共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 「共に働く」と「あたりまえに差別を」の間―共同連大会第2分科会で 

<<   作成日時 : 2012/09/05 00:37   >>

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 第29回共同連全国大会東京大会へ行ってきた。といっても、2日目午前の分科会に出てきただけで、初日の全体会にも閉会式にも出られなかったので、そう多くの人とは会ってない。

 参加したのは第2分科会「障害者就労の現状と課題」(上の写真)。コーディネーターは白杉滋朗さん(ねっこ共働作業所)。ねっこは1975年から共に働くことを切りひらいてきた大先達。
 発題者はなんと三ヶ所の障害者就業・生活支援センターの責任者。すいたの井上正治さん、おおつの高橋恒明さん、そしてなごやの酒井英夫さん。このように就労支援機関ばかりが前に並ぶのは、共同連としては珍しいのではないか?もっとも、筆者はもうしばらく共同連のイベントに行ってないので、わからないが。
 ただ、すいたは社会福祉法人ぷくぷくの会の下にあるし、おおつは「(NPO)おおつ「障害者の生活と労働」協議会」という社会的事業所や福祉施設が一緒になってつくった団体の下に、またなごやは共同連の本部を置くわっぱの会がつくった。だから、三ヶ所とも共同連の近くにあるセンターといってよい。
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 筆者は開始時間に遅れて、二人目の発題者であるすいたの井上さん(上の写真)の話から聞き始めた。これまでの大阪での取り組みとして、府有物件の清掃をエルチャレンジという事業体で受けそこを働きながらトレーニングする雇用の場と位置づけ、さらに民間企業に就職させてゆく道ができてきたこと。13,4年で300名以上がそうやってビルメン企業に就職しているという。そのほか、国のジョブコーチのほかに、府独自のジョブライフサポーターをつくり、スタッフが間をおかず事業所に出てゆけるようにした。また、公共事業において一般競争入札に対して総合評価入札方式を確立し、障害者雇用を進めかつ値崩れしないようにさせた。これらはほめられる点だろうと、井上さんは語る。たしかに、大阪の権利保障の歴史はいまもたゆみなく積み重ねられていると感じる。

 しかし、障害者就労支援において、重い障害者も含めて多様な働き方を認めさせて企業に受け止めさせてきたのかといえば、その逆に企業側の多岐にわたる雇用条件にあてはまる障害者を選んで就労支援しているのが現状だと、率直に問題を述べていた。

 ほかに井上さんの話では就労継続A型事業所が福祉の報酬はあっても、製造や販売といったビジネス面で苦労しているところが多く、やむをえず短時間雇用でしのいでいるところが多いのが現状だという。すいたの弁当屋をしている事業所では現在就労移行支援でやっていて、月5万までは出せているが、6〜7万円になったらA型をやりたいと言っているそうだ。
 また最近企業がA型を始め、15人雇用して週5日・4時間で時給800円支給しているが、実質の仕事量としては時給200〜300円ぐらいしか行ってないという。だが、来年4月には就労移行支援事業も着手したいと言っているそうだ。 
 さらに市内の不動産会社がいくつかのビルの清掃業務を、就労継続B型事業所を設置してそこでやろうと企てているそうだ。背景には特別支援学校からの卒業生が来春50人いるが、福祉施設の受け皿としてはその半分しかないといった実態があるという。

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 三人目であるおおつの高橋さん(上の写真)のところの母体は、大津市内のすべての社会的事業所、共働(同)作業所を会員(現在37会員)とするNPO法人。県内の就業・生活支援センターで指定福祉サービス事業所の見学、実習調整を実施しているのは、同センターのみと語る。そうした構造を保持していることもあって、「お金がほしいから仕事したい」といってセンターに相談に来る人々に、年金をとる支援をしたり、社会的事業所で実習できるようにしたりといった、生活・労働の多様な形での支援を試みている。

 どこのセンターでも、「働いて稼ぎたい」と言って相談に来る人々が、話を聞いていくと今日食べる金もないとか、家庭内で親に毎日どやされるのが最大の悩みで、自分は今すぐに働きたくないといった実情が浮上してくると思う。多くのセンターではそういう時、それはうちの担当ではないと考え、生活支援センター等へ紹介することが多いのではないか。しかし、おおつでは先に述べた母体のキャパシティを生かして、まずは「うちの担当」としてつきあい続ける。

 大津市でも福祉法人を取り消された整骨院がNPO法人を新たにつくって、グループホームを設置し、ついでそこの清掃を仕事として就労継続支援B型を立ち上げるとか、年間の短い時期しか仕事がないことがわかっているクリスマスのブーツをつくる仕事をメインにした事業所(A型?)を立ち上げようとするといった、あやしい動きが出てきているらしい。

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 ふんふんと聞いていると、コーディネーターの白杉さん(上の写真)が3人に向かって、「就労支援の中での社会的事業所の有効性は?」、次に「一般就労と社会的事業所とどっちがいいと思うか」と質問を投げかけた。

