共に学び・働く―「障害」というしがらみを編み直す

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zoom RSS 「地域で生活し、学ぶことの大切さを共に確認する。」から始まった高校問題交渉―23年目

<<   作成日時 : 2010/04/12 01:56   >>

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 どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会 今春の入試―朝霞の田中さんは合格、5年目の坂戸の吉井くんは今年も切り捨てられた。写真は昨年大宮商業定時制を卒業した斉藤くん。彼は5年目にやっと入学したが、4年の終わりになって「生活進級だから1年生のまま」と宣告されたが、協議の末卒業を認められた。
 希望する生徒はすべて受け止めよと、教育局交渉を続けてきて23年―何が変わり、何が変わらないのか?新年度にあたり、連絡会では、これまで県教育局と確認してきたことを、整理した(下記)。
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1987年秋に障害のある生徒たちが高校の門をたたき始めて以来、これまでの経過の中で県教育局と埼玉連絡会の間で確認されてきたこと 
           (2009年4月1日作成、2010年3月30日Lを追加)

@ 「地域で生活し、学ぶことの大切さを共に確認する。」(1988年2月24日西本指導二課長との間で)
 「障害児」の後期中等教育を養護学校高等部の特殊教育に限定しない、という意味を含む。

A 「今来ている(自主通学している)生徒の実態を続けられる方策については事務レベルで検討したい。」(1988年5月18日 荒井教育長回答)

B 「障害のある生徒の・・・」(通知)で、「身体に障害」を「障害」とした。(1988年12月16日付通知)
 身体だけではなく、心身に障害のある、どのような障害があっても不利益な取り扱いすることがないようにとした。
また、この通知で「学校として身辺介助人を置くことができないこと。また、施設、設備の面で財政的措置を伴う配慮は原則として行えない」を本人・保護者に十分に了解を得るとしているが、「学校として身辺介助人を置くことはできないが、必要がある場合には、階段や手すりを付けるなどの施設・整備の面の配慮はできること」と施設・設備の面についてのみ改めた。

C 「入学許可候補者の決定に当たっては、あらかじめ公示した募集人員が確保できるよう配慮する。なお、確保しがたい場合には、事前に教育局指導部指導第二課長と協議する・」(1990年1月22日通知) 
 定員内不合格に歯止めをかけるための通知であるが、高校側の報告を受けるだけで指導されていないことが、後に増田裁判の証言で明らかになった。

D Cの通知で「あらかじめ公示した募集人員が確保できるよう配慮する」から、「可能な限りその全員を入学許可候補者とする」と表現を強めた。(2000年1月) 
 前年度の大谷主席から「定員内不合格は本来あってはならない、もし定員内不合格とする場合はその理由を確認する」「定員内不合格を出してはならないという表現まではできないが、できるだけ定員内不合格を出さないように、来年度通知を変えたい。」という回答を得て、翌年出された。

E 2001年野沢指導監との確認をし、定員内不合格の解消に努めることとした。(2001年3月19日)
 定員確保をするということと定員内不合格を出さないということは意味が違う。定員内不合格は、教育の場を求める生徒を、枠があるにもかかわらず拒否をすることであり、公立学校としては本来あってはならないこと。県教育局としては、教育的にも問題の大きい定員内不合格を出さないようにという強い指導を行う。・・・・・・それ相応の明確な理由がなくてはならない・・・・・。

F 「障害のある・・・・」(通知)で、「学校として介助を行う職員等を配置することはできない・・・・・・を知らせておくこと。」を削除する。(2004年12月1日通知) 
 「学校として身辺介助人を置くことはできない。」という部分の削除を1988年から求めてきたが、一旦上記のように変えられて更に問題になった。

G 障害のある生徒の高校問題について教育局全体で受け止めていく。(主席一人での任を負っているのではない)(2006年3月15日 藤井課長と再確認)
 局として事務レベル交渉をしていくという荒井教育長の回答(1988年)を再確認。

H 障害のある生徒は特別支援教育があるからという考えには立たない。(2006年3月15日 藤井課長と確認)
 1988年の西本課長との確認をしているにもかかわらず、障害のあるせいとは養護学校高等部へと言った発言があり、その都度確認をしてきたが、この年高等養護学校設置の動きもあり、再確認した。

I 高校に入りたいという希望にできる限り応えていく。(2006年3月藤井課長と再確認)

J 単位や進級問題を想定して、合否を判断することはしない(2007年11月21日関根主席)。
  2001年の定員内不合格についての確認や2005年1月上田知事との会見(定員内不合格の理由は説明されなければならない)以降、不合格の理由を校長が説明するようになったが、コミュニケーション、介助者、単位や進級といった入学後のことや障害によるものが理由にあげられる。

K 定員内不合格が出されたことは重大な問題であり、指導できなかった県の力不足として受けとめる。(2009年3月18日細田主席)
  二次募集発表後の話し合いで、後期入試で吉井くんが定員内不合格とされたことに対して。

L (特別な配慮が)「実施可能な範囲」では不利益が残る人もいる。(2009年9月10日赤松主席)
 平成22年度入学者選抜実施要領の「障害のある受検生に対する配慮事項及び配慮が必要な場合の手続き」に「イ 志願先高等学校長は、特別な配慮を要する場合は、高校教育指導課長と協議の上、これを行うことができる。措置については公正さが保たれ、実施可能な範囲において行うこととする。」とある。

