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zoom RSS 福祉は闘いとるもの 社会は変えてゆくもの ― 故一番ヶ瀬康子さんを偲ぶ

<<   作成日時 : 2012/10/31 22:45   >>

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一番ヶ瀬康子さんが去る9月5日、亡くなられた。享年85歳。謹んで哀悼の意を表したい。一番ヶ瀬康子さんはいまさら言うまでもなく、戦後日本の社会福祉をきりひらいてこられた第一人者だった。近年は活動を退かれ療養されているとうかがっていたが、ご逝去をお聞きして、あらためてご多忙な中貴重なお時間を割いて埼玉にしばしばおいでいただいた記憶がよみがえった。社団法人埼玉障害者自立生活協会立ち上げの際にも、呼びかけ人になっていただいた。この写真は1989年に開催した10.29国連障害者の十年サイタマのつどいで基調講演を行っていただいた時のもの。当時の埼玉社会福祉研究会「通信」より一番ヶ瀬さんのお話を抜粋してみよう。

 一番ヶ瀬康子さんのお話(1989年10月28日)

  いま始められつつある「福祉改革」とは、厚生省の、それも社会局だけのきわめて狭い範囲に限定された「改革」であり、ほんとうの改革は建設省や文部省、労働省をはじめとする広い領域にわたってなされるものでなくてはならない。

 今後、社会が情報化、国際化、高齢化を迎えてゆく中で、福祉をすすめる上での価値観が極めて重要になっているが、「能率よりもゆとり」、「戦争より平和」、「自分達の人権を確立することから始まって社会をほんとうに変えてゆくこと」が問われている。

 スウェーデンの人々から8年前に投げかけられた「障害の種別をこえた連帯」、「草の根から政治を変える」、「ネヴァーギヴアップ」ということが、今日この場で実を結んでいることがわかりたいへんうれしい。


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 この写真は1981年12月6日、浦和のときわ会館で開催された「スウェーデンの障害者と語り合うつどい」の助言者としておいでいただいたときのもの。司会は高橋儀平さん(現在東洋大学教授)。ここでは次のように語られた。

 「しかし、今日話されたことの中で大事なことは、このようなスウェーデンの今日の障害者の状況は、実は歴史の中でつくられたものなんだということを確認することが必要であると思います。

 しかも、それはだれが与えたものでもないわけです。さきほども発言がありましたように、一人ではなく集まって、そしていろいろな意見や障害の区別があっても共通の問題をみつけて手を握り合って、歴史の中でかちとってきたものなんだということが明らかにされたと思います。

 そして、そのおおもとには人間なんだ、お互いに人間なんだということでのつながり、そのことがやはりたいへん大事なことであるということをくりかえしておっしゃっていたように思います。」


 この「スウェーデンの障害者と語り合うつどい」を終えて埼玉では総括座談会を開き、その記録も含めて一冊の本を出版した(埼玉社会福祉研究会編「ユニーク自立埼玉」 千書房:1984)。その本の「はじめに」で一番ヶ瀬さんは、この総括座談会の討論の中で自分もまったく賛成で印象的なことは次の点であると3点にまとめいる。

 1.日本の場合には障害者運動がまだ障害別運動になっているが、障害者問題の根底をおたがいに確認した上での障害別をこえた連帯を地域の中にうちたてていくことが早急に望まれる。

 2.日本の障害者運動は残念ながら政党主導という面が少なくない。どの政党に対しても障害者自身がそのあり方を有給市また啓発していく必要があろう。ことに政党自体が福祉運動を選挙対策あるいはその他の理由で利用するというあり方には、障害者自身厳しく批判しなければならない。

 3.日本の場合、障害者運動を含めて障害者福祉の前進にとって大きな壁になるのは家族である。障害児との親子心中などはまったく日本的な特質といえる。その壁を親子ともどもでどうのりこえrか、そのためにいかなる連帯のありかたを考えるかは今後の大きな日本的課題である。


 一番ヶ瀬さんがここで語られていることは、すでに大家となられていた立場から考えれば甚だカゲキとみなされただろう。しかし、埼玉の私たちにとっては心強い味方を得た感じでいっぱいだった。

 故人に喜んでいただけるような埼玉にはまだまだほど遠いが、少なくとも障害や政治主張や立場のちがいをこえて、ぶつかりあいながら一緒に進む雰囲気だけはいまも保ち続けている。ほんとうにありがとうございました。

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