共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 自治体への提言活動開始―共に働く街へ

<<   作成日時 : 2011/12/18 17:42   >>

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先にご案内した「共に働く街を創るつどい2011」のパネルディスカッション記録は後日報告するが、冒頭の写真はこの「つどい」の終りに行われた「自治体提言」読み上げのようす。読み上げるのは、NPO法人障害者の職場参加をすすめる会運営委員で、三郷市障害者就労支援センター当事者就労支援員の大野弘幸さん(写真の右)。この提言は、毎年県東部の各市の首長とそれぞれ懇談の場を持ち、その場で手渡し説明を行っている。今回も12月から1月にかけて、各市を回る。以下は、その提言。

                                              2011年12月11日
       市長 
                  様
                                    NPO法人障害者の職場参加をすすめる会
                                               代表理事 鈴木  操
                                              埼玉県越谷市東越谷1-1-1
                                                  職場参加ビューロー世一緒内


                        2011年度共に働く街をめざす提言

 
 12月11日の「共に働く街を創るつどい2011」の開催にあたって、多大のご協力をいただき、誠にありがとうございました。この「つどい」の成果と日常の取組を踏まえ、提言を行います。
 国連・障害者権利条約の批准に向けた国の障害者制度改革の流れの中で、この8月に障害者基本法が抜本的に改正されました。その第一条において、「障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を有するかけがえのない個人として」、そして「障害の有無によって分け隔てられることなく」と、共生社会実現が目的とされたことは、これまでの「障害者の自立及び社会参加の支援等」という福祉増進を目的とする内容から決定的に変わったことを示しています。

 8月の末には、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会から、障害者総合福祉法に向けた「骨格提言」が出されました。厚労省はこれを受けて、障害者自立支援法に代わる新法づくりの作業を始めています。障害者自立支援法では、「地域移行」や「就労」がうたわれながらも、障害程度区分や能力に応じて、分けたり、年限を定めたり、成功報酬的な要素を含ませるなど、市場原理が導入されてきました。これに対し、「骨格提言」では、障害程度区分を廃止し、障害の重さや個の能力に関わりなく、「障害のない市民との平等と公平」、「格差の是正」、「本人のニーズにあった支援サービス」が目標とされました。そのことにより、「地域移行」や「就労」が誰にでも可能になることをめざすとしています。

 こうした大きな改革が法制化され、インクルーシブな社会へ進んでゆけるのか、それとも時期尚早となし崩されて終わるのか。それを方向づけるのは、やはりここ数年の全国各地の自治体、地域での実体的な動きであると考えます。当会が市町村就労支援の重要性にかんがみ、毎年のこの「つどい」後に自治体提言を行ってきた意味をあらためてかみしめています。
本年度のこの提言は、その意味での重さをあらためて実感しながらまとめました。
 貴市として、国への要望等も含めて、以下をご検討いただきますようお願い申し上げます。



                                    記

@「共に働く」は「共に学ぶ」から

私たちは就労支援や社会的雇用等、労働のあり方の見直しを追求しつつも、そうした個別支援の徹底だけでなく、障害の有無によって分け隔てられることなく働ける地域が必要だという意味で、「共に働く街を創る」プロセスについて毎年考え合ってきました。
その中で、労働年齢になる前の子どもたちの間で、障害によって分け隔てられる状況が年を追って深まり、特別支援学級から特別支援学校、そして同高等部卒業後の進路は福祉施設という流れが主流として定着しているため、社会に出る段階で「共に」と言っても遅すぎることが、クローズアップされてきました。
  改正障害者基本法でも「可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮」することが初めて盛り込まれました。このために、貴市でも、東松山市等を参考に、共に学ぶことを積極的に支援することが大切です。

A多様な働き方を受け入れる新しい公共事業を

本県の多くの地域においては、自治体が最大の事業所です。今回の「つどい」においては、蕨戸田衛生センター内のリサイクルフラワーセンターが紹介されました。蕨戸田衛生センター組合、戸田市、蕨市が共同で運営し、循環型社会構築、美しい街づくり、障害者・高齢者雇用、環境教育、環境ボランティア育成等の複合的な目的をもつ公的施設です。ここで両市の5施設から障害者が職員とともに来て、シルバー人材の高齢者と一緒に花苗を生産し、最低賃金に合わせた報酬が支払われています。八王子市では、ペットボトルリサイクル工場を作りその運営を市内障害者施設・団体が多数参加するNPO法人に委託し、同法人は多数の障害者を雇用しています。
このように、自治体が地域のために実施する事業を、予め障害者団体や施設が連携して担い、雇用から施設外支援までさまざまな働き方を試みる開拓的な事業としてゆく方向を模索すべきです。