※ 選抜要領は、高校が選抜のための資料を取り扱い、『その学校の教育を受けるに足る能力・適性』を判定するための公正な選抜が行われるよう配慮するための方法を県が定めたものであり、県は定員割れの場合も選抜要領にのっとって公正な選抜を行っていると述べていた。

 しかし、県が公正性の根拠としていた選抜要領は「領域設定」の手法を用いており、この手法は受験者が定員を満たすことを前提としており、定員割れは想定外であることを連絡会が解明し、教育局もやっと認めた。なお、現在の選抜要領には、定員割れの場合、領域設定を行わないとしているが、この記述を加えたことは、定員内不合格をひそかに容認していると受け取られてもしかたがないと思われる。等に関する話し合いがあった。(1996年2月)


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 県庁の桜が咲き、そして桜が散る。

 その中で、「教育長の意を体して」交渉の責任者となる高校教育指導課の主席指導主事(主席と呼ばれる)は、毎年異動になる。
 3月末日までの赤松主席は、予想通り同課の課長に昇進し、県立高校の校長だった工藤氏が新主席となった。
 連絡会との交渉が、課長への道を掃き清めているかのようで、この季節、いつも複雑な気持になる。
 
 連絡会では、事務局メンバーを中心に9日(金)に新主席に会い、上記のこれまで積み重ねられた確認を示すとともに、交渉に向けた要望書を提出した。下の写真・中央が新主席。
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 この交渉は、単に障害児も高校に入れてくれという次元のものではない。
 その根っこには、1979年の養護学校義務化による分ける教育の固定化とその後の拡大がある。それに抗う親子・教員達の存在がある。共に学び・育つことを求める底流がある。小・中学校、さらには就学前教育を貫く、教育総体、社会総体が問われている。
→詳しくは、わらじの会編「地域と障害―しがらみを編みなおす」(現代書館)の〈地域)「障害が照らし出す地域―わらじの会の30年」(山下浩志)及び〈学校)「『地域で共に』は学校から」(竹迫和子)を参照。 

 運動の発足当時は、教育局にとっても、もちろん運動に関わる人々にとっても、明々白々だったこのことが、近年は教育局のみならず、運動に関わる人々にとっても、見えにくくなっているようだ。


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 この日提出した要望書。

埼玉県教育委員会教育委員長様
                            どの子も地域の公立高校へ・埼玉連絡会
                                          代表・斉藤尚子
                            埼玉障害者市民ネットワーク
                                          代表・野島久美子

                     要望書
 障害のある人もない人も一緒に生きていける社会の実現は、学校で一緒に学ぶことからと、小学校、中学校、そして高校でも一緒に学べるよう、貴局との22年余りに渡る話し合いを続けてきました。しかしながら、浪人生活を何年も強いられたり、希望はあっても公立高校受験をあきらめざるをえなかったりといった残念な事態が未だに後を絶ちません。担当者も毎年交代するため、高校で一緒に学ぶことの意義や受け入れを進めるために課題となっていることなどへの理解が積み重ねられていかず、隣都県に遅れている状況にあります。これまでの経過や今何が課題なのかについてご理解いただき、早急に対応策に取り組んでいただきますようお願い致します。

要望:昨年度末に課題として確認した事項について取り組んでください。

 これまでの確認事項の理解と確認

 @「1987年秋に障害のある生徒たちが高校の門をたたき始めて以来、これまでの経過の中で県教育局と埼玉連絡会の間で確認されてきたこと」を再度確認する。

新しい入試制度における受け入れのための施策

 A「学力検査等の措置願」を選抜のための資料とすることについて、障害ゆえに学力試験・調査書・面接等すべてに渡り不利益を被っていることから、「その他の項目」としてではなくすべてについて得点化する。

 B雇用促進法見直しで就労困難度の応じて支援を強める方向が出されているが、高校においても「教育困難度」(浪人の年数も困難度に加える)に応じて加点する制度にする。現行の一律加点は差別である。

 C吉井英樹くんを教育困難度の高い生徒を高校で受け入れるモデル事業として入学させる。

高校への理解の促進

 D受検担当者への説明会や校長会等を通して、入学者選抜実施要項・選抜要領に「障害のある受検生に対する配慮事項及び配慮が必要な場合の手続き」が盛り込まれたことの経緯や意義など説明し、高校への障害のある生徒の受け入れに対する理解を求める。

 E「学力検査等の措置願」の申告欄を設け、教育局や中学校、高校においての障害のある生徒の受検に対する認識を高める。(3月10日赤松主席も来年の検討課題とした。)

 F昨年度撤回した東京都教委が作成した参考資料の埼玉バージョン(法令の裏付け等)を正しい内容で作って配布し、高校への理解を求める。(3月10日赤松主席も来年の検討課題とした。)

定員内不合格の解消

 G定員内不合格を出さないために、高校への支援をすると共に、出さないための具体策(高校名の公表など)を検討する。

受検上の配慮

 H要望があれば、本人にとって必要な受検上の配慮を行う。

→この要望書に基づく、県教育局(関係各課出席)と連絡会の2010年度第1回交渉は、4月30日(金)午後行われることが決まりました。(時間、場所は追って掲載) 参加希望者は、黄色い部屋まで048-737-1489 waraji@muf.biglobe.ne.jp
→昨年度末の確認に向けた公開質問状についてはhttp://yellow-room.at.webry.info/201003/article_2.html参照。

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