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zoom RSS 県職員と障害者、関係者との不思議な出会いー埼玉の「総合県交渉」

<<   作成日時 : 2009/11/04 00:32   >>

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  埼玉県と私たちの「総合県交渉」の歴史は長い。そもそもは現在の社団法人埼玉障害者自立生活協会と埼玉障害者市民ネットワークの生みの母である「国際障害者年サイタマ五年目のつどい実行委員会」が一九八七年に行ったのがその起源。「人は特殊教育と福祉によって生きるにあらず」をスローガンに、教育、雇用、住宅、農園、福祉、実態調査等に関して、県に対し要望書を提出し、話し合いの場を持った
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 それから二〇数年が過ぎた。

 ■ 変わりゆく総合県交渉
 この二〇数年に変わったこと。かっての「特殊教育」や「福祉」は、人々を選別し、「障害」をくくり出し、訓練・指導や保護・監視の対象として、家の奥や遠くの学校や施設に隔離する方向をめざしていた。当然、総合県交渉では、随所で激突があった。
世紀末の失われた十年を通して、それが変わった。「特別支援教育」や「自立支援法」という呼び名に示されている通り、身近な学校・職場・地域の中で、「支援」という両刃の剣を通じて分離してゆく方向に進んでいる。その「支援」の中には私たち自身が求めて実現したものもある。しかし、制度の宿命は、「支援」を人を振り分ける道具として固定化する。そして、施策が身近に及んできたことで、振り分けられる人の範囲も拡大した。なんのために振り分けるのか?それは昔も今も一貫している。経済効率のためである。このごろの総合県交渉には実にたくさんの人達が集まる。生き辛さが広がっているのだ。施策も増え、ノーマライゼーションやインクルージョンなどの理念が社会的に認知されてきたのに、人間関係もくらしの環境も狭められたままだ。どこに出口があるのか?


>■ 貫く棒のようなもの
 この二〇数年の総合県交渉の歴史を貫いている「棒のようなもの」がある。その一つは普通学級の障害児を日陰の存在からひなたに押し出すこと。一九八七年の交渉で、この子達は特殊教育課ではなく義務教育課の担当であるとの確認を得た。しかし、特別支援教育というヌエのような枠組みが作られてあいまいにされようとしている。どの子も地域の公立高校への取り組みも、ここが原点だ。
もう一つは、ケアを福祉の枠組みでとらえる前に、まず住まいの枠組みや労働の枠組みの中でとらえるべきということ。生活ホーム・グループホームを考える前提として、公営住宅や民間賃貸住宅施策での障害者の暮らしを考える。県人事課の知的障害者雇用を探るための職場実習についても一貫して交渉し、共同作業もしてきた。


■ 居場所としての総合県交渉
 この二〇数年、私たちは総合県交渉という場を、県との間でも、私たち同士でも、まさに共有してきたんだなと、あらためて思う。いま居場所探しがはやっているが、居続けることが居場所をつくる。総合県交渉は、県と私たちとの共通の居場所だ。
最初の総合県交渉で県側の窓口を務め、さんざん怒号を浴びたIさんが先日こう言っていた。「昔、障害のある本人たちに、なんで普通に生きちゃいけないんだと訴えられたことが、心の中にオリのように残っている。」そのIさんは県庁を早期退職し、障害者を雇ってパン屋を始めたが、「私は障害者雇用のことなんて考えてない。どうしたらパンが売れ残らず赤字を減らせるかということだけだ。」、「雇用がどうのこうのいうより、まずつきあうこと。一緒に遊ぶことからでもいい。」と言い切る。
社会のサービス化・情報化は、コミュニケーションを通して人を結びつけるだけでなく、コミュニケーションを尺度として人をさらに分ける。知的障害の判定基準の変化や発達障害の概念など。だが、この総合県交渉は、コミュニケーションの断絶を避けられなかった。そして、断絶の向こうに居場所を探ってきた。Iさんはとても頼もしいけんか友達である。


■ 政権交代と総合県交渉
 私たちはどこから来てどこへ行くのか。時あたかも政権交代により、障害者の権利条約批准のための国内法整備が本格化する。障害者自立支援法も廃止のレールに乗る。だが、上からの制度改革だけになってしまうと、それ自体が新たな分離を拡大しかねない。大事なのは地域・自治体でどうモデルを編み出し、国レベルに示してゆくかだ。そのヒントは、総合県交渉の中にたくさん入っている。重要なのは、障害者の権利条約のエッセンスともいえる差別・虐待の禁止、合理的配慮義務はたしかに画期的だが、それだけでは逆にごく普通の人達が関われなくなり、専門職に囲まれた生活になりかねないこと。いやおうなしにさまざまな人が一緒にいる関係をどうつくってゆくか。総合県交渉で常に問われてきたテーマが、全面化してゆく時代になろう。

                  (社団法人埼玉障害者自立生活協会「通信」145号巻頭文)
                   http://www.sail.or.jp/

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