共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS だまされないぞ!厚労省は骨格提言を尊重せよ―埼玉でちんどんパレード 

<<   作成日時 : 2012/02/10 00:25   >>

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「障害者自立支援法の名称そのものを見直す。」(昨日出された厚労省案)だって!?よくもまあ言えたものだ。内閣府のホームページに書いてある「障害者自立支援法」を廃止して、「障害者総合福祉法(仮称)」をつくります。(厚生労働省)」は、なんなんだ…怒りをこめて、2月9日、浦和の街で埼玉障害者市民ネットワーク(野島久美子代表)呼びかけの「地域で共に!ちんどんパレード」冬の陣が行われた(写真)。
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 内閣府のホームページにはつぎのように書かれている。
 「国連の「障害者の権利条約」では、障害のある人の権利を守るということが決められました。日本の法律や制度をこの条約の考え方に合わせて変えていき、日本の障害のある人が暮らしやすくするために、政府は「障がい者制度改革推進本部」を作り、障害のある人の参画を得て「障がい者制度改革推進会議」を開催し、制度改革について議論しています。内閣府は、障害者施策に関する企画・立案や総合調整を担う官庁として、制度改革の先頭に立って取り組んでいます。 」

http://www8.cao.go.jp/shougai/index.html

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 筆者は7日夜、翌日の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会に出される厚労省素案の内容を知り、発行寸前の月刊わらじにいつものように川柳とも俳句ともつかぬ句を書き込んだ。

 福祉てふ水母の胎の寒さかな

 筆者は常々「福祉は必要悪」と言っている。福祉は緊急避難である。福祉はふわふわと娑婆の波間を漂う水母(くらげ)だ。できれば福祉を必要としない社会がいい。だが、現実の社会は人々を分け隔て、互いを争わせる。さまざまな人が切り捨てられる。福祉という受け皿があるから、それを口実として、争いがさらに強められる。そのことを許してはならない。障害者自立支援法の原理は、まさにそれだ。

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  あらためて、自立支援法―障害福祉計画の「骨格」を問う 

 1.「入所施設からの地域移行」という発想こそ問題だ! 

 障害福祉計画(障害者基本法に基づく総合計画である障害者計画とはちがう。こちらは障害者自立支援法のサービスの整備計画。だが、埼玉県も含め、障害者計画の中の福祉分野はこの障害福祉計画を挿入して事足れりとする自治体が多い。)では、「入所施設からの地域移行」を掲げ、数値目標まで出させている。

筆者もはじめは「入所施設からの地域移行」はいいことだなと思った。しかも、ただ方向性を示すだけでなく、数値目標まで具体化したのは一歩前進だと思ってしまった。そして、この数値目標をできるだけ大きく立てさせたいと考えてしまった。あちこちの機関誌などを見ても、そういう考えがほとんどだ。

 しかし、よく考えてみたら、なぜ「入所施設からの地域移行」なのか?疑問がふくれあがってきた。なぜ入所を迫られている人たち、入所待機者と呼ばれる人たちを、地域で暮らし続けられるように支援することが真っ先に掲げられないのか?
 国、自治体は、施設入所者数をだんだんに減らしていくと言い、入所待機者の中を精査し、「真に施設が必要な人」に限って入所を認めてゆくと語る。だが、、「真に施設が必要な人」とそうでない人をどうやって区分けするのか?

 橋本克己画伯は、出会った時、県立嵐山コロニーの入所待機者で、間もなく入所決定通知が家に届いた。故新坂姉妹も新坂きみ子も、みんな同じ状況だった。その状況にこそ、地域を変えてゆくパワーが潜んでいる。最も必要なのは、地域で生きようとあがいてあがきぬいて、刀尽き矢折れつつある人々と出会い、手探りで地域を切り開こうとする営みにつきあいきることだ。彼らの苦しみを、地域で出会った人々が共有し、家族が家庭を開き、一緒に生みだしてきた活動の場や介助のシステムや共に働く関係などを、地元自治体が受け止め単独事業を組んできた。同じような各地の経過が積み重なり、全国的につながる中から、今日の制度の土台が生まれてきた。 下の写真は、わらじの会の社会福祉法人「つぐみ共生会」の名の由来である新坂姉妹ら障害者・高齢者が身を寄せ合って暮らしていた恩間新田「つぐみ部屋」の風景。この闇の中にこそ希望が潜んでいたのだ。
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 要するに「真に施設が必要な人」とみなされた人々も含め、地域で生き続けることを阻まれた人々や家族の生きざまに向き合うことなしには福祉の変革はありえなかった。それが忘れられている。

