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zoom RSS 障害者制度改革第一次意見―埼玉の私たちはこう考える

<<   作成日時 : 2010/10/25 09:12   >>

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写真は、社団法人埼玉障害者自立生活協会の今年度総会風景。以下は、同協会が、国の障がい者制度改革推進会議が6月7日にまとめた「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」について、11月14日に開催される埼玉フォーラムで推進会議委員に対して提起する予定の意見。前回のブログにいったん載せたが、長くなったので削除し、あらためてここに載せる。
 ポイントは、第一次意見に貫かれている障害者の権利、差別禁止、社会モデル、地域生活といった考え方については全面的に賛意を表しつつも、障害者を分けてゆく健常者社会を問い直すこと、具体的には「同等」をめざすのでなく、「分け隔てられないこと」をめざすべきだという考え方の提起である。

                                            2010年10月21日

 「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」に関する意見
                                社団法人埼玉障害者自立生活協会
 
「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」について、きわめて積極的な内容が盛られたことを評価し、全体として支持します。
 その上で、当協会として、第一次意見書を補う形で、意見を述べたいと思います。

1.基本的考え方について
 第一次意見書の基本的考え方として、権利の主体、差別のない社会づくり、地域生活については、まったく賛同します。ただ、「共生社会」の実現の項に関しては、「分け隔てられない社会」として、考え方を整理していただきたいと思います。

 第一次意見書では、「共生社会」を障害者も健常者と同等な個の自立が認められる社会と説明されていますが、これでは不十分です。障害者を分け隔て、排除することにより形作られてきた健常者の育ち方、学び方、働き方、暮らし方を問い直してゆくことが必要です。それには、一緒に育ち、学び、働き、暮らし合う中で、ぶつかりあう過程が不可欠になります。

 分け隔てられているが同等という方向をめざすのでなく、まずはこれ以上分け隔てない関係をつくる中で、同等でない部分をどうしてゆくのかを含め、一緒に考え合ってゆくことが大切だと考えます。

2.基礎的な課題の改革の方向性について
 第一次意見書の基礎的な課題の改革の方向性についても、ほぼ賛成です。ただ、差別の定義に関し、「分け隔てること」を含めて考えていただきたいと思います。
 健常者と同等な自立を達成するために、あるいはたんに生き残るために、分け隔てられることを障害者や家族、関係者が受け入れざるを得ないこともままあります。しかし、そのことによって、あたかも分けた側すなわち健常者社会には、障害者の状況が見えなくなり、問題が解決されたかのように映ってしまいます。
 難しい問題ですが、ここを避けては差別の問題は語れないと思います。

3.個別分野における基本的方向と今後の進め方について
第一次意見書の個別分野における基本的方向と今後の進め方についても、多くの部分で賛成します。その上で、いくつかの点を補っていただきたいと思います。

1)労働及び雇用
 障害者の労働及び雇用の権利のための支援のありかたについては、基本的に賛成です。そして、福祉的就労への労働法規の適用や、障害者だけでなく障害のない者も対等な立場で一緒に働く社会的事業所、また協同労働についても、大いに賛成します。ここに在宅就労も付け加えたいと思います。

 それらを踏まえた上で、こうした広い意味での障害者の労働権の強化の半面で、多くの民間事業者はますます特例子会社のような形での雇用に流れていかないかということと、そこからも対象外として振り分けられ、障害者と支援者だけの閉ざされた関係に入りこんでゆく人々が増えるのではないかと危惧します。働き盛りの健常者は、家庭のある地域を知らず、職場が社会生活の中心ですが、そこには障害者がいないか、いても選ばれた障害者だけということになります。

 さまざまな障害者が職場に入ってゆかない限り、健常者は変わりようがありません。労働及び雇用の枠組みをひろげ、職場参加という発想を含めて考える必要があります。福祉や医療・保健の対象者とされた人々も含めて、体験的実習やグループ・アルバイトなどの形も含めて、あらゆる職場に受け入れてゆく取り組みを促進すべきです。