 「有効性あり」とはっきり答えたのは高橋さんのみ。作業所は実習まではさせてくれるが通所となると安定して来てくれる人に来てほしいというところが多い。しかし社会的事業所等は、短時間からでもとか体調に合わせてと言って受け入れてくれる。そこからさらに一般就労した人もいる…と。
 
 井上さんは吹田には社会的事業所がないので、隣の箕面市障害者事業団にインタビューしてきた。同事業団では箕面の社会的雇用の有効性について3つの面から肯定的に語っていたという。3つとは、@障害者の参画 A給料 B社会的啓発だ。井上さんはこのBについていくつかつっこんで質問した。市職員雇用への展開は残念ながらまだ。民間の雇用拡大への影響についてはわからない。ただ、事業団に属する就業・生活支援センターの支援のありかたへの影響として、障害のより重い人から支援してゆくという基本姿勢につながっていると答えていたそうだ。箕面ではその点で「有効性あり」と言明しているわけだ。

 
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この箕面の報告を受けて、酒井さん(上の写真)は、現場の人間として厳しい限界を感じながら仕事している、重い人間から順に採る会社などなく、働くという場面では自分自身能力主義的な見方をしてしまうと控えめに語る。
 なごやの登録者1000人のうち連絡とれない人は抹消しているので600〜700人が現在の登録者、うち日常的に活動しているのは200〜300人 ちゃんと就労できない状況が長期化している人も多い。就労支援の手法でよく仕事の洗い出しとか切り出しとかいうが、一定の基準の中でのことで、ほんとに重い人は門戸が閉ざされている。あきらめないで下さいというメッセージを投げつつ、うそを言ってる気もする。 
 そういう意味では社会的事業所は魅力的だが、しかしわっぱはもうキャパシティの点でリミットに来ている。
 一般就労と社会的事業所の関係については自分はすみ分けでいいと思っているが、斎藤懸三さん(共同連事務局長・わっぱの会)はけんかしろと言うと述べていた。

 高橋さんは一般就労と社会的事業所のちがいについて、社会的事業所は過渡的な場という位置づけはないが、いろんな働き方の選択肢が認められている点は違うと述べた。

 井上さんは子どもが将来何になりたいというように一般就労は職業・職種で選ぶものであり、それに対して社会的事業所は職種より前にまず共に働くということがある、両者はくらべるものではないと思うと述べた。

 発題者たちの一般就労と社会的事業所の議論が出そろったところで、再び白杉さんが「これはもう社会的事業所といえるんじゃないか」とコメントしつつ高橋さんに民間事業所でのある事例の紹介を促した。

 ここから先は自分も発言したいとじりじりしてメモもとれなかったのであいまいだが、小さな事業所で障害者が直属の上司を殴ってしまったが同僚たちがみんなで嘆願してくれてクビがつながって働き続けたという話。社会的事業所であるかどうかよりも、共同連の中心メンバーがこうした事例を評価したことに、実は驚いた。

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ここでついに会場から「いいですか」と発言が求められた。旧知の日野のやまぼうしの伊藤さん(上の写真 ただし当日でなく日野に訪問した時撮影した)。社会的事業所と民間の事業所はまったくちがう、社会的事業所は共に働く事業体、そして街づくりの事業体といった指摘。つづいて箕面のナガイさんも発言。たんぽぽ共働作業所は箕面市の障害者事業所制度の補助金を得ているが、福祉の制度とくらべ経済的には厳しい、しかし共に働くことが大切と。

 時間が押しているがここで打ち切られてはと筆者も割り込み発言。伊藤さん、ナガイさんは社会的事業所の定義を厳密にという趣旨だと思うが、たしかにそれは大切、しかし埼玉には「あたりまえに差別を受ける」という言葉がある、さきほど語られた小さな企業での事例は決して特殊ではないと述べ、以下の例を話した。やはり小さな企業で会話の苦手な障害者が辞めると言い出し譲らないので調べたら先輩が調髪を時々してくれていたがある日からかい半分で剃りを深くしてしまいそれを侮辱と感じたことがわかり、社長が坊主になり慰留した例もある、小さな職場では差別とそれへのせめぎあいも具体的だ、また当会の運営委員の事業主は斜陽で解散するつもりだった靴工場を障害者と家族の要請で小規模にして再開している。社会的事業所の支援とあわせ、そうした職場が陽の目を見られるようにすることも大事だ…と。

 この後もうひとり会場から。名前は聞き洩らしたが、福祉工場でこれまで対等な形で働いてきたのに、就労継続A型に移行したと同時に職員と利用者という異なる立場にされたのが悔しいと述べていた。職員の立場にされたらしい。共同連にはそうした場も含む多様な働き方を広く考えてゆく姿勢をお願いしたいという話をしていた…と思う。

 最後にコーディネーターの白杉さんから、社会的事業所を促進してゆくのはもちろんだが、障害者は社会的事業所へというようにそこに囲い込まれるようになったら、それはそれでおかしいと思うので…と、後半でのコーディネートの方向の説明らしき発言がなされ分科会を終えた。まったく白杉さんの言う通りだと思う。共同連もそういう考え方をするようになったのかと(前からそうだったと思う人がいたら教えて!)得した感じになった。

 
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