 そう考えると、「入所施設からの地域移行」ってなんなのだろう?地域から排除され、家族共倒れという瀬戸際から入所施設にたどりつきほっとした家族がそれを求めることはまずない。本人も基本的には24時間の生活の場として、集団的なリズムに慣れ、盆暮れに生家に帰ることについても、初めのうちはともかく、年がたつうちに生家に帰っても居場所がなかったり、世話する態勢がなくなったり、ふだんの食事とちがうので下痢したり…ということで、すぐ戻ってきたり、ずっと帰れなくなる人も少なくない。そんな状況の下で、「入所施設からの地域移行」
をめざすというのは、地域移行先が出来る限り施設の延長であるような場でなければありえないことだろう。

 実際、スウェーデンで大きな入所施設を解体してゆく過程も、入所施設職員と入所者のユニットが、地域に建設したグループホームに移り住むという形で、支援の継続性を図って行われた。障害者自立支援法でも、そうした継続性を重視してのことだろうが、施設の敷地内や元の施設の建物を利用したグループホーム等を認めたりしているし、10人のホームが隣接して3棟というような実質入所施設規模のグループホーム等も認められている。

 このような「入所施設の受け皿」としてのグループホーム等ではどういうことが起こるか。けっきょく入居者自身も、施設にいた当時に近い保護的な支援を前提として暮らしている。世話人も小さな施設の意識で対応する。だからケアが必要な入居者に対しては、障害者自立支援法では原則として生活支援員という職員が配置され、外部からのヘルパー派遣は例外となっている。ここで想定されている、「入所施設からの地域移行」とは、地域に小さな入所施設を埋め込むことと変わりない。
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 ついでに述べれば、先年、立教大学の河東田さんの縁で、スウェーデンやオランダ等の知的障害の当事者団体リーダーたちと交流した(上の写真)が、入所施設からグループホーム、そしてアパートでヘルパーを入れて生活するまでに至った男性が、アパート生活の時もやはり施設の延長で管理されている感じが強かったと語っていた。この男性は、後に結婚して二人暮らしとなって、初めて自分たちで生きているという実感をもったという。「支援の継続性」というと響きがいいようだが、実はこんな問題をはらんでいる。

 このように、「入所施設からの地域移行」は限りなく困難な回り道と言わざるを得ない。
 もう30年も前に、スウェーデンの友人たちから「私たちのような回り道をしないほうがいい」とアドバイスされているのだ(下の写真)。

 真っ先に掲げるべき施策は、入所施設を必要としない地域であり、数値目標を立てるとすれば、入所待機者を地域で暮らし続けられるようにする目標でなければならないのだ。
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 なお、いま全国の自治体で策定中の第3期障害福祉計画には、改正自立支援法に基づいて、相談支援について、「地域移行支援」とか「地域定着支援」が個別給付化され、その見込量を書き込むことになっている。しかし、ほんとうに必要なのは、施設待機者やその予備軍の地域での試行錯誤への相談支援だ。そして、入所施設や精神病院については、地域移行の対象者として選ばれた者に特化した数合わせの相談支援よりも、今後もそこにとどまるであろう人々すべてが、そこを足場に地域に参加してゆけるような支援こそ問われている。

 ちなみに、先ほど述べた例でもわかるように「移行支援」、「支援の継続性」は、「管理の継続性」ともなりうる。早晩、関係機関の連携が、管理の緻密化、重層化につながりかねない時代が来そうだ。このことを、相談支援に関わる者は胸に刻み込んでおくべきだろう。

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2.「福祉施設からの一般就労」の発想も問題だ! 