 第一次意見書では、差別禁止、合理的配慮義務との関連で、事業主への助成や技術的支援が挙げられていますが、職場参加においてはなおいっそう事業主への支援が欠かせません。国、自治体は率先して職場参加に取り組み、そこで得られたノウハウを含めて、事業所支援を計画的に行うことを、第二次意見書には盛り込んでいただきたいと考えます。

2)教育
 すべての子どもが地域の学校の通常学級に在籍することを原則とするという考え方に、全面的に賛成します。

 その場合、就学先における合理的配慮及び支援の内容について、「分け隔てられることなく」という基本に沿って、先回りしないようにじっくりと考えて、合意を図ってゆく必要があると考えます。

 障害のある子どもたちを別の場に分ける教育を義務化した79年を境に、通常学級では管理教育、受験戦争が全面化し、子どもたちがいじめにはけ口を求めざるをえなくなっていきました。

障害のある子どもたちを一緒に学び・育つクラスメートとして受け止める中で、通常学級のありかた、障害のない子どもたちの学校生活を全面的に見直してゆくことが問われています。
 
 合理的配慮とは、障害のある子を受け入れても従来の教育に支障が生じないための方策であってはなりません。現在も見られるような、支援員がいることで、教職員も、他の子どもたちも、障害のある子に関わることがなくなるといった状況は、本末転倒です。実際に障害のある子とない子が、ごちゃごちゃと育ち合ってゆく中で、配慮や支援も常に問い直してゆくことが不可欠です。

 なお、第一次意見書では、学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障として、手話、点字、要約筆記等による教育が挙げられ、これに続けて発達障害、知的障害等の子どもの特性に応じた教育が挙げられていますが、これらは本人支援という面だけでなく、一緒に学ぶクラスメートの支援という面も持っていることに着目してほしいと思います。

 さまざまな子どもたちが一緒にいる通常学級では、子どもたちのほうが教員以上に本人とのコミュニケーションを成り立たせている例が多く見られます。その関係を育ててゆく支援を、教員が担ってゆくのだという視点を、大切にしてほしいと考えます。

 最後に、第二次意見書においては、義務教育後の高校教育について、希望する生徒は誰でも地域の公立高校で受け止めることを基本とした、高校教育のありかたの見直しについても盛り込んでいただきたいと思います。

3)所得保障等
 公的年金制度の抜本的見直しの中で、併せて考えてゆくことに異存はありません。ただ、年金にせよ、給料にせよ、その金額のイメージを持てず、家族の管理にゆだねてお小遣いをもらっている状況も多くある中で、所得保障を論ずることの難しさを痛感します。

 本人と周りの地域の人々が、迷ったり、失敗したりしながら、買物や支払いをし、状況にあった方法を編み出してゆく、そうした現場での生活支援に、もっと多くの施策が活用できるようにすべきだと思います。
 また、生活保護のありかたの見直しも、併せて考えてゆくべきと思います。

4)医療
 障害を理由とする差別なしに、必要な医療やリハビリテーションが提供されなければならないということに、賛成です。
 第一次意見書では、精神障害者への強制的な医療や保護者制度について見直すべきとされていますが、同感です。

 これに加えて、知的障害者への医療について、現状では家族や施設職員等への説明と了解ですまされていることを、見直すべきです。今後は、医療スタッフと本人が、コミュニケーションを互いにとるための援助者の存在が不可欠と考えます。現在の居宅介護における通院介助では無理があります。

8)情報アクセス・コミュニケーション保障
 情報バリアフリーの取組に関して第一次意見書で、手話通訳者、要約筆記者と並んで知的障害者の支援者等が挙げられているのは、卓見だと感じました。
 また、ここで述べられている、「このような状況は、障害者にも不利益を負わせるだけでなく、障害者と交流する障害のない人にも不利益を生じさせるものである。」という観点は、非常に大切だと思います。
 また、ここに付け加えて、障害者と障害のない人を分け隔てるものであるという指摘もしてほしいと思います。


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