B共に働く事業所の立ち上げと運営支援を 

総合福祉法の「骨格提言」では、社会的雇用等多様な働き方についての試行事業(パイロット・スタディ)を実施し、その結果を踏まえ就労支援の仕組みを見直してゆくとされています。このパイロット・スタディの対象は、就労継続A、最賃の1/4以上の工賃を払う就労継続Bのほか、昨年や3年前の「つどい」に来ていただいた箕面市障害者事業団・豊能障害者労働センター等、自治体が最賃をクリアする制度を設けて、それを活用して運営している事業所、滋賀県や札幌市等、自治体独自の制度として障害のある人とない人が共に働く職場形態となっている事業所となっています。この4類型のうち後半の2類型が、利用者と職員という福祉の枠組みをこえ、同僚として共に働き・運営にも共に参加するという事業所形態になっています。
前項で述べた地域のための公的な事業等の環境整備と併せて、上記の自治体等で実施している独自の施策を参考に、障害のある人とない人が共に働く事業を立ち上げ、継続できるようにするための支援策を検討する必要があります。

C福祉・医療施設からの職場参加・グループワーク支援を 

総合福祉法の「骨格提言」では、自立支援法の就労移行、就労継続A、B、生活介護、地域活動支援センター…といった細かい分類をなくし、また従来の「福祉的就労」というあいまいな概念をなくしました。最賃をめざし、労働法規を全部または一部適用する「就労センター」とそれ以外の作業活動支援・社会参加支援等を行う「デイアクティビティセンター」の二分類です。自力更生に委ねて来た従来の就労系事業所にくらべ、この「就労センター」は法制度や官公需による環境調整とセットで考えられています。それに対し、「デイアクティビティセンター」は「就労センターや一般就労との行き来を可能とし、障害者の就労を支える仕組みの一環にも位置付けられる」とされているのですが、家と施設を往復しながら地域での存在感が失われて行く現状をどう変えるかが示されてはいません。
  
「デイアクティビティセンター」の枠組みに入ると思われる現行の多くの通所施設の活動を、地域に開かれたものとし、また地域の他の人々が福祉の対象者を含むさまざまな障害者と出会い・一緒に働いてみるという取り組みが必要です。越谷市が実施している障害者地域適応支援事業では、施設職員が本人とともに市役所等の職場に行って支援することで、職員と本人の関係を見直し合う機会となっています。この事業を参考にしていただくとともに、今後、入所・通所施設や精神科病院等の利用者が、施設等に在籍したままで、グループを組んでの施設外就労を進めたり、職員の支援を受けながら職場実習・職場体験を随時行えるような支援策が必要です。
さらに、民間企業も含めて地域に多様な働き方を可能にする仕事開拓をするには、今回の「つどい」に来ていただいた戸田市のように、施設・団体等が共同受注センターを設立・運営することを自治体としてバックアップすることも大切です。

Dピアサポートによる就労支援活動の育成・支援を

総合福祉法の「骨格提言」では、「エンパワメント支援事業」が盛り込まれました。従来も生活支援センターにピアカウンセラーがいましたが、これは「本人(及び家族)をエンパワメントするシステム」として、それ自体が今後の相談支援体制の重要な柱になってゆくことが期待されています。障害を克服して健常者に近づくよう努めるのではなく、障害者だからこそ意識せざるを得ない社会の壁と向き合い、障害のない人々と分け隔てられない社会を拓いて行く体験やノウハウの大切さが認識されてきました。

就労支援においても、健常者に負けないよう働き過ぎて二次障害に追い込まれ命を縮めたり、家庭と職場の往復だけの孤立した暮らしになりがちな障害者就労の現実を見直し、人間として他の人々と地域で暮らしながら働く道を探ることが問われています。当会の「世一緒」では、未就労や離職した人達が、当番体制や事業所訪問、グループワーク、おしゃべり会等を通して、地域の中で役割をもち、互いにつながる体験を重ねながら、新たな形での就労や自立生活の道を探っています。貴市においても、これまでの障害者就労支援の取組に合わせ、ピアサポートによる就労支援活動を地域に育て、支援してゆくことが必要です。

E障害福祉計画・障害者計画に反映を

上記の事項に関し、貴市において現在策定中の障害福祉計画や障害者計画の見直し時に、反映させられるよう検討されるよう提言します。

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