 さらに自立支援法の下での「福祉施設からの一般就労」は、競争原理に貫かれている。働けない・働かない障害者はフリーターやニートになる自由が乏しく福祉施設に集められる。地域社会から閉ざされる。それを全体として地域に開いてゆこうとするのでなく、働けそうな障害者だけを「就労系施設」にくくり出し、さらに就労移行支援、就労継続A、同Bに、労働能力によりふりわける。それらの施設に、実績に応じ成功報酬や報酬減額を付けて競わせる。他方、生活介護等の施設では、地域の職場に働きに出たり、社会参加することを後押しする施策がない。施設体系が能力別に分けられ、障害者のふりわけが強められ、全体としてはさらに閉ざされた世界が出来てゆく。

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 争いの場からすら排除された人が、その現実をひきずりながら人々のただなかに戻り、人々が暮らしの中で出会い、つながりを再生してゆく―そのための後押しとして、限定的に福祉を生かせないか?それが、障がい者制度改革推進会議に集まったさまざまな障害当事者ほかの人々の思いだったろう。まとめられた総合福祉法骨格提言の中で、これまでの細分化され競争原理に基づいた施設体系を、「就労センター」と「デイアクティヴィティセンター」といったきわめて大雑把なくくりとし、かつ就労や社会参加をめざし柔軟に活用できる可能性を組み込んだことは、積極的に評価できる。→http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_35/index.html

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 筆者からすれば、障がい者制度改革推進会議の熱い議論は、雇用制度や教育制度、住宅制度等に手をつけられないままで、総合福祉法という福祉の枠組みにたくさんの思いを集中的に入れ込む結果となったように思う。所詮くらげでしかない存在が、たくさんの夢で膨れ上がった感じがする。しかし、それでもいいじゃないか。
 別々に分けられた人々がこんなに集まり、異なる考えをぶつかりあわせ、地域と国家のはざまで公開のブレインストーミングをやったことは画期的だ。たくさんの課題が出た。それらに取り組むプロセスも示された。これからの社会の財産だ。

 たしかに現実の法制度を、その根幹から組み立て直さないといけない要素も多くある。他の省庁の縄張りや同じ厚労省でも労働分野に関わることなどがたくさんある。しかし、主管の厚労省としては、そうした他分野の改革につながる障害者福祉分野での基本法のような重みをもつ新法をつくる気概で、骨格提言を受け止めるべきではなかったか。さらに言えば、かって「措置から契約へ」を導入した「社会福祉の基礎構造改革」、それをもう一度全面的に見直す姿勢が問われているのだ。

 だが、そんな重い意味をもった骨格提言だったからこそ、厚労省は素っ気ない案しか出せなかったともいえる。まさに福祉の水母(くらげ)的本質が露骨になったといおうか。その胎(はら)はどこまでも寒い。

 その冷え冷えした福祉に、ちんどんパレード。熱い血が流れる人々の姿を街に。

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 なお、以下セミナーのご案内。

障害者制度改革埼玉セミナーPartV 

2012年2月19日(日) 午後1時〜

浦和・岸町公民館 大会議室(3階)

〒330−0064 さいたま市浦和区岸町5−1−3  電話 048−824−0168

講師 尾上浩二氏(DPI (DPI 事務局長 ・総合福祉部会副長 ・総合福祉部会副長 )

テーマ 「障害者総合福祉法」骨格提言の行方


 資料代500円

主催
(社)埼玉障害者自立生活協会(坂本さとし理事長)
埼玉障害者市民ネットワーク (野島久美子代表)
問合せ090−4938−8689(大坂)


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内 容 ニックネーム/日時
一言、叫ばせて下さい。不必要でしたら、いつでも削除お願いします。
民主党って、「国民第一」とか、鳩山が政権取った時に、述べて拍手もらってませんでしたっけ?
見送り、見送りって、高い給料貰って、国民に支持されて、国会議員となっているのに、アインシュタインでないと解けないくらいの難問なのでしょうか?
見送らずに、解決するのが、国会議員の仕事の基本だと思います。
次回の選挙では、見送ることをしない政治家を投票したいのですが、誰か教えてください。
アキ
2012/02/22 14:48

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