右)は、聾学校出身者であり、聾唖者同士の日本手話も、手話通訳の手話も身につけているが、ここではサポーターにとどまる。


  元来聴覚障害とともに下肢まひとロービジョンの三重障害をもって育った「克己ちゃん」は、教育委員会によって就学免除にされ、ひきこもり、言語を身につける機会がないままに大人になった。
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 わらじの会に出会い、街に出始めたころに、コロニー入所決定が家に届いたが、家族は泣きながらもう少し一緒にがんばると言った。そこから、週1回、自宅での手話会が始まった。はじめは、Eさんという聴覚障害者に来てもらって、家族も、われわれ周りも、本人と一緒に正しい手話を学んだ。
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写真は、外に出始めた頃の克己氏。同じ長屋に住む知的障害者の女性Hさんと仲良くなった。
 この頃の克己氏は、バス停や駅の看板、人の名前をはじめ、さまざまな言葉を、手話と漢字と概念をセットにして、貪欲に吸収し、血肉化していた。
 しかし、やがて、どんどん広がりと深まりを増してゆく世界に、手話の勉強が追いつかなくなった。それゆえ、克己氏はそれまでの蓄積をベースにしつつ、独自の手ぶり、身振りを自ら開発して行った。
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 もちろんそれではぜんぜん足りないから、絵による伝達を進化させていったのだが。
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いまや、克己氏は画伯となる。

今度は、彼の編みだした多様な表現を、周りが学ぶことが必要になってきた。というよりも、面白いのだ。と同時に、周りの人事往来、スケジュールを彼に時間を取ってできるだけ伝える必要も出てくる。そういう情報交換会として、橋本宅手話会が機能するようになる。
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 正しい手話を身に付けた聴覚障害者は、EさんからOさんに代る。Eさんは別に仕事を持ち、手話会だけのつきあいだったが、Oさんのほうは日常活動でも克己氏と一緒に動くことがよくある(下の写真)。だから、克己氏独自の表現をある程度理解している。
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 その後克己氏の視力はどんどん落ち、駅のホームや階段から転落を繰り返し、道路で交通事故をひんぱんに起こした後、介助者なしでの外出は難しくなった。

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現在では、火曜日の本人がプロデュースするワンデイトリップ「絵日記の旅」や土・日のイベントのほかは、ほぼ毎日、コンビニでの買い物がきまった外出。
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 ただし、このコンビニの買い物は、克己氏にとってどうあっても欠かせない行動であり、大雪の日だろうが休むわけにはゆかない(上の写真)。

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驚くべきことに、現在の橋本宅手話会で、冒頭に本人が書くテキストには、毎日のコンビニの買い物のメニューが列挙される。
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それだけではない!その曜日ごとの現物が、テキストに合わせて供覧に付されるのだ(上の写真:チョコまんじゅうと卵焼き)。

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「墜落の現在を愛す」と筆者が題を付けた画伯の絵日記に、すべてが凝縮されている。
これも筆者の戯文  「流れる血と痛みの中で克己は初めて世界の優しい無関心に心をひらく」

視えなくなり、行動を他者にゆだねなくてはならなくなった極点において、画伯は新しい世界の入り口に立った。

行住坐臥―立ったり座ったりする日々の何とはない暮らしの中に世界が在る。

ともすれば、自分や家族、近しい関係とは離れたところに世界を想定し、完全な客体として操作の対象として向き合ってしまう、そんな生き方とはまったく異なる……

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死者たちもいまここにいる、積み重ねられた歴史を生きながら、画伯は今日も買物行。

今日の橋本宅手話会は、いわば参禅のような場か。
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